空の検索で176件の結果が見つかりました。
- 明治安田生命保険相互会社様の導入事例を公開しました
〜「明治安田フィロソフィー」を体現できる人財づくり 企業内大学「MYユニバーシティ」の設立〜 明治安田生命の人財戦略を支える仕組みの裏側について、人事部/人財開発グループの石田様、石川様、梅田様にお話を伺いました。 詳細は下記リンクからご確認ください。
- 住友生命保険相互会社様の導入事例を公開しました
~ウェルビーイングに貢献する「なくてはならない保険会社グループ」の実現に向けた人財共育~ 住友生命保険相互会社の人的資本経営を支える仕組みの裏側について、人事部/人財開発室の佐藤様、井上様にお話を伺いました。 詳細は下記リンクからご確認ください。
- 株式会社ゆうちょ銀行様の導入事例を公開しました
~社員一人ひとりが能力を最大限発揮し、金融革新への挑戦ができるよう成長をサポート~ 株式会社ゆうちょ銀行様の人材育成を支える仕組みの裏側について、人事部/人材開発室の登根様、佐藤様にお話を伺いました。 詳細は下記リンクからご確認ください。
- レビックグローバルが「DX/リスキリング教育環境の拡充」を目的に東京大学エクステンションと販売代理店契約を締結
~東京大学の研究者にフォーカスした動画コンテンツで企業内教育を支援~ LMS(学習管理システム)と教育コンテンツを活用して企業の組織力を向上させるソリューションを提供している株式会社レビックグローバル(本社:東京都港区、代表取締役社長:柏木理、以下「レビックグローバル」)は、DX/リスキリング教育環境の拡充を目的に、東京大学エクステンション株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山本貴史、以下「東京大学エクステンション」)と2022年12月20日に販売代理店契約を締結したことをお知らせいたします。 これを受け、レビックグローバルが提供するLMS「SmartSkill Campus(スマートスキル キャンパス)」において、東京大学エクステンションが提供する社会人教育のための動画コンテンツの取り扱いを開始いたします。 プレスリリース(PDF)は下記リンクからご確認ください。
- エンプロイアビリティとは
エンプロイアビリティとは 転職業界では、「エンプロイアビリティ」という言葉をよく使います。「employability」と英語にすると意味がすぐに通ると思いますが、「雇用する」という意味の「Employ」と「Ability(能力)」の組み合わせで、「雇用され得る能力(就業能力)」といった感じでしょうか。人事人材関連の用語というよりは経済学用語になります。 近年、人材開発の分野で、このエンプリアビリティを高める教育について注目が集まっています。「せっかく人材教育をしても、転職されてはなぁ」と思われる方もいるかと思いますが、企業が従業員のエンプロイアビリティを伸ばすことで労働力の向上が期待できるというメリットが注目されてのことです。 今回はこの「エンプロイアビリティ」について簡単にご説明します。 目次 エンプロイアビリティとは 仕事の能力高い人材は2つに大別できる 「エンプロイアビリティの高い人材」を育てるために 最後に エンプロイアビリティとは 冒頭で少し説明しましたが、「employability」は「雇用され得る能力」という意味で、平たく言えば「転職できるための能力」を示しています。 したがって「エンプロイアビリティが高い」と、当然ですが、転職や再就職の際に有利になります。近年の流動的な労働市場で、「ビジネスパーソンの価値」を表す場面で使われるようになりました。 言葉の起源的には、米国で1980年代以降に登場しました。産業の構造が変化し、生産と労働力の変化のサイクルが早くなり、多くの企業が労働者の長期的雇用を保障できなくなってきました。このため、企業側は長期雇用に代わる発展的な労使関係を構築するために、積極的に「他社でも通用する能力を開発するための機会を提供する」ということを、メリットとしてアピールし、人を集めたのです。 企業側が積極的に、従業員のエンプロイアビリティを向上させる環境や機会を提供するということは、一見優秀な人材の流出を引き起こすように感じられます。しかしながら、近年の産業構造の変化、技術革新のスピードアップ、労働者の就業意識・就業形態の多様化により、エンプロイアビリティを身につけられ、自己の評価を高めてくれる企業に魅力を感じる人は急激に増えています。 結果として、エンプロイアビリティを向上させる環境構築に注力している企業ほど、優秀な人材の流出を防ぐことに成功しています。 こういった企業を、「エンプロイメンタビリティ(Employmentability)の高い企業」といい、「企業の雇用する能力」が高い企業であると評価されます。 日本においても、終身雇用制度の崩壊や近年の雇用環境の変化に伴い、自社教育にエンプロイアビリティを向上させる環境を整え、それにより高いエンプロイメンタビリティを目指す企業が注目されるようになりました。欧米ではだいぶ前から、このエンプロイアビリティという意識は根付いていますが、日本で本格的に意識されるようになったのは2000年以降です。 また国としても、企業の倒産などで浮いてしまった人材を、スムーズに次の職場に格納できるように、政策としてエンプロイアビリティの高い人材を育てて、生産性をあげる舵取りをしています。 仕事の能力高い人材は2つに大別できる では「エンプロイアビリティが高い人」とはどのような人を指すのでしょうか。 転職に有利な人は、当然「仕事の能力が高い」人と言えます。その「仕事の能力が高い人」と言えば、以下のように大きく2つのタイプに分かれるのではないかと思います。 A:その仕事・職場で高い能力を発揮している人 B:どんな職場でも仕事の能力を発揮できる人 Aのタイプはベテランに多いタイプです。 例えば、勤続年数も長く、その会社のルールや仕事のやり方に熟知していて、信頼され発言力もあり、他の社員より高い仕事力を発揮する人です。ただし、この人が他の職場に行って、同様のパフォーマンスができるかどうかを考えると疑問符が付くかと思います。少なくとも、転職してすぐには無理でしょう。 Bのタイプは「個人的スキルが高くどんな職場でも短期間で同じパフォーマンスを発揮できるような人」を指します。 様々な開発言語を操る超絶プログラマーや、商材にかかわらず、何でも売り切ってくるスーパー営業のような人がこれにあたります。 Bのタイプは、仕事環境に依存しないでも高い個人的スキルを持ち合わせているので、転職して、どんな職場に行っても短期間で同じパフォーマンスを発揮できる可能性が高いはずです。つまり、「エンプロイアビリティの高い人材」とは、AではなくBのタイプの「仕事ができる人」を指しています。 このように、労働者に求められる職業能力として、「企業内で通用する能力」から、「企業を超えて通用する能力」が問われるようになってきたのです。 また、企業内においても、特定の職務への習熟を能力とみるのではなく、激しい仕事環境の変化への適応能力や問題発見・解決能力、さらには創造的能力等が重視する傾向にあります。 こうした企業内外において職業能力のあり方に大きな変化が、労働市場価値を含んだ就業能力「エンプロイアビリティ」の高い人材という新しい概念を生み出したのです。 ちなみに、Aのように現在の組織で周囲から評価されて雇用され続ける能力を「内的エンプロイアビリティ」と言い、Bのように、転職市場で評価の高い、他の企業でも使える能力のことを「外的エンプロイアビリティ」と言います。 日本企業は伝統的に「内的エンプロイアビリティ」に重きを置いてきましたが、全社員を雇用保障できなくなってしまった今の時代は、「外的エンプロイアビリティ」を高めるための支援を積極的に行う姿勢、つまり、企業側が主導してエンプロイアビリティを高めることが求められるようになりました。これを「エンプロイアビリティ保障」と呼びます。 転職先として人気企業は、従来の「長期雇用保障(日本)型人事システム」から「エンプロイアビリティ保障型人事システム」に大きく様変わりしています。 「エンプロイアビリティの高い人材」を育てるために では「エンプロイアビリティの高い人材」を育てるにはどうしたらよいでしょうか? 厚生労働省発表の「エンプロイアビリティの判断基準等に関する調査研究報告書について」では、エンプロイアビリティの能力の評価は次のように定義されています。 “エンプロイアビリティは、労働市場価値を含んだ就業能力、即ち、労働市場における能力評価、能力開発目標の基準となる実践的な就業能力と捉えることができる。 エンプロイアビリティの具体的な内容のうち、労働者個人の基本的能力としては、 A:職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの B:協調性、積極的等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの C:動機、人柄、性格、信念、価値観等の潜在的な個人的属性に関するもの が考えられる。” 上記A~Cのうち、「Cについては、個人的かつ潜在的なものであり、これを具体的・客観的に評価することは困難なので、エンプロイアビリティの評価基準として盛り込むことは適切ではなく、A、Bを対象に評価基準をつくることが適当である」と厚生労働省は報告しています。 では、A「職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの」を能力として高めるにはどうしたらよいでしょうか? Aについてはその職種により詳細は異なりますが、何よりも「仕事の覚え方」を身に着けることが大切です。 どんな知識や技術も、一度身に着けておけば安泰という世の中ではありません。