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管理職教育が企業成長を加速させる理由|人的資本経営の視点から

  • 執筆者の写真: nanaekunai
    nanaekunai
  • 10月28日
  • 読了時間: 14分
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現代の企業経営において、管理職の育成は組織の成長を左右する重要な戦略課題と位置づけられています。急速に変化する市場環境や働き方の多様化に対応し、持続的な成長を実現するためには、現場を率いる管理職の能力開発が不可欠です。


本記事では、人的資本経営の観点から管理職教育の重要性を解き明かし、その目的や具体的なプログラム内容、そして研修効果を最大化するための実践的な進め方について解説します。


管理職教育も含め、実際に企業が人材育成をしている事例は事例紹介(株式会社肥後銀行、ワタミ株式会社、株式会社大分銀行他)」で詳しくご紹介しています。


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目次



なぜ今、管理職教育が企業成長のカギとなるのか?   


現代のビジネス環境は複雑性を増し、働き方も多様化しています。

このような状況において、組織の目標達成と部下の成長に責任を持つ管理職の役割の重要性が見直されています。


管理職のマネジメント力は、チームの生産性や従業員のエンゲージメントに直接的な影響を及ぼし、最終的には企業全体の業績を左右するからです。そのため、変化に柔軟に対応し組織を牽引できる管理職を計画的に育成することこそが、競争力を高め、持続的な成長を実現する鍵となるのです。



管理職教育で達成すべき3つの目標          


管理職教育を効果的に実施するためには、明確な目標設定が不可欠です。

教育を通じて管理職にどのような変革を期待するのかを具体化することで、プログラムの方向性が定まり、投資対効果を高めることができます。


主な目標は以下の3点です。


  1. 個人の成果を追求するプレイヤーからチームの成果を最大化するマネージャーへの意識改革をさせること

  2. 部下育成や業務推進、コミュニケーションなど、実践的なマネジメントスキルを習得させること

  3. 次世代の経営を担うリーダー候補となる人材を発掘し、戦略的に育成すること


これらの目標を明確にすることで、管理職教育は単なる研修に留まらず、組織全体の成長戦略へとつながります。



プレイヤーからマネージャーへの意識改革を促す


多くの新任管理職は、自身の実務能力で高い成果を上げてきた優秀なプレイヤーです。

そのため、管理職に昇進した後も、自らが業務を遂行してしまう「プレイングマネージャー」の罠に陥りがちになります。


しかし、管理職に求められるのは個人の成果ではなく、部下の能力を引き出し、チームとして成果を最大化させることです。

管理職教育では、自身の役割が「プレイヤー」から「マネージャー」へと変化したことを深く理解させ、仕事の進め方や思考様式を転換するよう促します。この意識改革こそが、効果的なマネジメントの実践に向けた第一歩となります。



チームの成果を最大化するマネジメントスキルを習得する


管理職がチームの成果を最大化するためには、目標設定、計画立案、進捗管理、業務の適切な配分、部下へのフィードバックといった具体的なマネジメントスキルが求められます。

これらのスキルは、個人の経験則だけに頼っていては属人化しやすく、再現性がありません。


管理職教育では、これらのスキルを体系的に学習する機会を提供します。理論を学ぶだけでなく、ケーススタディやロールプレイングといった実践的な演習を通じて体得させることで、あらゆる状況で応用が可能となり、組織全体のパフォーマンス向上につながります。



次世代の経営を担うリーダー候補を発掘・育成する


管理職教育は、現任者の能力開発にとどまらず、次世代の経営を担う人材を見出し、育成するための重要な機会でもあります。


研修プログラムにおける参加者の言動や課題への取り組み方を観察することで、その人物のポテンシャルやリーダーシップの資質、さらには経営的な視点を見極めることができます。

