【2026年最新】女性活躍推進とは?法改正のポイントと企業が取り組むべき実務ステップを徹底解説
- 5月1日
- 読了時間: 24分

女性活躍推進とは、女性が職業生活においてその個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指す取り組みです。
単なる努力目標ではなく、2026年4月の法改正により、企業の義務化の範囲が拡大しました。
最新の女性活躍推進法の内容を理解し、企業の取り組みとして具体的に実践することは、多様な人材を確保し、持続的な成長を遂げるための重要な経営戦略です。
女性活躍推進をはじめとする研修プログラムの実施や、LMSを活用した人材育成の取り組みについては、「事例紹介(明治安田生命保険相互会社、株式会社コロワイド、株式会社ゆうちょ銀行他)」で詳しくご紹介しています。
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目次
女性活躍推進とは?今、企業に求められる背景
女性活躍推進とは、性別に関わらず誰もがその能力を最大限に発揮できる環境を整備する取り組みを指します。
近年、少子高齢化に伴う労働力人口の減少や、経済のグローバル化といった社会構造の変化を背景に、その重要性が一層高まっています。
多様な人材の活用は、企業の競争力を維持・強化し、持続的に成長するための不可欠な経営課題として認識されています。
労働力不足の解消と多様な視点によるイノベーション
日本国内において、少子高齢化に起因する生産年齢人口の減少は、多くの企業にとって深刻な経営課題となっています。
これまで十分に活用されてこなかった女性の労働力を確保し、その能力を発揮できる環境を整えることは、労働力不足を補うための直接的な解決策です。
さらに、女性を含む多様なバックグラウンドを持つ人材が組織に加わることで、異なる視点や価値観が生まれ、同質的な組織では生まれにくい新しいアイデアやイノベーションの創出が期待されます。
人的資本経営と投資家からの評価(ESG投資・なでしこ銘柄)
従業員をコストではなく「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値向上を目指す「人的資本経営」が、現代の経営における重要な考え方となっています。
投資家も、企業の持続的成長性を判断する上で、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みを重視する傾向を強めています。
特に、環境・社会・ガバナンスを評価軸とするESG投資において女性活躍は重要な指標です。
経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「なでしこ銘柄」は、女性活躍推進に優れた企業として、投資家から高い評価を受けています。
「ジェンダー・ギャップ指数」に見る日本の現在地
世界経済フォーラムが毎年発表する「ジェンダー・ギャップ指数」において、日本は長年にわたり先進国の中で極めて低い順位に位置しています。
この指数は「経済」「教育」「健康」「政治」の4分野における男女間の格差を測るものですが、日本は特に「経済」と「政治」分野での格差が大きいと指摘されています。
女性の管理職比率の低さや男女間の賃金格差といった課題は依然として根強く、こうした国際的な立ち位置も、国が法整備を強化し、企業に変革を促す大きな要因となっています。
【2026年4月施行】女性活躍推進法の改正ポイントと企業の義務
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律は、これまでも段階的に対象企業が拡大されてきました。
2023年までに示された方針に基づき、2026年4月1日からは、企業の義務がさらに拡大されました。
この法改正は、女性活躍に向けた企業の自主的な取り組みを一層加速させることを目的としており、対象となる企業は新たな対応が求められます。
常時雇用101人以上の企業で男女の賃金格差の公表が義務化
2022年7月から常時雇用する労働者が301人超の企業に義務付けられていた「男女の賃金の差異」の情報公表が、2026年4月1日からは常時雇用する労働者が101人以上の企業にも義務化されます。
対象企業は、「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者(パート・有期社員など)」の3つの区分で男女間の賃金差異を算出し、おおむね1年に1回以上、定期的に公開しなければなりません。公表の場としては、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」の活用が最も適切と推奨されています。
