OJTとOff JTについて、簡単ですがまとめたいと思います。
まずよく耳にする「OJT」ですが、ご存じのとおり、こちらは現場で上司や先輩から受ける職務トレーニング教育のことです。 「なんだ、それは普通にやっていることじゃないか」と思うかもしれませんが、OJTはしっかりとしたトレーニングとして考えないと、担当となる上司や先輩によって教え方が違うので、成果にばらつきが出ます。そのため最近では、OJT用のメンター制度や、トレーナー側の研修などもOJTのシステムに組み込んで考えられています。
「Off JT」はあまり耳にしないかもしれませんが、一言でいうならば「職場から離れたところで行われる職務トレーニング教育」のことです。例えば、マネージャーを一か所に集めて行われる集合研修や、内定者にネットを使って教材を学ばせる「内定者向けWBT」などが「Off JT」の代表例です。
「Off JT」については、いろいろありますので別の機会に個別にご紹介し、今回は「OJT」について、効果的に行うためのコツについて、少しお話させていただければと思います。
目次
OJTとは
「OJT」は「On-the-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」の略で、「職場の上司や先輩が、実際の職務遂行を通じて訓練や能力開発を行うこと」と定義されています。
1900年代の日本の企業のほとんどが、社内教育の中心に、OJT形式の教育を据えていました。しかしながら、きちっとシステム化されなかった為、多くの会社ではOJTが機能しなかったようです。 2000年以降になると、OJT以外の教育方法も導入され、OJTの割合は減りましたが、最近になって「OJT」が見直されています。
以前のOJTはいわゆる「現場で覚える」という漠然とした形で、せいぜい教育担当が割り振られ、教わったことをレポートにまとめる、といった程度のざっくりとしたものでした。 本来のOJTは、教育担当者の配置や育成計画を立て、取得すべき能力の目標や期限を定め、定期的に結果を評価し、次の教育計画に反映させていくという「業務PDCA」として実施されるべきものです。しかしながら、OJTを「仕事」として位置づけ、実施するという会社は少なく、そこがOJT教育の誤解されている点でもあります。
教育担当者の配置や育成計画があやふやだと継続的な教育ができず、内容も継ぎ接ぎになります。取得するスキルの目標や期限が決まっていないと、本人の意識が薄れ、段階的な教育ができません。そうなると評価のタイミングに結果がわからないので、評価ができず、本人も会社も成長しているのかどうかがわかりません。問題点も見つからないでしょう。
こうした「間違ったOJT」を見直そうと、最近のOJT教育は、受講者の能力レベルや意欲、態度、性格によって効果的な方法をさまざま試しながら、その人に合った最適な方法で行うというレベルのものまで開発されています。
OJTを導入する際のポイント
(1)OJT担当者を決め、目標・ゴールを意識させる 誰が誰を教育するのかという役割を決めないでOJTを始めると、仕事が発生した時に、その場にいた人が目の前の仕事を片付ける為だけに教えるので、時間も取れず、人により教える内容に漏れが生じます。目指すべき目標やゴールもわからないので、教わる側も何となく作業してしまします。つまり、継続性に乏しく、教育効果が期待できません。 OJTの第一歩は担当者を決めてトレーナーとして自覚をさせ、両者が教育の目標・ゴールを意識できるようにすることです。
(2)OJT担当者同士が定期的に集まり、意見交換や情報共有の場を設け、アップデートする 仕事の内容は常に変化にさらされています。トレーニング手法や教材のアップデートが必要です。 そしてそれ以上に、教わる側についての変化や、教える過程でトレーナー側がぶつかった障害などを報告し、それを取り除くための意見交換や情報共有が大切です。そしてその中で育成上の問題点や課題をどんどん見つけていきます。 また、時にはトレーナー向け研修などで、トレーナー達の技術とモチベーションを上げてあげなくてはいけません。 社内SNSなどで、トレーナー同士のつながりを強化する取り組みは、最近のOJTでも重要視されています。