これは、企業の持続的成長に欠かせないサクセッションプラン(後継者育成計画)の一環として機能します。


優れた管理職の中から、将来の経営幹部候補を早期に発見し、より高度で戦略的な教育機会を提供することが、組織の未来を築くのです。



求められる役割に応じた階層別の管理職教育プログラム 


管理職と一括りにいっても、新任・中間・上級といった階層によって、担うべき役割や責任、求められるスキルセットは大きく異なります。そのため、画一的な教育プログラムでは十分な効果を得ることはできません。


それぞれの階層が直面する課題や役割認識に合わせて、研修内容を設計することが重要です。ここでは、階層別で管理職教育プログラムのポイントを解説します。


また、レビックグローバルが提供する管理職向けのソリューションを活用することも有効な選択肢の一つです。


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部下の育成・指導をするうえでの適切な𠮟り方の習得、パワーハラスメント防止による心理的安全性の高い職場づくり





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【 新任管理職 】マネジメントの基礎を固める


初めて管理職になった人材は、プレイヤーとしての役割からの転換、部下との関係構築、労務管理など、多くの課題に直面します。この段階で最も重要なのは、マネジメントの基本原則を徹底的に習得することです。


新任管理職向けの教育プログラムでは、以下の要素に重点を置きます。


  • 目標設定と評価の基本的な考え方

  • コンプライアンスに関する基礎知識

  • チームビルディングの手法

  • 部下とのコミュニケーション(特に1on1ミーティングやフィードバック)の基礎


これらを体系的に学ぶことで、部下を持つことへの不安を払拭し、自信を持ってマネージャーとしての第一歩を踏み出せるよう支援します。



【 中間管理職 】組織の中核として実行力を高める


中間管理職は、経営層の方針を現場に浸透させ、部下を率いて具体的な成果を出すという、組織の結節点となる重要な役割を担います。


この階層には、上司と部下の間に立ち、複雑な問題を解決する能力や、部門間の利害を調整する交渉力、そして部下を育成してチーム全体のパフォーマンスを向上させる実行力が強く求められます。


中間管理職向けの教育プログラムでは、以下の要素に重点を置きます。


  • 実践的なケーススタディを通じた問題解決能力の養成

  • リーダーシップの多面的な理解

  • 組織目標の達成に向けたチーム牽引力の強化


こうした学びを通じて、中間管理職が組織の中核として成果を生み出す力を確実に高めます。



【 上級管理職 】経営視点で組織全体を動かす


部長クラス以上の上級管理職には、自身が管轄する部門のマネジメントだけでなく、全社的な視野に立った戦略的な意思決定が求められます。


担当領域の最適化にとどまらず、経営理念や事業戦略を深く理解し、組織全体を俯瞰して事業を推進する能力が必要となります。


上級管理職向けの教育プログラムでは、以下の要素に重点を置きます。


  • 財務諸表の分析

  • 事業開発

  • 組織変革の推進

  • リスクマネジメント


さらに、経営陣との対話や他社の経営幹部との交流を通じ、経営者としての視座を高めます。これにより、上級管理職が組織全体を動かすための高度な戦略力とリーダーシップを養成します。



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企業成長に欠かせない管理職教育のカリキュラム内容  


管理職教育の効果を確かなものにするためには、カリキュラム内容を慎重に吟味することが重要となります。企業の現状や将来の事業戦略を踏まえ、管理職に習得させるべき知識やスキルを体系的に網羅することが求められます。


優れたカリキュラムは、部下の育成スキルから組織を守るための知識、さらには経営視点での思考力まで、管理職が直面する多様な課題に対応できる能力を育みます。


ここでは、企業成長に不可欠な重要なカリキュラム内容について具体的に見ていきます。



部下の能力を引き出す育成・指導スキル


現代の管理職には、部下一人ひとりの特性やキャリア志向を理解し、その成長を支援するコーチングやティーチングのスキルが不可欠です。一方的な指示命令ではなく、対話を通じて部下の内発的動機づけを促し、自律的な行動を促進する能力が求められます。