この義務化は、単に数値を公開することだけが目的ではありません。指標の大小のみに着目するのではなく、格差の要因や課題を分析し、改善に向けた自主的な取り組みを促すことを狙いとしています。
情報公表項目の拡大
今回の法改正で最も注目すべき変更点は、「男女間賃金差異」に加えて、「女性管理職比率」の公表も101人以上の企業に新たに義務付けられることです。 企業規模によって、公表すべき必須項目と選択項目の数が以下のように異なります。
301人以上の企業(計4項目以上)
「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の必須2項目に加え、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」と「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」の2つの区分から、それぞれ1項目以上を選択して公表する必要があります。
101人~300人の企業(計3項目以上)
上記の必須2項目に加え、指定された14項目(「採用した労働者に占める女性労働者の割合」「男女の平均継続勤務年数の差異」など)の中から1項目以上を選択して公表します。
情報公表の範囲や内容は、求職者が企業を選択する際の重要な要素となります。そのため、必須項目数以上の項目についても、積極的な公表を検討することが推奨されています。
新認定制度「えるぼしプラス」の創設とメリット
「えるぼし認定」とは、女性活躍推進に関する行動計画の策定・届出を行った企業のうち、取り組みの実施状況が優良な企業を認定する制度です。この認定や、より上位の「プラチナえるぼし認定」を受けると、企業には以下のような強力なメリットがあります。
PRによる優秀な人材確保・イメージ向上
自社のホームページや求人票(ハローワーク等)、商品、名刺などに認定マークを表示し、女性活躍推進企業であることをアピールできます。
公共調達における優遇措置
国の機関等による総合評価落札方式や企画競争による調達において、加点評価を受けることができ、有利になる場合があります。
低利融資の利用
日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」を通常よりも低金利で利用することができます。
さらに、今回の制度見直しにより、従来の認定制度に加えて、新たに「えるぼしプラス」という認定制度が創設されました。「えるぼしプラス」の最大の特徴は、「女性の健康支援に関する基準」が追加された点です。
具体的には、女性の健康上の特性(生理や不調など)に配慮した休暇制度の整備をはじめ、時差出勤やテレワークといった柔軟な働き方の実現、気軽に相談できる体制づくりなどが評価基準となります。
えるぼし認定や新設された「えるぼしプラス」の取得は、働きやすい職場としてのイメージ向上による採用力強化だけでなく、公共調達や資金調達といった経営面でも実質的な恩恵をもたらします。
[参照]厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
厚生労働省「男女間賃金差異の解消に向けて」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku09/index.html
厚生労働省「認定のメリット」
企業が女性活躍推進に取り組む4つのメリット
女性活躍推進への取り組みは、法的な義務を遵守するだけでなく、企業の持続的な成長を支える重要な経営戦略です。
多様な人材がその能力を最大限に発揮できる環境を整備することは、事業活動全体に多岐にわたるメリットをもたらします。
具体的には、優秀な人材の確保、イノベーションの創出、企業イメージの向上、そして生産性の向上という4つの大きな利点が期待されます。
優秀な人材の確保と定着につながる
労働力人口が減少する中、優秀な人材の確保は企業の最重要課題です。
性別にかかわらずキャリアを形成でき、ライフイベントと仕事を両立できる環境が整っている企業は、求職者にとって大きな魅力となります。
特に、ダイバーシティやインクルージョンへの姿勢は、企業選びの重要な基準になりつつあります。
女性活躍を推進することは採用競争力の強化に直結し、既存の優秀な従業員の離職を防ぎ、人材の定着率向上にも大きく貢献します。