新しい知識・技術を覚えるだけでなく、その拡張や幅広く専門性を広げる努力を日々する必要があります。 能力の高いと言われるプログラマーは、暇な時間があれば最新の情報を収集し、新たな言語などを積極的に試してプログラムを習得しています。そうすることにより、新たなジャンルの仕事を受けたり、難解な案件で最適のソリューションを提案することもできるようになります。人より先に新技術を装備することで、自己の価値をどんどん高めていくことができます。 このように新たな知識・技術を日々吸収するだけでなく、自分の活動エリアを広げていくことが、エンプロイアビリティを高くする秘訣と言えます。 転職先の業種によって必要とされる知識や技能は異なりますし、同じ業種であっても、そこで実際に取り組む仕事ごとに必要となる知識や技能は異なることがあると思います。そのような状況下でも、知識や技術を仕事をしながら素早く身につけられるように、「仕事の覚え方(適用力)」を確立しておくことが大切なのです。 Bの「協調性、積極的等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの」はどうでしょうか? これは、未知の課題やトラブルに合った場合などの対処能力を指しています。 例えば、転職して未知の課題を扱うことがあった場合、自分で解決する力も必要ですし、新しい環境のメンバーに協力を求めるスキルも必要です。大きなプロジェクトでは、メンバーと積極的に協業し、ゴールを目指して様々な課題を乗り越える力が必要です。ポジションによっては、部下を任されるケースもあるでしょうから、コーチングスキルなども身についておく必要があります。 エンプロイアビリティに必要な能力は、どこで何年働いたかではなく、そこでどのような知識を蓄え、どのような成果を上げる事ができるようになっているかであり、専門能力、コミュニケーション能力、対人関係構築能力など、座学だけでは身につけがたいものを、実際の仕事を通して、スキルとして習得していくことが大切です。 日常の中で、鍛えられる専門性を明確にし、それを職務に落とし込み、コミュニケーション能力を磨いたり、プレゼンテーションスキル、傾聴スキルを身につけ、仕事を円滑に進めていくために、対人関係のスキルに関しても高めていくとよいでしょう。 最後に エンプロイアビリティを強化するためには、何よりも、常に自分の舵をしっかりとり、目標を意識しながら職務を遂行していくことが大切です。そのために従業員の個人は常に自身のキャリアデザインを念頭に置いた上でのエンプロイアビリティの向上のための努力が求められます。 また、社員が自らの価値を分析し、将来も含めた労働市場に関する予測を行い、専門スキルの獲得や自己志向性の理解とキャリア戦略を駆使してエンプロイアビリティを高めれば、その支援を行うことが業績や組織成長につながります。 このように、企業側にとっても従業員のエンプロイアビリティを伸ばせるような環境を整えてあげることで、自社の労働力の向上が期待できるようになるのです。 最後までお読みいただきありがとうございました。
- コンピテンシーとは(その1)
コンピテンシーとは、「高業績を上げる人」に共通してみられる行動特性のことを指します。人材教育の現場では、高業績者、つまりハイパフォーマーの行動特性をまねることで、社員のパフォーマンスをアップしようという取り組みが行われています。また、人事評価基準としても「コンピテンシー」の概念が注目されています。 今回のコラムでは、「コンピテンシーモデル」や「コンピテンシーマップ」の作り方などを絡めながら、コンピテンシーについてご説明します。 目次 コンピテンシーとは できる人とはどういう人か? コンピテンシーモデルとは コンピテンシーはハイパフォーマーへの「行動インタビュー」から探す 最後に コンピテンシーとは 「コンピテンシー」という言葉は英語の「competency」を指します。名詞である「competency」の訳は「適格性」を意味し、その形容詞である「competent」とは「有能な、能力のある」という意味します。人材に使う場合には「一人前」とか「仕事を任せられる」というニュアンスで使われます。そこから、コンピテンシーとは、「高い業績に結び付く行動や思考の特性」のことを意味するようになりました。 コンピテンシーの考え方の起源は、1970年代に米国ハーパード大学のデイヴィッド・マクレランド教授( David McCleland, Ph.D.)の研究によるものです。デイヴィッド・マクレランド教授は、「達成動機」や「リーダーシップ」の研究で有名です。 1973年に国務省の依頼で、「学歴や知能レベルが同等の外交官(外務情報職員)が、駐在期間に業績格差が付く理由はなぜか」という調査をおこないました。 その結果、 学業成績や知能指数は外交官の業績の高低との間には顕著な相関関係は認めらない 外交官の職務成功確率の高い人物には3つの特徴的な行動特性(competence)が認められる とマクレランド教授は結論付けたのです。 つまり、「学歴や知能の差と業績の相関関係はなく、高業績者にはいくつか共通の行動特性がある」ということです。 ちなみに、高業績を上げた外交官の3つの行動特性は、下記のように報告されています。 cross-cultural interpersonal sensitivity to people from foreign cultures 異なる生活文化に対する豊かな感受性を発揮し、対人関係を巧みに行う the ability to maintain positive expectations of others despite provocation どれだけ困難な相手に対しても自制心をもって接し、建設的な人間関係を維持できる speed in learning political networks 政治的な人脈を素早く形成できる 「1」は、どんな国の相手にも人間性を尊重して接するという対人関係のスキルの高さを表します。 「2」は、その国の文化に対する理解力や感受性が優れており、環境対応力が高いことを示します。 「3」は、異国でも社交的で人的ネットワークを構築するのがうまいという、まさに外交官に必須のスキルと言えます。 おもしろいことに、入職時に行われた歴史や語学の試験の結果が高い人より、低い業績の人物ほど、のちに優秀になる人が多いという結果でした。これは「学力よりコミュニケーション力や人間性が、外交官の適性においては重要である」ということを暗に示しています。 マクレランド教授はその後の研究で、学力試験における業績が人生における業績/パフォーマンスにあまり関係ないという結論から、学力だけではなく、「仕事などで人生の成功を収める人の行動特性」を理論的かつ実務的に考えるべきとし、「competence(コンピタンス、のちにコンピテンシー)」の考え方を強調しています。 その後、コンピテンシーは米国を中心に、企業の人事における考課要素として発展したのです。 できる人とはどういう人か? コンピテンシーの定義としては、「ある職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性」などと説明されます。どの職場にも、高い成果を挙げる優秀な人材=高業績者(ハイパフォーマー)は一定の割合でいるはずです。同じ環境にいながら、他のメンバーよりも優れた結果を残す彼らは、周囲の社員とは異なる考え方や行動特性を持っている傾向にあります。 このハイパフォーマーのどの行動がその人を「仕事のできる社員」にしているのかを明らかにし、それを真似をして、他の社員全体の行動の質を上げていこうというのがコンピテンシーの活用です。 では、「高業績者(ハイパフォーマー)」、つまり「できる人」とはどういうタイプの人でしょうか?その人たちはほかの人とどこが違うのでしょうか? それは職場や仕事の内容にもよるかと思いますが、様々な業種で共通して必要とされてるものから考えてみます。 できる人:高業績者(ハイパフォーマー) コミュニケーション能力が高く、同僚に仕事を依頼したりするのがうまい 仕事が正確で確実にやり遂げるため、組織内の信頼や尊敬を得ている 専門分野に対してスキルアップを怠らず、新しいアイディアを持っている 情報感度が高く、常に様々な分野にアンテナを張り、業務に活かしている ビジネス上のネットワーク作りがうまい 上記のような「高業績者」の「行動特性」が「コンピテンシー」ということになりますが、これをより具体的にわかりやすくしたものが「コンピテンシーモデル」です。 コンピテンシーモデルとは 上記のような「できる人の行動特性」は、業種や職場環境によって微妙に違いがあって当然です。企業によって重みづけも異なります。 ハイパフォーマーに共通する行動・思考様式を具体的な言葉でまとめたものが「コンピテンシーモデル」であると説明しましたが、そもそも、コンピテンシーの定義には学術的に確定したものはなく、研究者やコンサルティング会社などが、それぞれの考え方を「コンピテンシーモデル」としてまとめ発表しているという状況です。 よく見かけるものは以下のようなものがあります。 1.コミュニケーションスキルが高い 他人と円滑に人間関係を構築する能力に長け、ノンバーバルなコミュニケーションが可能な人です。知人や同僚、顧客などと個人的な関係を作り出し、維持し、発展させる力があります。 具体的には、「共感する力」、「感情を効果的にコントロールする力」などのスキルを持った人です。 2.知識や情報を活用する能力 様々な状況において、知識や情報等を効果的に活用する力があります。情報の本質について、様々な状況・条件を考慮して、批判的に深く考えることができる力を持つ人です。 3.ストレス耐性 一部職種では特にストレス耐性や我慢強さを重視されています。その他の能力を持っていても、ストレス耐性がないと仕事が続かないためです。高いストレス耐性は仕事を進める上で必要なコンピテンシーです。 