2018.11.29

ノウフー(Know Who)とは

前回は社員が持っているスキル・経験・知識などを蓄積し、それを検索できる仕組みがナレッジマネジメント・システムという話をいたしました。「ノウフー(know who)」は、そのナレッジマネジメントの機能の一つで、文字通り「誰が知っているのか」つまり、組織の中で誰がどのような知識を持っているのかを知る仕組みの事を指します。

今回はこのノウフーについて、もう少し詳しくご説明したいと思います。

ノウフー(know who)とは

業務に必要な専門知識や問題解決の知恵を「ノウハウ(暗黙知)」と呼びます。企業において、社員のノウハウの習得や蓄積を促すことが人材育成の目的の一つです。しかし、日ごろの業務の中では、各自が身につけられるノウハウの量やカテゴリーに限界があるのも事実です。では業務の中で、自分の知らないことや専門性の高いスキルが必要となった時どうすればいいでしょうか?

そんな時、各自のノウハウを共有化できるライブラリやマニュアル等があれば、それを検索して使えばいいという発想からナレッジマネジメント・システムが生み出されました。しかし、ナレッジマネジメント・システムにすべての企業のノウハウ(暗黙知)を格納する(見える化)するのは容易ではありません。
ノウハウを持つ人の協力が必要だったり、マニュアル化が難しかったり、そもそも文書では伝わりにくかったりするノウハウもあるでしょう。このように「見える化できないノウハウ」が企業にはたくさん隠れています。

誰が知っているのか

ナレッジマネジメントシステムに集約することは大切だがすべて行うのは難しい、ならばそのシステム化の手間を別の角度から考えて楽に行おうというのがノウフーのきっかけです。

つまり、問題解決のノウハウがライブラリになければ、その道のエキスパートや、かつて同じ経験をしたベテランを探し出して、ノウハウを直接教えてもらう、アドバイスしてもらう、その方がスピーディーだし、しっかり伝わるのではないか?というのが「ノウフー発想」です。探し出すものを「Know How」から「Know Who」へ発想を変えたんですね。

そのために、「どこにどんな業務の経験者やエキスパートがいるのか」といった組織内の人的資源情報を蓄積し、検索できるしくみが必要となります。

組織内に眠るノウハウを利用するために、ノウハウ自体をマニュアルなどで「見える化」するのではなく、誰がノウハウを持っているのかという在りかを見える化するのがノウフーなのです。

ノウフーの導入

ノウフーの導入は、特に数百人・数千人など大規模な組織で有効です。大規模な組織では、個人が全ての知識を管理する事は不可能に近く、非効率でもあります。

ノウフーのやり方として、「人材の情報を管理し可視化する」データベース化と、「知りたいこと質問して回答をもらう」掲示板方式があります。

まず、人材の情報を管理し可視化する方法として、まず社内イントラネットの利用が考えられます。社員や従業員が自分自身で業務の経歴や得意分野、スキルや資格等について社内イントラネット登録し、人的資源のデータベースを作ります。そして、カテゴリやキーワードなどで検索できるようにします。

知りたいこと質問して回答をもらう掲示板方式には、社内イントラの社内掲示板、グループウェア、社内SNSなどを利用します。
社内掲示板にその時に知りたい情報を書き込むと、それについて知っている人が回答を書き込んだり、あるいは「それについて知っている人物」を知っている人が、「あの人に聞くと解決できる」などのアドバイスを書き込み、ノウフーを共有するというのが基本的な流れです。社内版のOK Web、Yahoo知恵袋といった感じですね。

グループウェアは、組織の業務効率化を目的とした組織内のコミュニケーションツールですが、本来の機能はメンバーのスケジュールやTODO、プロジェクト管理などの組織内での業務上の情報共有や進行管理を主な機能としたツールです。グループウェアならほとんどの製品が掲示板作成機能を持っていますので、スピーディに始めることができます。

最近人気なのが社内SNS(ソーシャルネットワーキングサイト)を使うやり方です。ビジネスSNSは、各社員が所属部署や役職などの関係性を超えて情報共有やコミュニケーションを計るためのツールです。
SNSを使ってつながりを深めることで、組織を活性化する事が目的ですが、このコミュニケーション機能を使ってノウフー検索をすることが可能です。具体的には知りたいことをタグ検索したり、知りたいことでタグをつけて発言し、そのことについてのフォローを求めます。

SNSによるノウフー機能は人気があり、話題になっています。人気の理由はやはりSNS独特の「気軽さ」ではないでしょうか。掲示板やグループウェアよりもカジュアルで、心理的ハードルも低いので、「教えて!」感で質問や解答のやり取りができます。些細なことでもヒントとして投稿することに躊躇しないので、回答数が伸びる傾向にあります。また、その場でアイデアを出し合い解決策を模索するといった使い方にも向いてます。

ノウフーの導入

ノウフーの事例

NTT東日本では、2005年秋から社内SNSを開始。2年後の07年には、7,500人以上の社員(グループ全体の約15%)、3年後の2009年には8,300人(80%)が参加。2013年にはグループ企業を含む14,000名が参加する国内最大規模の社内ネットワークに成長したそうです。機能としてよく使われるは「Q&Aコーナー」で、「誰に聞けばよいのか」的な質問が多く、まさにノウフーとして利用されているようです。

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社では、2001年にナレッジ・ポータルを立ち上げ、2005年以降にSNSを使った個人ブログと社内ブログを情報共有の強化策として、機能追加しています。ブログと検索機能によって「誰が何を知っているのか」を知ることができますし、「個人ブログ」で人柄もわかりやすく、聞きやすい環境ができたおかげで、組織内でのコミュニケーションの活発化したそうです。

損害保険ジャパン日本興亜株式会社では、企業情報ポータル「損保ジャパンの窓」というポータルがノウフー機能を担っています。もともとこのポータルは、「現場の状況が経営層に届かない」「社内の情報収取が電話では限界がある」「組織内の情報共有が不十分」などの課題を解決するために作られたという経緯があり、その機能も情報共有とコミュニケーションに重点が置かれています。具体的には「Q&A」、「個人ブログ」そして直球で「ノウフー」というコミュニケーションツールが導入されました。
仕事に関する相談の見える化や、失敗事例などのリアルタイムでの共有、社員自身の新たな気づきなどの発見に役立っているそうです。

ノウフー

最後に

ノウフーの目的は、ノウハウを持っている人と必要としている人をスピーディーに結びつけ、結果的に組織力を向上させる事にあります。

ノウフーは「誰が何を知っているのか」を可視化する仕組みなので、その「誰」が退職したりすると、その組織内にノウハウが存在しなくなってしまいます。
したがって、人材が企業内にいるうちに、ノウフーを何らかの形で残す施策を行う必要があります。方法としては、ノウハウのドキュメント化は非常に時間がかかるため、AIを使って掲示板やSNSなどのやり取りの記録を分析・見える化し、ナレッジマネジメント・システムから呼び出せるようにするなどの開発が行われています。

団塊世代の大量退職など、高度な技術やノウハウを蓄積してきた世代が職場を離れると、「誰に何を聞けばいいのかわからない」という状況に陥りかねません。多くの企業にとって、ノウフーの構築と同時にノウハウの蓄積はまったなしの課題となっています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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