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女性活躍の推進は、優秀な人材の流出を防ぐ大きな鍵となります。離職防止の具体的な施策はこちらの記事で詳しくご紹介しています。
多様な視点によるイノベーションが創出される
従業員の性別や年齢、価値観が多様であるほど、組織内でのアイデアや視点も多角的になります。
これまで男性中心の視点では見過ごされてきた消費者のニーズや市場の可能性を発見し、新しい商品やサービスの開発につながるケースは少なくありません。
このような多様性は、変化の激しい現代のビジネス環境において、的確な意思決定を下し、予期せぬリスクに対応する組織の柔軟性を高める上でも極めて重要です。
企業イメージが向上し競争力強化につながる
女性活躍推進に積極的に取り組む姿勢は、企業の社会的責任(CSR)を果たす企業として、顧客、取引先、投資家、そして地域社会からの信頼を獲得することにつながります。
厚生労働省の「えるぼし認定」や経済産業省の「なでしこ銘柄」といった公的な評価を得ることは、その取り組みを客観的に証明し、企業ブランドを大きく向上させます。
金融市場での評価が高まるだけでなく、ビジネスチャンスの拡大にも結びつき、企業の総合的な競争力を強化します。
従業員の満足度と生産性が高まる
性別に関係なく、公正な評価と機会が与えられる職場環境は、従業員のエンゲージメント、つまり仕事に対する熱意や貢献意欲を引き出します。
働きがいを感じる従業員は、自らの業務に主体的に取り組み、高いパフォーマンスを発揮します。
また、長時間労働の是正や柔軟な働き方の導入は、従業員のワークライフバランスを改善し、心身の健康を維持することに繋がります。
その結果、組織全体の生産性向上という具体的な成果をもたらします。
女性活躍推進が進まない企業の共通課題
女性活躍推進の重要性を理解していても、実際の取り組みが形骸化してしまったり、思うように進まなかったりする企業は少なくありません。
その背景には、多くの企業に共通する根深い課題が存在します。
特に、組織文化に浸透したアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)、キャリア形成を阻む構造的な問題、そして旧態依然とした評価制度などが、推進の大きな障壁となっています。
アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)と性別役割意識
アンコンシャス・バイアスとは、誰もが持つ無意識の思い込みや偏見のことです。
例えば、「育児中の女性に責任の重い仕事は任せられない」「重要な交渉事は男性の方が向いている」といった無意識の偏見が、採用、配置、昇進といった人事評価の場面で不公平な判断を生むことがあります。
このような「男性は仕事、女性は家庭」といった根強い性別役割分業の意識は、女性のキャリアアップを阻害するだけでなく、組織全体の活力を削ぐ原因となります。
管理職を目指しにくい環境(L字カーブとインポスターシンドローム)
日本の女性の労働参加は、出産・育児期に正規雇用から離脱し、その後非正規雇用で再就職する割合が高いことから、労働力率のグラフが「L字カーブ」を描く傾向が指摘されています。
キャリアの中断や非正規化は、管理職に必要な経験を積む機会を奪い、昇進の道を閉ざす一因となります。
また、自身の能力を過小評価し、「自分は管理職にふさわしくない」と感じてしまうインポスターシンドロームに陥る女性もおり、昇進への意欲自体が削がれてしまうことも課題です。
長時間労働を前提とした評価制度の限界
「会社にいる時間の長さが貢献度」と見なされるような、長時間労働を前提とした働き方や評価制度は、女性活躍推進を阻む大きな壁です。
育児や介護などで時間に制約のある従業員は、能力が高くてもフルタイムで残業できる従業員と同等に評価されにくく、キャリアアップの機会を逸しがちです。
このような制度は、性別を問わず全従業員のワークライフバランスを悪化させ、かえって生産性を低下させます。
労働時間の長さではなく、創出した成果で公正に評価する制度への転換が不可欠です。
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女性活躍推進のために企業が取り組むべき4つのステップ
女性活躍推進法では、企業に対してPDCAサイクルに沿った取り組みが求められています。
まず自社の状況を把握・分析し、それに基づき行動計画を策定、計画を実行し、効果を検証して次につなげるという一連の流れです。