4.自律的に行動する能力 近年、企業が特に力を入れているのが「自律型社員の育成」です。そのために、自律している人をコンピテンシーモデルとして可視化させる試みが盛んにおこなわれています。自律しているとは、明らかな自己概念を伴い、意思を持った行為を行えるなどです。 このほかにも、細かく細分化して「テクノロジーを活用する能力」「言語,記号,テクストを相互作用的に用いる力」「利害の対立を御し、解決する能力」「権利、利害、責任、限界、ニーズを表明する能力」など、様々なコンピテンシーモデルの定義があります。 コンピテンシーモデルは小さな単位であればあるほど、実際の仕事の行動モデルとして反映されやすくなります。また、職種や職階などにより、重視される項目が異なります。例えば、金融関係では「知識や情報を活用する能力」が重視されますし、消費者と直接やりとりする場合など、「ストレス耐性」が高くないとダメな職種も多くあります。企業風土としてストレス耐性が要求されるところもあるかもしれません。いやな話ですが。 コンピテンシーはハイパフォーマーへの「行動インタビュー」から探す 実際にコンピテンシーモデルを作成する場合は、まず各グループのハイパフォーマーを見つけて、「行動インタビュー」を行う必要があります。モデル像に偏りを作らないためにも、複数のハイパフォーマーに行動インタビューを実施しましょう。 成功事例などを取り上げて、その成功が「どのような状況で、どのように行動したか」によるのかを聴取します。こうしてインタビューから集められた行動例を整理し、コンピテンシーモデルを作成するための「高い業績に結び付く行動・思考」をまとめます。 一時的な成功だけでなく、「普段からどのような思考で生活しているか?」「ピンチやトラブルに直面したときに、どう行動するか?」など、より細かくすることで、成功時の行動特性の裏付けがわかってきます。ポリシーではなく具体的な行動事実を拾うのがポイントです。そのため、ストーリーで追っていきます。したがってそれなりに時間がかかる作業です。 こうしてインタビューからハイパフォーマー特有の「職務行動・意識」がわかってきます。 例えば、業績の良い営業マンの「職務行動・意識」としては下記のような特性が得られます。 業績の良い営業マンの「職務行動・意識」 「達成思考」が強く、数字を常に意識している 「対人影響」が強く、話すのではなく、影響を与える力がある 「顧客思考」が強く、顧客からの質問事項を一生懸命に調べ対処する、その場しのぎをせず、ごまかさない これに対して、業績の悪い営業マンの「職務行動・意識」は、相対する結果が出てきます。 業績の悪い営業マンの「職務行動・意識」 成果よりも顧客と話すことを楽しみ、やたらと知識をひけらかす 顧客の質問にきちんと対応しない(口先でごまかす) 数字に関心が低く、安易に値引きなどを行う 自分で手を動かさず、部下などに作業をさせる 他の例として、成果の出る良い開発職の「職務行動・意識」では下記のような特性が報告されています。 成果の出る良い開発職の「職務行動・意識」 「達成思考」が強く、障害や問題を乗り越えることを苦にしない プロセスより成果を執拗に追求する 「分析的思考」が強い 「対人影響」が強く、関係部署や上司、顧客の了解を得る事の重要性を意識している これに対して、成果の出にくい開発職の「職務行動・意識」は下記の通りです。 成果の出にくい開発職の「職務行動・意識」 実作業にのめり込みすぎて、パソコンの前から動かない 成果よりもプロセスに関心があり、結局は自分が楽しんでいる 最後に、管理職についても見てみましょう。 業績の良い管理職の「職務行動・意識」 「達成思考」が強く、目標達成に立ちはだかる諸問題を解決していく 「分析的思考」が強く、明確な方針、戦略を打ち出す 「対人影響」が強く、上司、関連部門への一定の影響を与える 方針を守らせることに真剣になる 業績の悪い管理職の「職務行動・意識」 部下を成長させることがへた 汗を流して率先垂範、走り回って何もかも一人でやってしまう 即断即決だが、その場対応の泥縄なことが多い 前例や手続を重視しがちで、予測可能な安定的な行動を好む 「率先垂範」タイプが、「結局何でも一人でやって部下を育てない」というのはよく耳にしますね。 最後に ハイパフォーマーの強いコンピテンシーは「本人にとっては当然」のことなので、自覚していないケースもあります。そのため、行動インタビューは、多少「引き出す」技術がいる作業です。引き出しにくい場合は、アンケート集計方式の360度評価などと組み合わせるのも良いかと思います。また、コンピテンシー評価や検査を専門的な外部コンサルタントに委託し、コンピテンシーモデルの素案を作ってもらっても良いです。 少し長くなりましたので、続きは次回「コンピテンシーとは(その2)」でご説明したいと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。
- eラーニングの歴史のザックリとした理解
今回は肩慣らしにeラーニングの歴史をザックリと振り返ってみたいと思います。 目次 学習形態の変遷 eラーニングの「3つのメリット」 「人材教育のIT革命」からのリーマンショック 「eラーニング」業界は第二の発展へ 最後に 学習形態の変遷 「eラーニング」のベースとなった「CBT(コンピューター・ベースド・トレーニング)」は1980年代にはアメリカの大学を中心に行われていました。この時の教材はCD-ROMで配布する形態が主流でした。そうなると、配布コスト、配布後の内容修正のむずかしさ、学習進捗の一括管理の難しさなど、パッケージメディアならではの課題は多く、一般的な普及というレベルには至りませんでした。 この時代のCBTを「eラーンング」に含めるかどうかは意見が分かれますが、このような「オフライン」から、ネットなどを介した「オンライン」に変遷していくことが大切な認識です。 「eラーニング」として2000年あたりに中心となっていたのは「インターネット」、「パソコン」、そしてこれらの少し前から利用されていた「衛星通信」「ISDNテレビ会議」といったITを活用した教育研修でした。 呼び方も様々で「WBT(ウェブ・ベースド・トレーニング)」や、変わったのだと「サイバー・ラーニング」「バーチャル・ラーニング」なんて少し大げさな呼称を使う人もいました。それまで「遠隔学習」の中心だった「通信教育」と区別して「eラーニング」とまとめてた感があります。 この頃のeラーニング技術はアメリカの大学で研究され、IBM、シスコシステム、オラクルなどのIT企業で導入され、高いコスト削減と研修効果の向上を実現しました。 eラーニングの「3つのメリット」 この当時の「eラーニング」の「ウリ(メリット)」は、下記の通りでした。 1.いつでもどこでも学べる ネット経由で教材を利用することにより、学習者が学ぶ時間(タイミング)や場所を好きな時間に行えるということです。また、教材の提供スピードも上がり、迅速な研修ができるというのも当時は画期的でした。また、集合研修のように規模の理由で「学習者のレベルをおおざっぱに集める」とこなく、自分に合ったレベルを選べるのも細かな点ですが大切です。 2.研修費用のコストダウン 「リアル」の研修と比較し、ロケーションを選ばないので「交通費」や「宿泊費」など、教育研修にかかる費用をカットできる点です。地域別に複数回講師を呼ばなくて良いというのも研修担当者にとっては助かったのではないでしょうか。 3.音声やアニメーションなどマルチメディアを使った教材による学習効果のアップ 「動画」や「Flashアニメーション」などでのわかり易さが、当時主流だった「書籍教材」と比較して理解度が高いと認識されてました。SCORMという「eラーニング」のための、教材規格も制定され、「学習履歴の管理」という面にも意識が向いてきました。 「人材教育のIT革命」からのリーマンショック やがてブロードバンドが進み、動画の配信も可能になり、さらにLMSなど、学習進捗管理の機能開発が進んで「効果が見えやすく」なると、企業などで「eラーニング」の地位はグッと上がっていきます。この時の「eラーニング」は「人材教育のIT革命」としてもてはやされ、市場規模は年率70%以上の伸びで推移しました。 しかしながら、企業の「eラーニング」を使った人材育成の投資も増え、ベンチャーが新しい技術開発にしのぎを削っているなか、リーマンショックが起こります。 リーマンショックの影響で企業の教育費は抑えられ、「eラーニング」業界にも冬がやってきました。 投資の減少による売り上げ減少だけでなく、SCORMを使ったLMSシステムが乱立し、SCORM規格外の独自拡張などで足並みも揃っていなかったため、業界自体が軸を失い、数々のベンチャーが撤退していきました。 「eラーニング」業界は第二の発展へ リーマンショックによる冬の時代にも、インターネットを中心とした技術分野は進歩し続け、その進歩に追従するように「eラーニング」業界でもコツコツと新しいツールは開発され続けます。 この冬の時代に固定回線のブロードバンド化は確立し、次なる課題のモバイル環境でのブロードバンド化も進みました。 やがて冬が明け、企業の教育への投資が徐々に上がり出すと、「eラーニング」業界は第二の発展に向かって動き出します。 第二期では、eラーニングの「教育効果」が焦点になります。「教育効果」を上げるための「仕掛け」の研究が進みます。 キーワードとしては「インストラクショナルデザイン」「SNS」「モバイル・ラーニング」「ブレンデット・ラーニング」「ゲーミフィケーション」「TinCan」などです。 詳細は、各キーワードごとに別の回でご紹介しますが、ザックリと解説するとこのような感じです。 「インストラクショナルデザイン」は 「ID(Instructional Designの略)」と呼ばれ、eラーニングの学習効果を上げるためにシステム工学的手法が導入されます。 「SNS」はツイッターやFacebookなどSNSを使って同じ学習目標を持つ仲間と学習を進め、相互に教え合い、離脱を防ぐという利用方法です。 「モバイル・ラーニング」はスマホやタブレットを使ったモバイルでの学習環境の技術。 「ブレンデット・ラーニング」は対面学習、オンライン学習、両者の良い所を組み合わせることにより、インタラクティブ性の高い複合型授業で学習効率を上げる手法。 「ゲーミフィケーション」は「ゲーム理論」を使った教育手法。 「TinCan」はSCORMに変わる新たなLMSなどの規格です。 第二期は現在もまだ続いており、これからも新しい技術や教育手法は登場してくると思います。 最後に 以上、非常にザックリではありますが、eラーニングの歴史をまとめさせていただきました。 ここで述べなかったことも今後の連載で触れていきたいと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。