研修では、以下のようなスキル習得を目指します。


  • 効果的な1on1ミーティングの進め方

  • 強みを引き出すポジティブフィードバックの手法

  • エンゲージメントを高める目標設定支援


部下の潜在能力を最大限に引き出すことは、チーム全体の生産性向上につながり、組織全体の活力を生み出します。



目標達成に導くリーダーシップの発揮方法


リーダーシップとは、単に地位や権限によって人を動かすことではありません。

組織やチームが目指すべきビジョンを明確に示し、メンバーからの共感と協力を得ながら、目標達成に向けて導く力です。


リーダーシップには多様なスタイルがあります。


  • 状況に応じて支援的な姿勢を取るサーバント・リーダーシップ

  • 変革を力強く推進するトランスフォーメーショナル・リーダーシップ


研修ではこれらの理論を学び、自身の強みや価値観と照らし合わせることで、自分らしいリーダーシップスタイルを確立し、それを実践できるように育成します。



組織を守るコンプライアンスの知識


管理職は、自身の行動はもちろん、部下の行動に対しても監督責任を負っています。そのため、各種法令や社内規程を遵守するための正確な知識が不可欠です。



特に重要なのは以下の領域です。


  • パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど、各種ハラスメントの防止

  • 情報セキュリティの確保

  • 労働基準法をはじめとする労働関連法規の遵守(労働時間管理等)


コンプライアンス違反は、企業の社会的信用の失墜や法的紛争のリスクを伴います。

そのため、組織を守るための基盤として、コンプライアンス知識は管理職教育プログラムに必ず組み込まれます。



潜在的な問題を未然に防ぐリスクマネジメント能力


リスクマネジメントとは、事業活動に伴う様々なリスクを事前に洗い出し、その発生を未然に防いだり、万が一発生した際の影響を最小限に抑えるための管理手法です。


現場を預かる管理職には、以下のようなリスクを敏感に察知し、早期に対策を講じる能力が求められます。


  • 労務トラブルの兆候

  • 情報漏洩の危険性

  • 品質問題につながる要因


問題が顕在化する前に対応することで、組織が被る損害を回避し、事業の安定的な継続に貢献することができます。



経営理念を現場に浸透させる戦略的思考力


管理職の重要な役割の一つは、経営層が掲げる企業理念やビジョン、事業戦略といった抽象的な方針を、現場の具体的な業務目標や行動計画に落とし込むことです。


これを実現するためには、管理職に以下のような能力が求められます。


  • 自社の市場環境や競合動向の洞察力

  • 自社の強み・弱みの分析力

  • 経営者と同じ視点で物事を捉える戦略的な思考力


こうした能力を養うことで、管理職は部下に日々の業務が全社戦略の中でどのような位置づけにあるのかを説得力をもって説明し、メンバーの納得感と貢献意欲を高めることができます。



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効果を最大化する管理職教育の進め方と成功のポイント 


管理職教育を成功させるためには、研修を単発のイベントで終わらせず、一貫したプロセスとして計画・実行することが重要です。


そのためには、以下のサイクルを回すことが求められます。


  • 理想の管理職像の定義

  • 現状分析

  • プログラム設計

  • 効果測定

  • 改善策の実行


また、研修で得た学びをいかにして現場での行動変容に結びつけるかという視点が、教育効果を最大化する上での鍵となります。


ここでは、そのための具体的なステップと成功のポイントを解説します。



【 STEP1 】自社が求める理想の管理職像を定義する


管理職教育の出発点は、自社の経営理念や事業戦略、組織文化を踏まえ、「自社にとって理想の管理職とはどのような人物か」を明確に定義することです。


具体的には、リーダーシップ、問題解決能力、部下育成能力など、階層に応じて求められる能力(コンピテンシー)を言語化し、経営層・人事・現場責任者間で共通認識を形成します。