この法律の枠組みに沿って進めることが、実効性のある女性活躍推進のためには不可欠であり、具体的には以下の4つのステップで体系的に取り組みを進めます。
Step1. 自社の女性の活躍状況を把握し課題を分析する
まずは直近の事業年度を対象に、自社の現状を客観的に把握して課題を分析します。
必ず確認すべき4つの「基礎項目」は以下の通りです。
採用した労働者に占める女性労働者の割合
男女の平均継続勤務年数の差異
労働者の各月ごとの平均残業時間
管理職に占める女性労働者の割合
これらから浮かび上がった課題に対しては、さらに「男女別の育児休業取得率」や「有給休暇取得率」といった選択項目を活用して状況を把握します。男女間の格差の根本的な原因を深く分析することで、実効性のある対策を検討する土台が完成します。
Step2. 課題に基づいた行動計画を策定し社内外へ公表する
状況把握と課題分析の結果をもとに、「一般事業主行動計画」を策定します。
計画には以下の4項目を必ず盛り込みます。
計画期間: 実情に合わせておおむね2年間から5年間に設定
数値目標: 達成を目指す、自社の実情に見合った水準
取組内容: 目標達成に向けた具体的なアクション
実施時期: 取組をいつから実行するかを明確にする
策定後は、非正社員を含むすべての労働者へ、事業所への掲示やメール等により計画を周知します。さらに、求職者等が閲覧できるよう、「女性の活躍推進企業データベース」や自社サイト等を通じて外部へ公表します。
Step3. 策定した行動計画を管轄の労働局へ届け出る
行動計画を策定、または変更した場合は、管轄の都道府県労働局へ速やかに届け出る必要があります。
提出書類
所定の「一般事業主行動計画策定・変更届」を使用します。次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画と要件を合わせた「一体型」の様式を使用することも可能です。
提出方法
電子申請システムを利用したオンライン申請、郵送、または労働局窓口への直接持参から選択可能です。
この届出を行い、優良な取組を実施して基準を満たすと、「えるぼし」や「プラチナえるぼし」といった国の認定取得を目指すことも可能になり、企業PRにも繋がります。
Step4. 計画に沿った取り組みを実施し効果を測定する
届出後は、計画に定めた取組を実行し、効果を測定するフェーズに入ります。
PDCAサイクルの確立
定期的に数値目標の達成状況や取組の実施状況を点検・評価します。その結果を次なる取組や計画の改定に反映させるPDCAサイクルを確立させましょう。
実績情報の公表
求職者の企業選択に役立つよう、自社の女性活躍に関する情報を定期的に(おおむね年1回以上更新して)インターネット等で外部へ公表することが求められます。
継続的な改善と積極的な情報発信により、優秀な人材の確保や企業競争力の強化が期待できます。
[参照]厚生労働省「女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!」
自社の取り組みは「女性の活躍推進企業データベース」で公表する
厚生労働省は、各企業の女性活躍推進に関する情報を一元的に集約し、社会に広く公表するための「女性の活躍推進企業データベース」を運営しています。
企業はこのサイトに、自社の行動計画や、採用者に占める女性比率、男女の勤続年数格差、育児休業取得率といった様々なデータを登録・公表します。
これにより、法律で定められた情報公表義務を果たすことができます。
また、このデータベースは学生や求職者が企業研究に活用するため、採用活動において自社の魅力をアピールする有効な場ともなります。
登録に関する相談は、各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)などが支援センターとして対応しています。
明日から実践できる!女性活躍を推進する企業の取り組み事例
女性活躍を効果的に推進するためには、自社の現状を把握し、課題に即した具体的な施策の実行が欠かせません。実際に、女性の採用はできているものの「就業継続が困難」あるいは「管理職が少ない」といった壁に直面している企業は多く存在します。
ここでは、多くの企業が導入し、実際に成果を上げている実践的な取り組みを、「働き方」「評価・キャリア」「育成」の3つの視点から紹介します。
長時間労働の是正と柔軟な働き方の導入
時間や場所の制約がある従業員も最大限に能力を発揮できるよう、長時間労働の是正は不可欠な取り組みです。アンケート調査でも、女性活躍が最も進んでいる企業群は、残業が月60時間を超える社員がほぼ存在しないという結果が出ています。