- アクイ・ハイヤーとは
人材教育の言葉ではありませんが、「アクイ・ハイヤー」という言葉をご存知でしょうか? 「アクイ・ハイヤー」は買収して雇うことの造語です。「買収採用」なんて呼ばれ方もしますが、言葉の意味としては「買収による人材獲得」の意で、人材教育の現場でもこの言葉を頻繁に聞くようになりました。 一生懸命人材教育を行っても、時間がかかってサービスのスタートアップに間に合わない、そもそもその技術や教育できる人間が企業内にいなかったり、採用しても全然集まらなかったと言った事情で、「アクイ・ハイヤー」に活路を見出そうとしているのだと思います。 今回はこの「アクイ・ハイヤー」について、簡単に説明したいと思います。 目次 アクイ・ハイヤーとは アクイ・ハイヤーの実績 アクイ・ハイヤーは果たして儲かるのか? 最後に アクイ・ハイヤーとは 前段で触れましたが、「アクイ・ハイヤー(acqui-hire)」とは、英語の買収(acquisition)と雇用(hire)を掛け合わせた造語で、買収による人材獲得を意味します。 言葉として使いだしたのは、米Googleが始めたのがきっかけと言われています。優秀なエンジニアや開発チームを獲得するために、そうした人材が所属する零細ベンチャー企業をまるごと買収するのです。 アクイ・ハイヤーは、一般的な「買収」が「事業とブランドを買う」のとは異なり、「スタートアップの経営陣や技術者を買って自社でやる」という意味合いが強いことが特徴です。 現在ではGoogleだけでなく、AppleやAmazonといったIT企業を中心に、盛んにおこなわれるようになりました。 アクイ・ハイヤーがシリコンバレーから広まったのは、技術者・開発チーム人材の慢性的不足が原因です。 GoogleやApple、Amazonといった好待遇のメジャー企業ですら、常に人財不足の状態で、新たにサービスを立ち上げようとしても、それに合ったエンジニアが集まらず、かといって既存の人材を使って育てるにはこの業界のスピードが速すぎて間に合いません。 そこで、自分たちがこれからやろうとしていることと同じ、もしくは似たようなことをスタートアップしている企業(主にお手頃な零細ベンチャー)をリサーチし、彼らをまるごと買収します。丸ごと買収するので、買収先企業の開発リーダーや開発チームを手っ取り早く確保でき、サービスを迅速に立ち上げられるのです。 また、単純に人財だけ欲しいという場合もあります。ある製品を作っているスタートアップ企業をアクイ・ハイヤーしても、その製品は出さず、その技術者だけを目的の開発に回すというケースもあります。 アクイ・ハイヤーの実績 アクイ・ハイヤーと言えば、真っ先に浮かんでくるのは当然Googleでしょう。日進月歩のサービス開発を進めるために、グーグルは毎週のごとくスタートアップをアクイ・ハイヤーしています。 実績として、Googleは2010年から2013年前半までに、約196社を買収、推定で約1兆8700億円(187億ドル)を投じています。ざっくり1年間に約50~60社のペースでアクイ・ハイヤーを繰り返している計算ですが、一件あたりの買収額は平均で30億円程度にすぎません。この中には利益からほど遠い企業もたくさんあります。これは同社が、アクイ・ハイヤーの手法で「人材獲得を目的とした買収」を展開しているからです。 ここのところ、Googleは複数のハードウェア関連企業のアクイ・ハイヤーを実施しています。例えばロボットの分野では、四つ足ロボット「ビックドック」で有名な「Boston Dynamics」を買収、東大ロボットベンチャーの「シャフト」や、MITのスピンアウトベンチャーでロボット・アーム研究の「レッドウッド・ロボティックス」、ロボット用カメラのベンチャー「ボット・アンド・ドリー」などを次々と買収しています。どれも最先端ではありますが、利益を出しているわけではありません。 そのほか2014年には、ロボット以外にも「ネスト・ラボス」を3,200億円(32億ドル)で買収しました。同社は、ネットワーク対応サーモスタット(空調)スイッチや火災報知機を製造販売している家電ベンチャーで、設立者・CEOのTony Fadell氏は、かつてアップルで開発者としてiPodの開発リーダーを務めていた人物です。買収後にGoogle Glassプロジェクト責任者になっています(現在は辞任)。この件はタレント・バイとしても話題になりました。 Googleだけでなく、AppleのiWatchの開発チームもアクイ・ハイヤーで集められた人材だったことは有名です。 日本国内では、DMMが非常に積極的にアクイ・ハイヤーに取り組んでします。質屋アプリ「CASH(キャッシュ)」の買収も話題になりました。 ペイパル、スペースX、テスラなどを創業した実業家・投資家であり、自身もエンジニアだったElon Musk氏のもとには、アクイ・ハイヤーの売り込みが殺到しているとか。確かに彼の事業のスピードはアクイ・ハイヤーなしには実現できなかったのでしょう。 このようにITなど先端技術関連事業を中心に、アクイ・ハイヤーは単純な企業買収案件よりも積極的に行われるようになりました。 アクイ・ハイヤーは果たして儲かるのか? アクイ・ハイヤーが積極的に行われている理由を表すキーワードは「コスト」と「スピード」です。 1から人材を集めて開発チームを立ち上げようとしても、時間とコストが膨大にかかってしまいます。 特にこれらのIT企業で重視するのは「スピード」でしょう。たとえ数十億円かかっても、ライバルとの熾烈な開発競争に勝つことができれば、投資費用などすぐに回収できるのでしょう。 もっとも、多くのベンチャー企業がしのぎを削るシリコンバレーという圧倒的な産業集積があってこそ、ここまでスピードアップできたのかもしれません。 また、Googleのケースでは、先行投資的な意味合いも強くなります。 Googleは既にスマホなどの市場の縮小の先を見ています。その証拠に市場が未発達のホームオートメーションを狙ってネスト・ラボスを買収(2014年2月)しました。Googleほどの企業でさえ、もうすぐに動かなければホームオートメーションを制せないという判断だったのでしょう。 結局、若干Amazonの「Echoe」に先を行かれましたが、Googleのホームオートメーション第1弾として登場した「Google home」はまさにお家芸のアクイ・ハイヤーの成果だったのです。 また、アクイ・ハイヤーは普通の買収の感覚で判断しないほうがいいと思います。日本国内では、買収後に被買収企業のサービスが伸びたという話はまれでした。まさに「事業」よりも「人財」を買ったと思うほうが良いと思います。 アクイ・ハイヤーが果たして儲かるのか?という疑問については、その企業のその後の成長を見て判断するしかないのかもしれません。 そして、アクイ・ハイヤーは「オープン・イノベーション」を積極的に活用できる企業に向いていると言えます。 オープン・イノベーション アクイ・ハイヤーのように、社外から人材や技術などのリソースを取り込むことで、開発競争を優位に進めることを「オープン・イノベーション」と呼びます。 逆に、研究・開発施設などを社内で整備し、自前のエンジニアを育成して、新サービスの創出を目指すことを「クローズド・イノベーション」といいます。 後者の開発手法では、コンピュータ関連やネットビジネスなど、技術革新のスピードが著しく激しい分野の競争にはなかなか対応できません。だからこそアクイ・ハイヤーで、人もアイデアも、手っ取り早く「組織ごと買う」のでしょう。 日本はクローズド・イノベーションが根深い Gooogleは年間で50社から60社ものベンチャーを買うことで、他社との開発競争に勝っています。Gooogleに限らず、トップ企業のほとんどが「オープン・イノベーション」を使って開発競争を優位に展開してきました。 対して日本は未だに「クローズド・イノベーション」が色濃く残っている面があります。かつて日本は大手が、中小や町工場と言った技術の匠達とともに成長してきたという歴史があります。企業の独立性を維持しながら協力関係の中で成長してきました。しかし、第2次産業が主流の時代とは異なり、比較にならないスピードでイノベーションが起こる現在の状況には、その関係性では対応できていないというのが現状です。 残念ですが、日本企業が踏襲してきたクローズド・イノベーションや事業開発手法がコンピュータやネットビジネスでいかに弱力であるかを痛感させられています。 最後に 基本的にアクイ・ハイヤーによって買収された企業側の人材が、買収側で活躍することも多いと聞きます。それは、アクイ・ハイヤーが会社として買うものの、欲しいのは「企業」ではなく「人(チーム)」だからなのでしょう。 結果新たな人材が本社の人材育成に良いシナジーをもたらしています。 気をつけるべき点もあります。特にベンチャーの独特のカルチャーが、大企業のカルチャーとぶつかったりもします。急速な環境変化は従業員のモチベーションに影響します。また、事業とともにその人たちが活きるように配慮する必要があります。そうでなければ彼らは優秀なのですぐに次の職場を見つけ、逃げてしまいます。そのためにも、買収した企業のTOPやスター社員を本社側に呼び込んでパイプ役にし、風通しを確保したりする工夫が必要です。 今回はアクイ・ハイヤーについて説明しました。若干人材教育とは違うカテゴリの話だったかもしれませんが、あなたの会社がどうしてもやりたいことがあった場合、そこにスピード感が要求されるのであれば、アクイ・ハイヤーによる展開も有効だと思います。 そして良い人材を育てるには、良い手本が必要です。企業の買収は安くはありませんが、その手本が与える効果を考えれば、人材投資として決して無駄にはならないはずです。 最後までお読みいただきありがとうございました。