この理想像は、教育プログラムの目的となり、研修内容を設計する上での指針となります。

また、研修後の効果測定や人事評価の基準にもつながるため、管理職教育の全ての土台となる極めて重要なプロセスです。



【 STEP2 】現状とのギャップから教育課題を特定する


理想の管理職像を定義した後は、現任の管理職たちがその理想に対してどのレベルにあるのか、現状を客観的に把握します。


360度評価(多面評価)やアセスメントツール、本人および上司へのヒアリングなどを通じて、管理職一人ひとりの強みと弱みを分析し、理想像とのギャップを明らかにします。


このギャップが、組織として取り組むべき教育課題となります。

例えば、多くの管理職に部下育成スキルが不足している、あるいは戦略的思考力が弱いといった課題が特定できれば、研修で重点的に強化すべきポイントが明確になります。



【 STEP3 】課題解決に直結する研修プログラムを設計・実施する


特定された教育課題を解決するために、最も効果的な研修内容と手法を組み合わせて具体的なプログラムを設計します。


知識習得が目的ならばeラーニングや講義形式、スキル体得が目的ならばロールプレイングやケーススタディといった実践的な演習が有効です。目的に応じて集合研修、オンライン研修、外部講師の招聘などを適切に組み合わせ、受講者が主体的に学び、考え、実践できるような構成にすることが重要です。


課題解決という明確なゴールから逆算してプログラムを設計することで、教育の的を絞り、効果を高めることができます。



【 STEP4 】研修効果を測定し、次回の改善に活かす


研修は実施して終わりではなく、その効果を多角的に測定し、次回のプログラム改善につなげるPDCAサイクルを回すことが不可欠です。


効果測定は、研修直後のアンケートによる「満足度」や「理解度」だけでなく、数ヶ月後の「行動の変化」、さらに「チームや組織の業績への影響」といった長期的視点で行う必要があります。


これらの測定結果を分析し、プログラム内容や運営方法に課題がなかったかを検証することで、より効果の高い管理職教育へと継続的に進化させていくことが可能になります。



【 成功のポイント 】研修後の実践機会を意図的に設ける


研修で学んだ知識やスキルは、実際の業務で使われなければ意味がありません。「知っている」と「できる」の間には大きな隔たりがあり、このギャップを埋めるためには実践が不可欠です。


研修効果を高めるためには、学んだことを現場で試すためのアクションプランを研修中に作成させ、研修後にその実践を上司が支援する仕組みを構築することが有効です。


さらに、数ヶ月後にフォローアップ研修を実施し、実践状況の共有や新たな課題の相談を行う場を設けることで、学びを確実に行動へと移す機会を意図的に創出します。



【 成功のポイント】配属直後ではなく数ヶ月後に行い定着を図る


特に新任管理職向けの研修は、昇進・着任直後ではなく、2〜3ヶ月程度経過したタイミングで実施する方が効果的です。着任直後は、新しい役割や環境に適応することに追われ、研修内容を十分に吸収する余裕がない場合が多くあります。


しかし数ヶ月後であれば、管理職としての業務や課題を実際に経験した上で研修に臨むため、学びを自身の具体的な悩みと結びつけて考えることができます。


これにより学習意欲が高まり、研修内容が現場の課題解決に接続しやすくなるとともに、知識やスキルの定着が促進されます。



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まとめ


管理職教育は単なる研修ではなく、変化の激しい経営環境を乗り越え、組織の未来を創る戦略であり、持続的な企業成長の原動力です。その目的は、単に個人のスキルアップを図るだけでなく、プレイヤーからマネージャーへの意識改革を促し、チームの成果を最大化させ、さらには次世代の経営リーダーを育成することにあります。


成功の鍵は、自社にとっての理想像を明確に定義し、現状とのギャップから課題を特定することです。その上で、階層や課題に応じた体系的なプログラムを設計・実施することが求められます。さらに、研修後の実践支援や効果測定を組み込み、一貫したプロセスとして運用することが、管理職教育の成果を最大化します。


今こそ、あなたの組織に最適な管理職教育への取り組みを始めてみましょう。




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