多くの企業では、全社一斉の「ノー残業デー」の設定(68.0%の企業が実施)や、職場における業務そのものの削減(77.2%の企業が実施)を通じて、時間内に業務を終える文化の醸成を図っています。中には、顧客と事前にスケジュール確認を徹底することで、時間外の急な業務依頼を抑制し、残業ゼロに近い状態を実現している中小企業の事例もあります。
あわせて、柔軟な働き方の選択肢を増やすことも重要です。テレワークや時短勤務の導入だけでなく、始業時刻を30分ごとに選択できる「スライド勤務制度」や、2時間単位で利用できる時間休暇の導入など、ライフイベントと仕事の両立を支援し、優秀な人材の離職を防ぐ仕組みづくりが求められています。
公平な人事評価制度とキャリアパスの整備
誰もが納得できる公平な人事評価制度の構築と、ライフステージの変化に合わせた柔軟なキャリアパスの整備も重要です。
評価の観点では、長時間労働を前提とするのではなく、「時間あたりの生産性」を重視した評価方針を取り入れる企業が増えています。これにより、短時間勤務であっても成果を上げた社員が高い評価を得られるようになり、働きがいが向上します。また、評価者によって判断がぶれないよう、管理職向けのマネジメント研修を実施することも有効です。
キャリアパスの整備としては、社員の価値観の変化に応じて、エリア職と基幹職(総合職)などのコースを柔軟に転換できる制度を設けることで、社員の意欲を高める工夫が見られます。また、女性従業員が将来像を描けるよう、妊娠判明時から復帰後にかけて上司と定期的な面談(1on1)を実施し、長期的なキャリアについて話し合う機会を設けることも、就業継続と意欲向上に直結します。
女性管理職の育成を目的とした研修プログラムの実施
将来の管理職候補となる女性従業員を体系的に育成するためには、実践的で具体的なプログラムの実施が効果的です。
リーダーシップやマネジメントなどのスキル研修に加え、女性社員を対象とした中長期的なキャリアセミナーや、計画的に幹部候補を育成する「3カ年計画」などを導入する企業が増加しています。また、社内外の女性管理職をロールモデルとして紹介する座談会やフォーラムを開催し、先輩から直接アドバイスをもらえるメンター制度を設けることも有効です。
さらに、受け身の研修だけでなく、自社の課題解決に向けた「自主的な女性リーダー勉強会」や小集団活動を実施し、女性社員自らが経営層へ提案を行う場を設ける事例もあります
。こうした取り組みは、参加者の昇進への意欲を高めるとともに、部署を超えた人脈形成や経営参画意識の醸成を促進します。
人事部だけでなく各現場部門が連携し、管理職層が「イクボス」としての意識を持って部下を育成することが、女性活躍推進を成功に導く鍵となります。
[参照]厚生労働省/三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社『「女性の活躍推進」にむけた取組施策集』
日本企業における女性活躍推進の成功事例
制度の整備に留まらず、実効性のある取り組みで組織文化を変革し、高い成果を上げている日本企業の事例をご紹介します。これらの企業は、経営戦略として女性活躍を位置づけ、多様な人材の力を業績向上に繋げています。
サントリーホールディングス株式会社:「やってみなはれ」で女性のキャリアを切り拓くDEI戦略
サントリーホールディングスは創業時から「人本主義」を掲げ、「人」こそが最も重要な経営基盤であると位置づけてきました。そして、すべての社員が失敗を恐れず挑戦する「やってみなはれ」の精神を発揮できる組織づくりを目指しています。
その基盤となるのが、多様な人財が自分らしく力を発揮できる環境を整備するDEI(Diversity, Equity & Inclusion)の推進です。特に「Gender Equity(ジェンダー エクイティ)」の分野では、性別にとらわれずすべての社員が挑戦し、成長できる組織を目指しており、2030年までに女性管理職比率を30%にするという明確な目標を掲げています。
個人の成長を促す具体的な取り組みは以下の通りです。
営業部門の女性リーダーシップ研修:部長層以上がメンターとして伴走し、経営層への提言機会を提供。
「MONOJYO」コミュニティ:生産拠点で部門を越えた女性社員のキャリア形成を支援。
グローバルプログラム:世界中の女性社員を対象にリーダーシップ開発とネットワーク構築を促進。