- ARCSモデルとは
年の瀬も迫り、来年度の新人教育を考え始めているご担当者様も多いのではないでしょうか。そんな新人社員の「教育係」や部下の育成の責任のある上司の方から、「なかなか興味を持ってもらえない」「社員の研修へのモチベーションが上がらない」という悩みを耳にします。 一般的に未経験者を、専門知識や高度な教育に積極的かつ継続的取り組ませるのは、なかなかハードルが高いことだと思います。 今回はこの「学習へのモチベーションを上げる方法」として、数々の教育の現場で取り入れられている、「ARCSモデル」について簡単にご説明します。 目次 ARCSモデルとは 「Attention(注意喚起)」 「Relevance(関連性)」 「Confidence(自信)」 「Satisfaction(満足)」 自発的に学びたくなる仕組みがARCSモデル 最後に ARCSモデルとは 「ARCS(アークス)モデル」と呼ばれるこの学習モデルは、アメリカの教育工学者、ジョン・M・ケラー(John M. Keller)が1983年に提唱しました。 学習者の「動機づけを高める」方法をモデル化したもので、「やる気を引き出す」ための四つの要素を定義し、その頭文字を繋げたのがARCSです。 四つの要素とは、「Attention(注意喚起)」「Relevance(関連性)」「Confidence(自信)」「Satisfaction(満足)」です。 ARCSモデルは、インストラクショナルデザイナーたる人物が学習システムを組む際に、学習意欲の問題に取り組む際に役に立つシステムモデルです。 始まりは大学などの教育機関で、学生に学習へのモチベーションを維持させるための方法として広く使われるようになりました。 そして今では教育現場だけでなく、職場での指導のシーンでも応用できるとして、企業の研修設計や教材開発などにも活用されています。 それでは、まず学習モデルの要素となる4つの要素についてみていきたいと思います。 「Attention(注意喚起)」 研修やおすすめの講座を受けさせたくするにはどうしたら良いでしょうか? まずはそれについて「Attention(注意喚起)」させることからスタートするかと思います。 本屋に行って本を選ぶとき、定番の堅めの内容の本より、一風変わったタイトルの本に興味を持つことは多いと思います。 例えば、「経営学の基礎」という本より、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」というタイトルのほうが手に取られる機会は多いのではないかと思います。こういうフレーズは本を買わせためにつけられてますが、原理としては「おもしろそうだ」「何かありそうだ」という学習者の興味・関心を誘い、注意を獲得する目的でつけているのです。 こうした興味を引く方法として「知覚的喚起」「探求心喚起」「変化性」などを行うのが「Attention(注意喚起)」のステップです。 「知覚的喚起」は研修などにキャッチーナキーワードを入れて興味を持たせる手法です。学習者に面白そうだなと思わせるために、映像を使って説明するようにしたり、年代にはまる有名人や好きそうな人の事例を取り上げたりするのも効果があります。 「探求心喚起」は不思議さや驚きのあるテーマを取り上げ、探究心を刺激するやり方です。先ほどの「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」も探求心を擽ぐります。 「変化性」は注意の持続に欠かせない要素です。工夫して引き付けた注意も、退屈な座学だと飽きてしまうので、実際にその場でやってみたり、ディスカッションを入れたり変化を与えることによって注意を持続させます。 実際問題として、注意喚起して引き付けても、それを持続させることは難しいでしょう。なので、学習者のモチベーションを持続させるには、強固な動機づけとして、次の「Relevance(関連性)」を与えることが大切になってきます。 「Relevance(関連性)」 この場合の「関連性」とは、「目標に対して意義や親しみを持たせること」を指しています。具体的には学習者自身が「これを学ぶことで自分の業務に役立てられる」と思わせることです。 学習者が持つ目標に対して、その学習が如何にプラスに働くかを過去の経験や興味をもとに関連付けます。こうした個人的ニーズを満たし、学習者が「自分ごと」として捉えることができるように導きます。こうした「これをやることにより、目標に近づける」とイメージできる人は「目的志向性型」の思考が芽生え、意識高く取り組む傾向にあります。 学習課題が何であるかを知り、やりがいがあると思えれば、学習活動の関連性が高まりますが、反対に、「何のためにこんな勉強をするのか」と疑問を持ってしまうと、関連性の欠如を起こします。したがって、関連性を感じることで、学習者は課題を受動的にこなすのではなく、主体的に関わってくれるはずです。 その自主的・主体的な関わりを強化してくれるのが「Confidence(自信)」です。 「Confidence(自信)」 「やればできるんだ」と自信を持って学習の目標を達成できそうだと思わせることが「Confidence(自信)」要素です。 ゴールを明確に示してあげて、自分の努力次第で成功できるという自信を持たせることが大切です。 Confidenceの実装は、「成功の機会」を用意してあげることから始まります。人は小さな成功を繰り返すことで、自信を身に付けていくので、例えば研修の中に成功を経験する機会を作ってあげます。 「学習しても修得・達成の可能性が低い」と思うとやる気が起きないので、近い目標を順番にクリアして自信をつけるなどの工夫をする必要があります。例えば、学習する内容に関連した資格取得を目標として設定したり、研修の内容に合わせて徐々に難易度の高い小問題を与えたりします。その成功を積み重ねることで、「やればできそうだ」という自信につなげていくことができるのです。これが「成功への自信」となります。 言われたことだけでなく、自ら計画・工夫して、試行錯誤の結果成功すると自信は高まりやすくなり、自己管理が持続して行われるようになります。 最後の「Satisfaction(満足)」は、目標をクリアした後に、新しい挑戦へのモチベーションの原動力となる要素です。 「Satisfaction(満足)」 目標に到達したことを認めて褒めることで「満足感」が生まれ、学びを次の行動につなげることができます。「満足感」を得て、学習意欲を高めるには、「内発的な強化」と「外発的な強化」があります。 「内発的な強化」は、自らの努力が実を結び「やってよかった」と思えることにより、次の学習意欲へつながる満足感が得られます。 「外発的な強化」は、講師や上司、同僚から、実力を認知されたり、何かしらの賞賛を得ることにより満足が得られます。外発的な強化は周りの協力が必要なので、上司や同僚から「君がこの知識を知ってたから助かったよ」と声かけが自然と出てくるような職場の雰囲気作りが大切です。 もう1点、「公平さ(Equity)」という要素もあります。 公平さは努力を無駄にさせない首尾一貫した学習環境や公平な評価システムなどです。職場では学習したレベルに合わせて職位を上げたり、給与に反映させたりといった工夫が挙げられます。 自発的に学びたくなる仕組みがARCSモデル ARCSモデルは、最初に「面白そうだ、何かありそうだ」という「Attention(注意喚起)」によって引き寄せられ、次に、学習課題が何であるかを知り、「やりがいがありそうだ、役に立ちそうだ」という自分の価値との「Relevance(関連性)」に気づきます。課題の将来的価値のみならず、プロセスを楽しむという意義も関連性にあたります。 学習に意味を見いだしても、達成への可能性が低いと思えば意欲を失ってしますので、初期に成功の体験を重ね、それが自分の努力に帰属できれば「やればできる」という「Confidence(自信)」が次の学習への興味となってくれます。最後に 学習努力が実を結び「やってよかった」との「Satisfaction(満足)」が得られれば、次への新たな学習意欲につながっていくのです。 自分がトレーナーとして何か教えるのであれば、教える人が自発的に「学ぼう」と思えるしかけを仕込むのが大切です。トレーナーがインストラクショナルデザインのプロセスに携わるのであれば、授業の「魅力」を高めることを目的とした「動機づけ設計」の過程を組み込みましょう。 “インストラクショナルデザインとインストラクショナルデザイナーの役割” 「インストラクショナルデザイン」は、学校教育だけでなく、社会や企業など、教育が行われているあらゆる現場で使われる手法です。 インストラクショナルデザインは、「ニーズの評価と分析」「デザイン」「開発」「実装」「導入後の評価」の、5つの手順をサイクルとして設計します。インストラクショナルデザイナーは、上記のサイクルで使われる教材の開発を行う役割を担います。具体的には、受講者の分析や課題や目的、既存のシステムを分析し、新たな教育システムをデザインします。 デザインする要素としては下記の内容を決めていきます。 教材の構成 教材に統一感を持たせるためのルール インターフェースデザイン 制作チーム スケジュール 学習結果の評価法 インストラクショナルデザインは興味深い内容が多く、また別の機会にご紹介したいと思います。 最後に ARCSモデルは社内教育だけでなく、面談や普段の会話を通して部下に業務に関するスキルを学んでもらえるようなメッセージを伝えていくのにも効果があります。知識やスキルの習得には、本人のやる気を持って取り組めるかどうかがカギだからです。 学習塾のCMに、「やる気スイッチを見つけてONにする!」というのを目にした方も多いかと思います。学習塾の詳しい施策は知りませんが、ARCSモデルはまさに、この学習者のやる気スイッチを探して、ONにする学習モデルだと言えるかと思います。 教える立場の人間として、ただやれと教えるだけでなく、本人自身が「学ぼう」という気持ちになれるような環境づくりが要求される時代です。ぜひARCSモデルを参考にして、やる気スイッチをONにする教育システムを作っていただければと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。