(3)技能やスキルは具体的な達成目標を設定する 技能やスキルについては、具体的な達成目標を明示します。「~ができるようになる」「~業務に対しては任せられる」といった、職務能力を判断する基準を明確にし、本人にもそれを伝えます。どの状態が「できる」と呼べるのかを具体的に表現するのがポイントです。
(4)態度や意識の目標は、具体的な表現で、頻度を観察してレベルづけする 教わる側の意欲や態度といった心理面・行動面の目標は、目指すべき具体的な態度や行動の具体的な事例を説明し、「いつも行っている」「時々できる」など、レベル分けすることで意識させます。
(5)実施期間については細かくステップに分ける 実施期間については、ステップに分け、1~3ヶ月で成果の確認や修正を行いながら進めます。 ステップが長すぎると受ける側の心理としてのんびりしてしまい、あいまいになるため、効率が良くありません。ならば、ステップを細かく分け、頻繁に評価し、自分の成長を確認できるようにした方が効果的です。 教える側も、ステップが細かい方が結果の確認タイミングが多く取れ、指導の修正などが容易ですし、期間がすぐ見えていた方が、仕事としての自分の負担も軽くなります。
(6)OJTは仕事として定義し、就業時間内に行う。 教わる側のプレッシャーもそうですが、教える側の負担も考慮することが大切です。そのため、これは業務であるとはっきり明示し、しっかり教育に取り組めるように、他の仕事の負荷を軽減する取り組みをすべきです。そして、良いトレーナーにはそれなりの評価を目に見える形でしてあげます。
(7)方法や手法を常に見直し、上長が面接などを行って判断していく。 何となく任せてしまっていては、育ちきった時に思ったように育っていないかもしれません。教える側、教わる側の双方を面接し、詳しい記録を残していきます。OJTは人事評価においても考慮すべき点です。
OJTの課題とツール
OJT教育が一定期間効果的に行われると、部門のリソースを維持しながら、社員全体のスキルがアップし、役割を変えて配置したり、欠員に応じた対応ができるなど、メリットが大きい反面、教える側の負担も増える傾向にあり、業務や企業規模に応じたOJT計画を立てる必要が課題となっています。
OJTを教育システムとして正しく機能させるためには、いくつかツールがありますが、なくてはならないのが「OJTチェックリスト」でしょう。 チェックリストには、必要な行動が具体的に記されているので、トレーナーはこのチェックリストを使い、自らのOJTを定期的に振り返りることで、OJTの質の向上を図ることができます。同様に教わる側にもチェックシートは必要です。自分のチェックだけでなく、トレーナーについても評価ができるように項目を工夫します。
また、「社内資格」などを整備し、スキルを見える形で規定すると、モチベーションが上がります。その人ができる仕事のスキルを評価して、役割等級を決める役割等級制度が注目を集めています。そのために「役割給用・役割等級判定表」などを作ります。
弊社顧客から一番ご相談いただく内容として、「トレーナースキルのアップ」があります。特に、「技術的なことは十分備えているが、人に教えることが下手である」と評価される先輩社員を、トレーナーとして使えるようにしたいというものです。 これには現実問題として、教わる側のメンタリティが大きく関わっており、トレーナーにとってはそこをどう攻略するかがカギとなります。こうしたトレーナースキルのアップには、コーチングなどのスキルを習得することが非常に効果があります。つまり「教えることのプロ」になるわけです。 弊社映像教材のランキングでも、「コーチング」「OJT指導」のコンテンツは常にトップにある売れ行きです。
他にも「OJT」関連の教材が多数リリースされています。
最後に
弊社では、OJT教育を映像教材でサポートするご提案を行っております。映像により、トレーナー自体がわかりやすくトレーニングできるように作られたコンテンツです。
その他にも、OJTのトレーナーの負荷を軽減するために、知識レベルでの理解をeラーニングで代用できるコンテンツなども開発しておりますので、ぜひ相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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