さらに、ベビーシッター制度などの柔軟な両立支援や、男性育休取得率100%(2024年実績)の達成といった、働きやすい環境整備も並行して進めています。2030年に女性管理職比率30%を目指す同社の姿勢は、多様な個性が融合し、イノベーションを生み出す組織づくりの素晴らしい好例と言えるでしょう。
[出典]サントリーホールディングス株式会社「人的資本レポート」
株式会社資生堂:「PEOPLE FIRST」のDE&I戦略
成功事例として注目される資生堂は、「PEOPLE FIRST」の理念のもと、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)を強力に推進しています。
同社は人を最大の資産と捉えており、多様なバックグラウンドを持つ社員が集い、イノベーションを生み出す組織文化を強みとしています。特に「ジェンダー平等」を重要な経営戦略の一つと位置づけ、誰もが自分らしく活躍できる環境整備に注力しています。
同社を成功に導いている具体的な取り組みは以下の通りです。
高い女性リーダー比率:グループ全体の女性管理職比率は59.5%に達し、国内でも2030年までに50%を目指しています。
独自の組織研究:「資生堂DE&Iラボ」を通じて、リーダーのジェンダーバランスと無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)の関係を研究し、インクルーシブな組織づくりに活用しています。
充実した育成支援:女性リーダー育成研修や、女性役員と社員のメンタリングプログラムなどを継続的に実施しています。
意思決定層で女性が当たり前に活躍し、男性も当たり前に育休を取得できる環境を整えることが、企業の競争力を高める鍵となることを、同社の事例は示しています。
[出典]株式会社資生堂「統合レポート2024」
https://corp.shiseido.com/report/jp/2024/ (2026年4月22日時点)
積水ハウス株式会社:男性社会からダイバーシティの最前線へ
企業成長の鍵として「女性活躍推進」が叫ばれて久しいですが、業界の特性を理由に歩みが遅れるケースも少なくありません。しかし、男性主導とされてきた建設業界において、積水ハウスは見事な成功事例を示しています。
同社は2005年から女性営業職の積極採用をスタートしました。現在、女性正社員比率は29.8%(2024年度)に達し、建設業界平均の約2倍を誇ります。その成功の裏には、以下のような徹底した取り組みがあります。
積極的な採用とリーダー育成:女性営業職の採用強化に加え、「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」を開講し、女性管理職候補を継続的に育成しています。
柔軟な働き方と両立支援:育児や介護と両立できる柔軟な勤務制度や、キャリアパスの柔軟化を図っています。男性の育児休業取得率100%継続など、家族の幸せと両立できる制度の充実を図っています。
現場環境の抜本的改善:女性現場監督を積極的に登用し、女性の意見を取り入れた専用ユニフォームや仮設トイレの整備など、ハード面での環境改善も進めています。
単なる数値目標の追求や制度の拡充にとどまらず、個人のキャリア自律を支援し、本人の意思を尊重する風土づくりこそが、真の女性活躍を実現する原動力と言えるでしょう。
[出典]積水ハウス株式会社「Value Report 2025(2025年1月期)」
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/sustainable/download/ (2026年4月22日時点)
積水ハウス株式会社「Value Report 2024(2024年1月期)」
株式会社りそなホールディングス:持続的なリーダー育成と環境づくり
りそなグループでは、「人口の半分を占める女性の視点を経営に活かすことが必要不可欠である」という強い信念のもと、「社会の女性から選ばれる企業」「女性社員が働き続けたいと思える企業」を目指して独自の取り組みを展開しています。さらに、女性リーダーの育成・登用を経営の最重要課題である「サステナビリティ長期指標」の一つとして明確に位置づけ、女性社員が希望するキャリアの到達点をより高く設定できるよう、組織全体で積極的なサポートを行っています。同グループの成功を支える主なポイントは以下の通りです。
経営直轄の諮問機関:女性社員による「りそなWomen’s Council」が、両立支援やキャリア形成の施策を経営陣に直接提言し、多くの制度化につなげています。
きめ細やかな育成プログラム:新たに経営職階に昇格した女性向けのメンタリング制度や、階層別リーダー研修など、手厚い成長サポートを実施しています。