- 機械学習とは ~機械学習が人事・教育システムにもたらすメリット~
ビックデータが近年のネットワークシーンのキーワードとなっていますが、今後もますます利用可能なデータは増え続け、その形態も多様化しています。また、コンピューターの処理能力も高性能かつ安価になり、クラウドなどのデータストレージも低コスト化が進んでいます。 そんな中、様々な形で手に入れた「ビックデータ」をビジネスに賢く利用しようという動きは活発化しており、その1つの解が「機械学習」という技術です。 今回はその「機械学習」のざっくりとした理解と、その技術を人事や教育システムに活かした場合のお話です。 目次 機械学習とは? 我々がすでに体験している機械学習 人材開発や人事面での機械学習のアイディア 今後の機械学習の進化に期待 機械学習とは? 機械学習は英語でもそのままズバリ「Machine learning」と呼ばれています。 1960年あたりから人工知能の一分野として研究が始まりました。その名のとおり、機械が経験から学習することで自動的に判断し、行動していく仕組みを実現させようというものでした。 最近の研究では、コンピュータに、膨大なデータを見せて、その中から見えていないものを予測するという分野が盛んにおこなわれています。特に、コンピュータの処理速度の向上したうえ、インターネットで大量のデータが発生したことにより、統計的機械学習と呼ばれる、統計的な手法を基礎とするアプローチが、ビジネス分野において大きな成功を収めており、もっぱら機械学習というと、統計的機械学習のことを指すことが多い状況です。 以前の統計的機械学習は、自然言語処理やバイオインフォマティクスなど学術用途が中心でしたが、現在はマーケティングや信用リスク予測などのビジネス用途での応用分野において目覚ましい発展をしています。 昔の機械学習の手法では、人が教師となり、訓練データを入力し、それを参考にしてコンピューターは学習していました。 今の機械学習では、さまざまなアルゴリズムを用いてビックデータから反復的に「学習」するため、人間が教師とならなくても、コンピューターが自律的にデータから洞察を導き出せるようになりました。 人が見てもとても見切れないような、大量のデータに埋もれて見えないものを「見えるようにしてくれる」、この「コンピューターならではの洞察」が人には考え付かないマジックを生み出すのです。 我々がすでに体験している機械学習 1. 株式取引における予測モデリング 過去の膨大なデータに現在の株式の値動きをぶつけて、その株式の売買判断をしてくれるソフトが、企業・専門家向けのものから、個人投資家向けのものまで、たくさん出ています。ネットトレーディングが中心になったこの分野は、機械学習にとても適しています。 また、いままで人では気づかない知見がたくさんみつかっているのも注目です。 AI界の第一人者ベン・ゲーツェルと彼の率いるAidyia社は、すべての株式取引を、人間の介入なしに人工知能(AI)によって行うヘッジファンドを始めました。 2. Amazonなどオンラインショップの商品レコメンド機能 顧客の購買履歴から、その顧客が興味を持って購入しそうなものを識別します。 一度見た商品を推薦する従来型の「リマーケティング」に対して、「まだ見たことのない商品」でも、推薦対象としてふさわしい可能性がある物を薦めるのが「レコメンデーション」です。この「推薦対象」を決めるのに使われるのが、「協調フィルタリング」などのアルゴリズムを使った機械学習です。 今やECサイトや検索エンジンで欠かせない要素となったレコメンデーションは、マーケティング理論と組み合わさり、Webの進化の一端を担っています。 3. SNSの投稿項目の分析 Twitterで何をつぶやいているかの把握することで、顧客が自社(や製品)についてどういう評価をしているかを探ったりしてます。自動で生の声を収集して整理してくれるので、非常に助かります。 また、資生堂の「uno SOCIAL BARBER」では、SNSアカウントに接続して、過去の投稿を分析、性格傾向診断をしたうえで、一歩大人に近づくためのアドバイスとヘアスタイルの提案をしてくれるというサービスを行いました(現在は終了)。ここでも機械学習が活躍しています。 4. スパム検知・処理 メールのメッセージのうち、どれがスパムでどれがそうでないかを文章を解析し、識別します。 一日に全世界で飛び交っている電子メールは大量すぎますので、全部チェックしてデータを取るのは不可能です。そこで、Gmailでは「迷惑メールを報告」というボタンがあり、スパムであることをGoogleに伝えることができ、そういった機能を使い、まず大量の「スパムメール」と「スパムでないメール」を集め、「スパムを判定できるモデル」を選びます。 大量のメールでモデルにどのようなメールがスパムかそうでないかを学習させることで、スパムフィルタのモデルを構築します。そのスマムフィルタのモデルに「未知の新しいメール」をいれると、モデルが「スパムかどうか」を判定してくれます。 5. クレジットカード不正検知 ある顧客のカード取引履歴を分析して、その顧客が買わなそうなものが買われた場合にアラートを上げます。 具体的には、ECサイト内での画面遷移や各画面の滞在時間といった購入者の行動ログ、クレジットカード情報、購入者のアクセス元などからモデルを学習させ、クレジットカードの不正検知を行っています。 6. サイバー監視機能 既にわかっている攻撃パターンだけでなく、通信のやり取りを見て、不正の兆候を感じ取り、アラートを上げてくれたり、防御のため遮断したりします。 7. 会話理解 iPhoneのSiriなどの音声認識で有名ですね。かなり柔軟に話し相手になってくれるようになりました。SoftbankのCMで有名な「Pepper」も、さながらロボット執事のようで、未来的でワクワクします。 ロボットがスムーズに会話し、必要な情報を提供し、最適なアドバイスを行うためには高度な自然会話エンジンや人工知能が不可欠です。Pepperとの会話はIBMのWatsonといった機械学習(ディープラーニング)のテクノロジーが生かされています。 8. 形態検出(顔検出や車の自動運転) IDカードの写真と、人とのチェックや、たくさんの写真アーカイブから、人を抜き出して表示させるなんてことも可能です。 同様の技術でGoogleのロボットカー(自動運転車両)で、センターラインや道路形状、対向車、歩行者などを検知するシステムです。 このように、パッと上げただけでもこれだけの分野で機械学習が利用されています。便利ですし、イノベーションを感じる技術ばかりです。注目されるわけですよね。 人材開発や人事面での機械学習のアイディア ここ数年で、弊社にも「人事や社員教育などで機械学習を使えないか?」という案件がちらほら来ております。取り掛かるとなるとなかなか時間がかかるのですが、既に出ているアイディアや実際の事例として、いくつかご紹介したいと思います。 退職しそうな従業員を早期に突き止め、慰留させる 退職に伴うコストのロスは、一般的に年収が500万円の中途社員1人当たり250万円になるそうです。ハイパフォーマーでしたらなおさらですね。そうした退職に関しても機械学習が活躍しています。 機械学習は、消費者の行動を分析し、消費者本人も気づいていないような嗜好を見つけ出したりするのですが、これを消費者を従業員に起き換えます。具体的には、従業員自身も意識していないような仕事や活動のデータから検知し、過去の従業員のデータから、現状在籍している貢献度の高い従業員の離職リスクを測定し、離職の確率や金銭的な被害額などをはじき出すというものです。まあ、売り上げなどの成績が悪くなっているのにもかかわらず、残業をしないで帰ったり、有給を消化しているなど。まあ、接していればわかることもあるかと思いますが、そうした顕著な傾向だけでなく、機会学習ならではの洞察があるようです。 さらに、その従業員を引き留めるために実施するべき対策まで感がてくれます。まさにデータサイエンスと機械学習を使ったアプリケーションですね。 退職予測では、ファーストリテイリングが採用したSaaS型人事・財務アプリ「Workday」が有名です。 株式会社SUSQUEのクラウド型人事・労務分析ツール「サブロク」では退職予測だけでなく、「精神疾患(うつ病)発症者予測サービス」なんてのもあります。面白いのは、ゲームアプリ開発会社・コロプラでゲームユーザの離脱傾向分析をしていた折に、その分析手法を企業の従業員の退職確率に応用できると考えて作ったそうです。 人事採用で機械学習が活躍 米国では、採用時に責任者が応募者の中から選ぶと、多くのケースで先入観や偏見が紛れ込んでしまうので、人間だと公平な人事採用が難しいと言われ、人工知能による評価手法に注目が集まっています。 確かに採用時における機械学習のメリットはたくさんありそうです。 履歴書の段階でランキング 機械学習で、履歴書の段階で自社基準を設けて分析しておけばある程度、自社基準を満たした人だけ審査すればよくなります。この段階で正確なフィルタリングができれば、面接の負荷も下がり、社員のクオリティアップ、採用コストの削減が可能です。 担当者によるばらつきをなくす 例えば、同じ高校や大学だったり、田舎が同じだったりして、ついバイアスをかけてしまったりすることを事前に防ぎます。 テストの結果やSNSでの活動などを総合的に判断 性格テストやスキルテスト、さらには、SNSなどでのコメントなどのデータをあつめて総合的に判断します。面接時だけいい子にしていても、SNSを分析して普段の行いがさらけ出されてしまうんですね。。。学生さんは特に気を付けましょう。 機械学習を使ったハンティング 応募者としてだけではなく、ソーシャルサイトなどから集めたデータを基に、優秀な人材を探すサービスが既にあります。 自社のカルチャーに合った人材を見つけ出す ソーシャルの話が出ましたが、一般的な評価軸だけではなく、自社でのハイパフォーマー(成功者、貢献者)のデータを分析し、「ある会社で最も活躍してくれる人材」を見つけ出します。 自己学習を最適化する機械学習 仕事の成績や、人事の評価などパフォーマンスのデータと研修や自己学習のポートフォリオのデータを分析し、個人の性格に応じた勉強方法をレコメンドしたり、本人は意識していないけど、データを細かく分析するとわかる「足りてない能力」などをアドバイスしてくれます。 データから分析するので、人の目からではなかなかわからないような細かい指導が可能です。 また、本来必要なのに学べていないような内容を見つけ、カリキュラムの穴を指摘してくれたりします。 さらに、その企業でのハイパフォーマーの分析をすることにより、自分に何が欠けているのかがわかるようになります。 細かいことですが、教材などのコンテンツのレベルにも機械学習により、間違えた問題の傾向や、弱点を集中的に表示したり、テストしたりすることもすでに実装されています。 今後の機械学習の進化に期待 機械学習はまだまだ進化しそうです。採用だけでなく、業務の評価面でも人間の感情が入ると、バイアスがかかって不公平な結果になることがあるでしょう。機械学習は今後の人事や社員教育に大きな利益をもたらしてくれると思います。ただ、その洞察を正しく判断して運用していただきたいと思います。機械に評価されるより、尊敬する上司に評価されたされたほうが、頑張れるような気がします。 機械学習は今後のコンピューティングテクノロジーの中心に位置する技術だと思いますが、映画『ターミネーター』の「スカイネット」のように、人間と対立する意志を持った自律型のコンピュータにならないようにしていただきたいと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。
- エビデンス・ベースト・エデュケーションとは
「○○ベースド」という言い方をよく見るようになりました。やり方のベースとなるものを明示して、それに沿った方法に付けられる言い回しです。「アカウント・ベースド・マーケティング」とか「ピープル・ベースド・マーケティング」とかマーケティング分野でよく使われ、方法論のベースとなるものを明示することにより、コンセプトが明確になります。 今回のキーワードは、教育分野でも比較的新しいキーワードである「エビデンス・ベースト・エデュケーション」です。 目次 エビデンス・ベースト・エデュケーションとは 教育政策とエビデンス 医療の分野ではエビデンスは主流 最後に エビデンス・ベースト・エデュケーションとは 「エビデンス」は英語の「Evidence」を指し、最近はビジネスの会話の中でも普通に耳にするようになった言葉ではないでしょうか。意味は「(立証するための)証拠(物件)、物証、証言、証拠」です。IT業界などでは「効果測定のエビデンスを出してください」なんて言い回しがよく聞かれますが、統計データなどの科学的根拠に基づいて判断などを行うことを指すのが「エビデンス・ベースト(evidence based)」です。つまり、「Evidence Baced Education」は「エビデンスに基づく教育」ということです。 教育で統計データや科学的根拠といってもあまりピンとこないかもしれませんが、要は、「教える人の勘や経験上からではなく、数字や質的調査、研究に基づいて教育の内容や方法を作り出す」ということだと私は認識しています。 エビデンスに基づいた教育の必要性は、90年代のイギリスで主張され始めました。時代背景として、イギリスではブレア政権が「エビデンスに基づく政策」を推進したこともあり、教育研究でもエビデンスに基づく教育政策や、それを支えるための教育研究が広まったようです。 エビデンス・ベースト・エデュケーションの定義の一例として、2012年にEvidence Based Education研究会によって定義されたものが下記になります。 「入手可能な最良の研究調査・実践結果をもとにして、実践者の専門性と児童生徒及び保護者の価値観を統合させることによって、臨床現場における実践方法に関する意思決定の最善化をはかるための行動様式」 また、教育経済学者で・慶應義塾大学の中室牧子准教授による説明では、 ”エビデンス・ベースト・エデュケーションとは、科学的根拠(エビデンス)に基づく教育政策のことであり、データに基づいて教育を分析し、そこから得られた知見を政策に生かすという考え方である。端的にいってしまえば「どういう教育が成功する人を育てるのか」ということを、科学的に明らかにしようとしているのである。” と説明されています。 米国で実施されている具体例を見てみたいと思います。 教育政策とエビデンス 教育は、国や地域によってさまざまの方法があります。 細かく見れば、教師一人ひとりの考え方や、教え方にもよるでしょう。そこには各自の「主観」が大きく働いています。 その「主観」をもとに教育は行われますが、果たしてそれは本当に正しいのでしょうか? その教育による成功者は、他の方法より多かったのでしょうか? 人間の成功には、あまりにも多くの要因が影響しているため、一般化することはとても難しいです。たまたま、その生徒にマッチした教育だっただけかもしれませんが、それを証明することは教育の比較実験に消極的でデータの乏しい日本では難しいと思われます。 アメリカでは、教育経済学が活用されており、教育にかける予算などは行政府に厳しく管理されています。州などが新しい教育政策をやろうと思ったら、実験対処の一部の学校で社会実験を行い、そのデータから成果が出たら場合は、その方法に投資をしてスケールアップしていく方法がとられます。つまり科学的な裏付けがないと教育政策に予算はつけないというはっきりとした方針があります。 以前、米国で幼稚園と小学校で最適なクラスの規模を探る実験が行われました。 生徒数を10名以下の小クラス、13~17名の中クラス、22~25名の大クラスに無作為に分け、クラス分けの前と後で、テストを行い、その偏差を調べるといったものです。 この実験では、中クラス(13~17名)のクラスが一番良い成績でした。 教育学の常識的に考えると、少人数指導の小クラスが一番良さそうな気もしますが、実験の結果は中クラスが一番良かったんです。 そこで全米で、最適なクラスサイズは中クラスという基準ができました。もし、これが教育委員会や教育者の主観で提唱されていたら、小クラスになったかもしれせん。もっとも、小クラスは教員の人件費がかかりますので、費用的に中クラスになる結果だったのかもしれませんが。 ちょっと古い実験ですが、最近の実験では、iPodなどデジタル教育ツールの効果について実験した例があります。 実験では、iPadなどのタブレット端末を教科書にした児童と、本の教科書を使った児童のどちらが成績が良かったかを調べました。実験結果としては、両者に成績の差はなかったようですが、コスト的に数万かかるタブレット端末と、数百円の書籍と効果が一緒であれば、書籍のままになるでしょう。 この実験がなければ、時代の流れもあり、教育業者が進めるタブレット教材が購入されていたかと思います。結局タブレット教材のICT関係者はその後、改良と実験を繰り返し、タブレットの教育効果のエビデンスを証明していかなければならなくなりました。 このように米国では、生徒の偏差値を1ポイント上げるためにいくらコストがかかるのかを、教育経済学を使って分析し、それに基づいて教育が決められていくのです。 医療の分野ではエビデンスは主流 「エビデンス」とは、もともと90年代に医療分野で使われ始めた言葉です。そのため、エビデンス・ベースト・エデュケーションの説明では、似た方法論として医療の分野で使われる「エビデンスに基づく医療(Evidence Baced Medicine :EBM)」がよく紹介されています。エビデンス・ベースト・エデュケーション同様の訳で、「科学的に証明された根拠に基づいて医療を行う」と訳されます。 EBMには、「Evidence Baced Medicine :EBM の5ステップ」というプロセスが取られます。以下はその5ステップのプロセスを箇条書きにしたものです。 