多様な挑戦機会の提供:未経験業務へのトレーニー制度などを通じ、新たな業務へのスキルアップを支援しています。
こうした実践的な環境整備により、女性ライン管理職比率などの指標が着実に上昇しており、女性リーダーが継続して輩出される好循環を生み出しています。
[出典]株式会社りそなホールディングス、「統合報告書2025」
テクノロジーで加速させる女性活躍推進
女性活躍推進を単なる法対応で終わらせず、持続的な経営戦略へと昇華させるためには、テクノロジーの活用が不可欠です。
2026年4月の法改正で求められる「情報の公表」から、次世代リーダーの育成まで、デジタルツールを導入することで効率的かつ効果的に推進できます。
データに基づく公平な現状把握と配置
法改正により義務化される「女性管理職比率」の算出・分析には、タレントマネジメントシステム「SmartSkill HCE(スマートスキル エイチシーイー)」が力を発揮します。
SmartSkill HCEを活用すれば、属性別のスキルや経歴、保有資格をリアルタイムで可視化できます。これにより、「主観」を排除した公平な昇進・昇格プロセスの構築が可能になり、アンコンシャス・バイアスによる登用の遅れを防ぐことができます。
時間と場所を選ばない自律的な学習環境
育児や介護など、時間的制約がある従業員にとって、集合研修への参加は大きな負担となります。多機能型LMS「SmartSkill Campus(スマートスキル キャンパス)」を導入することで、PCやスマートフォンから「いつでも・どこでも」受講できる環境が整います。
「リーダーシップとチームマネジメント」、「EQ(感情知性)チームビルディング」など、女性管理職の育成を目的とした研修プログラムも受講できます。
マネジメントに必要な「対話力」のトレーニングには、AIロープレツール「SmartSkill Talk(スマートスキル トーク)」が有効です 。24時間いつでもAI相手に反復練習が可能で、即時のフィードバックを受けられるため、周囲を気にせず自身のペースでスキルアップを図れます。
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まとめ
2026年4月の法改正により、女性活躍推進は「一部の大企業の努力目標」から「101人以上の企業における必須の経営課題」へとフェーズが変わりました。男女間の賃金格差や管理職比率の公表義務化は、企業にとって単なる事務負担ではなく、自社の組織課題を可視化し、改善へと踏み出す絶好の機会です。
女性活躍を阻む「無意識の偏見」や「長時間労働前提の評価」を打破することは、性別を問わず優秀な人材の定着を促し、多様な視点によるイノベーションを創出する源泉となります。ステップに沿った現状分析と行動計画の策定、そして「えるぼしプラス」などの認定取得を積極的に進めることで、採用市場における競争力を高め、持続可能な成長を実現しましょう。
人財戦略の高度化を目指すなら、LMS(学習管理システム)を活用した体系的な育成も有効です。自社の未来を担う多様なリーダーを育成し、誰もが能力を最大限に発揮できる組織づくりを、今こそ加速させてください。
Q&A:女性活躍推進に関するよくある質問
ここでは、女性活躍推進について、企業の人事担当者などから頻繁に寄せられる質問と、それに対する回答をまとめて紹介します。
Q.女性活躍推進法に違反した場合、罰則はありますか?
女性活躍推進法の各義務(状況把握や行動計画の策定・届出・公表など)に違反した場合、直接的な罰則規定はありません。
しかし、厚生労働大臣による報告の求めや助言、指導、勧告の対象となりえます。
この勧告に従わない場合は、企業名が公表される可能性があります。
Q.中小企業でも女性活躍推進に取り組むべきでしょうか?
取り組むべきです。
2026年4月からは101人以上の企業に義務が拡大されますが、それ以下の規模でも人材確保や生産性向上といったメリットは同様に享受できます。
自主的な取り組みは採用競争力を高め、企業の持続的成長に繋がるため、企業規模に関わらず推進が推奨されます。
Q.女性活躍推進の取り組みで、何から始めれば良いかわかりません。
まずは自社の現状把握から始めることが最も重要です。
法律で定められた4つの基礎項目(採用者の女性比率、男女の勤続年数差異、労働時間、管理職比率)の数値を算出し、自社の課題を客観的に分析してください。
その課題に基づき、具体的な数値目標と行動計画を立てることが、効果的な第一歩です。