Evidence Baced Medicine :EBM の5ステップ Step1 問題の定式化 患者の問題をカテゴリに分類 患者の問題を「どんな患者が(Patient)」、「ある治療/検査をすると (Intervention / Exposure)」、「どうなるか Outcome」の3要素に定式化 患者中心のOutcomeの設定 Step2 情報収集 情報源の種類と特徴 適切な情報の検索 Step3 批判的吟味 治療の論文の批判的吟味 治療効果を表す指標と特徴 Step4 患者への適応 論文と実際の医療環境の違いを指摘できる 論文の内容を患者に説明できる Step5 中止と継続 うまくいかない場合は、そのプロセスを一旦中止 中止して、次の問題に取り組む 5ステップを整理するとこのようになります。 step 1:疑問(問題)の定式化 step 2:情報収集 step 3:情報の批判的吟味 step 4:情報の生徒への適用 step 5:step 1~step 4のフィードバック ここで大切なのは、根拠があれば何でも「エビデンス・ベースド」で効果があるわけではなく、自然科学の手法にのっとった研究手続きをどの程度踏んでいるかで、質の高い/低いというエビデンスの階層があります。エビデンスの質はとても重要なのです。 また、なんでもそうですが、実践だけでなく、理論だけでもなく、実践と理論の両方が連携していくことが重要です。エビデンスが証明されたからと言って、それが教育上正しいわけでもないので、そこには慎重な議論が大切です。 例えば、子供の教育効果の実験では、「親の経済力が子供の教育効果に影響がある」という実験結果が報告されています。しかしながら、経済力の低い親から子供を引き離して、エビデンスで証明された理想的な環境で育てることが、教育効果が高いからと言って「正しい」ことではありません。 また、先にあったイギリスのエビデンスによる教育改革では、教師の裁量が減ったことによる偏りや、テスト漬けによる悪影響などが問題となってもいます。やはり状況に応じて、実践と理論の両方がうまく連携していくことが大切なんですね。 最後に とは言え、データを正しいプロセスで取得・分析し、そこから導き出されたエビデンスによって施策を行うことは、一部の人間の勘や経験に頼るよりは信頼性は高いと私は思います。 それゆえに、今後の教育行政には「少人数学級」「タブレット端末教科書などのICT化」などはしっかりとしたエビデンスを取って実施してもらいたいと思います。私の経験上、様々な社会環境の変化に対応していくには、古い人間の勘や経験が追い付いていかないような気がします。 今注目されている統計学ブームに乗るわけではありませんが、結果が証明する事実に目を向けるのも大切だと思います。 企業における人材教育でも、こうした動きは顕著です。 e-Learningのシステム上のデータを利用した効果測定は常に行われています。このデータは科学的な実験ではないのでどこまで信用できるかはなんとも言えませんが、そういったデータ上の動きをトレースして、新たな教育手法がどんどん生まれてきています。 例えば、グループを2つに分けて、研修とe-Learningのブレンド具合を変えて、その効果を測定するなどです。これもその企業の業種やカルチャーにもよりますが、こうした実証実験をもとにした取り組みがもっと増えてくると、人材教育はどんどん面白くなってくるような気がします。 最後に米国の実証実験によりわかったエビデンスの一つに、「どの高校や大学にいっても、将来の年収に影響しない」というのがあるそうです。 なので、私もあきらめずに頑張りたいと思っております(笑)。 最後までお読みいただきありがとうございました。
- ソーシャルラーニングとは
人材の流動化により、「あいつがいた頃はできたことが、今はだれもできない」という現象が起きている企業がけっこうあります。「ナレッジのマネジメント」ができていない結果だと思います。会社が大きくなり、拠点が広域化し、従業員の数や移動が多くなると、ますますナレッジのマネジメントは困難になります。 そして、社員の属人的なスキルや経験を、企業の財産として蓄積するという課題の解決方法として「ナレッジマネジメントシステム」が提案されてきました。 「ナレッジマネジメントシステム」のナレッジの収集・蓄積の手法として、「ソーシャルラーニング」がよく導入されます。 目次 ナレッジマネジメントの手法としてのソーシャルラーニング ソーシャルラーニングを組み込むことのメリット ソーシャルラーニングの成功事例 最後に ナレッジマネジメントの手法としてのソーシャルラーニング 社員の学習方法は、その提供者や方法により、「フォーマルラーニング」と「インフォーマルラーニング」という形で分けることができます。 「フォーマルラーニング」とは、「講師」と「受講者」の形で行われる研修や講習会(セミナー)、ワークショップなどで、所属する企業などが、自社従業員のためにカリキュラムを立てて、企画して行います。まさに、会社からの「公式」な学習です。当然、強制力も強めで、全体への浸透力もありますが、コストや、カリキュラムの立て方により、どうしても組み込めないスキルもあります。 対して、「インフォーマルラーニング」は「公式ではない」学習ということになります。具体的には、仕事中や休憩中に同僚や先輩との会話などを通じて行われる情報交換や、ネットでの質問箱なんてのもインフォーマルラーニングです。これらは学習内容や目標は自由で、時間や場所も決まっておらず、各個人で行われるため、会社としての情報の蓄積や共有が難しかったという経緯があります。 「ソーシャルラーニング」もインフォーマルラーニングの1つで、TwitterやFacebookなどのSNSや、ブログ、YouTube、Q&Aサイトといったソーシャルメディアを学びのツールとして活用する学習システムを指します。 フォーマルラーニングのように、「講師(教える側)」と「教えられる側」の役割を明確化・固定化した一方的な教育ではなく、参加者同士がネットワークを通じてインタラクティブに教え合うことで、インフォーマルラーニングは成り立っています。 この「ソーシャルラーニング」の仕組みを、企業における「ナレッジマネジメントシステム」に取り入れることにより、フォーマルラーニングでは行き届かないスキルやナレッジの共有を実現しようという試みが進んでいます。 ソーシャルラーニングを組み込むことのメリット 本来インフォーマルな学習方法であるソーシャルラーニングを、企業のeラーニングシステムに取り込むメリットとしては、以下の効果が期待できます。 汎用の教材にはない、会社カルチャーを反映したe-ラーニングができる 会社のカルチャーに沿った質問ができるので、具体的かつ、細かな意見を貰え、先輩やエキスパートの経験をシェアすることが可能です。これは汎用の教材ではできない、最大のメリットかもしれません。 不得意分野の克服が可能 フォーマルラーニングではしばしば、「置いてきぼり」や「何となくわかった気になる」といったことが起こりがちです。これはカリキュラムや講師の教え方、また、研修など1回しか機会がないなどの理由で起こりがちです。ソーシャルラーニングであれば、十分に理解しきれなかったという内容を質問し、いろいろな人の言葉で納得がいくまでやり取りすることで、学習の完成度がグッと上がります。 最新の情報について学べる どの会社でもアンテナを高く張って、最新の情報を持っている人物はいるのではないでしょうか。しかしながら、日常、その人物の知識を分けてもらえる人は、関わり合いのある、周囲のごく限られたメンバーになります。ソーシャルラーニングに参加してもらえれば、他の社員がその恩恵にあずかることができ、さらに触発されて、自発的に情報を収集、共有するモチベーションが育まれ、更なる活発化が期待されます。 代理学習として 代理学習とは、「何かについて知りたいが調べる時間がない。そういう時に誰かに振って、まとめてもらって学習する。」という考え方です。質問もある種の代理学習ではありますが、ここでの代理学習とは、より再利用や情報の蓄積を目的として、効果的に行われることが期待されます。プロフェッショナルとして役立つ形で情報収集しあい、そこから効率的に学ぶということです。 ソーシャルスキルやコミュニケーションスキルの上達 ソーシャルラーニングの核は、共有とコラボレーションによる学習です。課題やアイデアを話し合い、お互いに刺激しあったりする過程で、個人は自立性や自律性、相手の個性を尊重する柔軟性を養い、コラボレーションに欠かせないソーシャルスキルやコミュニケーションスキルを身につけられます。 ソーシャルラーニングの成功事例 ソーシャルラーニングは米国のIT企業などで積極的に導入され、成果を上げています。 有名な例ではGoogleの取り組みです。Googleは、「社員一人ひとりがイノベーションへの貢献者であれ」と位置づけ、新しい製品・サービスや会社の改善などのアイディアを、全社員向けのイントラネット上で積極的に投稿させています。世界中の社員がそのページを閲覧し意見を交わすことで、アイデアはより効率的にブラッシュアップされ、実際にいくつものサービスがリリースされました。 会社のカルチャーをナレッジマネジメントする手法としては、インテルの「インテルペディア」も有名です。これはインテル版Wikipediaで、社内の膨大な情報量の共有と活用を目的に、社員によって自発的に構築されました。 最後に 日常的に行っている何気ない学びの習慣をナレッジマネジメントの手法として取り入れたソーシャルラーニング。効果は知識習得だけではなく、学びの過程、つまり相手とのやり取りの中で培われるソーシャルスキルやコミュニケーションスキルの上達にあります。 何よりも、お互いに意見を出し、刺激し合うことで、仕事に対するモチベーションや、同僚とのコラボレーションの意識、つながりが強固になります。 イノベーションの創出やパフォーマンスの改善は、フォーマルラーニングの様な決まった学習内容からは生み出されないのかもしれませんね。 最後までお読みいただきありがとうございました。







