top of page

営業時間 9:30~18:30(月曜日~金曜日)

tel

ポータブルスキルとは?定義や具体例、育成方法を徹底解説!

  • 執筆者の写真: nanaekunai
    nanaekunai
  • 10月17日
  • 読了時間: 26分
ree


近年、働き方やキャリア形成の在り方が大きく変化する中で、注目を集めているのが「ポータブルスキル」です。

ポータブルスキルとは、業界や職種を問わずに通用する“持ち運び可能なスキル”を指し、異動や新規事業への挑戦、転職といった変化の場面で大きな力を発揮します。

厚生労働省も「仕事のし方」と「人との関わり方」に分けて要素を定義しており、課題解決力や計画力、コミュニケーション力、マネジメント力などが代表的です。


企業の人事担当者にとっては、社員がこれらを身につけることは生産性の向上だけでなく、組織の柔軟性や競争力を高める基盤づくりにも直結します。

本記事では、ポータブルスキルの具体例と育成方法を解説し、人材開発に役立つ実践的な視点をお届けします。


ポータブルスキルを含め、LMSによるオンライン教育で成果をあげている企業事例は事例紹介(オリックス株式会社、明治安田生命保険相互会社、ワタミ株式会社他)」で詳しくご紹介しています。


多機能型LMS「SmartSkill Campus」は、人材戦略の高度化や人的資本経営の実現を支援しています。

サービスの詳細や機能については、公式ページをご覧ください。



ree


目次



ポータブルスキルとは                


ポータブルスキルを正しく理解することは、人材育成の方向性を整理するうえで有益です。

ここでは、ポータブルスキルの基本的な概念と、ビジネススキルやテクニカルスキルとの違いについて解説します。



ポータブルスキルとは「持ち運び可能な能力」


ポータブルスキルとは、特定の職種や業界にとらわれず、さまざまな環境で活かせる「持ち運び可能な能力」を指します。

例えば、課題を発見して解決へ導く力、人間関係を円滑に築く力、状況に応じて柔軟に対応する力などは、職種や業界が変わっても発揮できる代表的なポータブルスキルです。

厚生労働省もこれらを「仕事のし方」と「人との関わり方」の二つに分類し、キャリアの転機や新たな役割に直面した際に、環境を超えて発揮できる点を特徴としています。


変化の激しい現代のビジネス環境において、従業員がポータブルスキルを身につけることは、個人のキャリア形成に役立つだけでなく、企業が競争力を維持する上でも欠かせません。

そのため、近年は多くの企業が人材育成の柱としてポータブルスキルの強化に力を入れています。



「ビジネススキル」との違い


ポータブルスキルと混同されやすい概念に「ビジネススキル」があります。

ビジネススキルは、一般的に業務を遂行する上で必要とされる幅広いスキル全般を指し、資料作成や商談スキル、会議運営といった実務的な能力も含みます。

一方、ポータブルスキルはその中でも特に業界や職種を超えて汎用的に役立つ能力を意味します。

つまり、ビジネススキルの中にポータブルスキルが含まれているイメージです。


人事担当者にとっては、ビジネススキル研修を企画する際に「どのスキルがポータブルスキルとして長期的に活かせるか」を意識することで、より戦略的な人材育成につなげることができます。



「テクニカルスキル」との違い


テクニカルスキルは、専門知識や技術に基づいた職務固有のスキルを指します。

例えば、プログラミング、会計知識、語学力、マーケティング分析などが典型例です。

これらは専門性が高く即戦力としての価値は大きいものの、職種や業界が変わると活用しにくい場合があります。

これに対し、ポータブルスキルは「課題解決力」や「コミュニケーション力」など、どの環境でも応用できる普遍的な能力です。


企業が人材戦略を考える上では、テクニカルスキルとポータブルスキルをバランスよく育成することが重要です。

テクニカルスキルを最大限に活かすためには、その土台となるポータブルスキルの習得が重要な役割を果たします。



厚生労働省が定めるポータブルスキルの要素      



ree

[出典]JHR一般社団法人人材サービス産業協議会作成「ポータブルスキル活用研修」資料


厚生労働省では、ポータブルスキルを「仕事のし方」と「人との関わり方」という2つの主要な要素に分類し、その中でさらに具体的な9つのスキル項目を定義しています。

ここでは、それぞれの要素について詳しく解説します。


[参考]厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23112.html



仕事のし方


「仕事のし方」は、業務を効率的かつ効果的に進めるための思考力や実行力を指します。

日々の業務プロセスにおいて、課題を発見し、計画を立て、実行に移し、予期せぬ事態に対応するまでの一連の流れに関連する能力群です。

具体的には、現状を正確に把握し分析する力、本質的な課題を設定する力、実現可能な計画を立案する力、そして計画通りに物事を遂行する粘り強さなどが含まれます。

これらは個人の生産性を高めるだけでなく、チームや組織全体のパフォーマンス向上にもつながるため、幅広い職種や役職で求められる能力です。



■現状の把握


現状の把握とは、自分が置かれている状況や取り組むべき業務の全体像を正確に理解する能力を指します。

目標達成のために必要な情報を判断し、関係者へのヒアリングやデータ収集を通じて事実を客観的に集める力が含まれます。

また、集めた情報を整理・分析し、重要なポイントや潜在的な課題を構造的に捉えることも求められます。


このスキルが不足していると、問題の本質を見誤ったり、的外れな対策を講じたりするリスクが高まります。

現状を正しく把握する力は、課題解決の基盤として、どのようなビジネスシーンでも活用できます。



■課題の設定


課題の設定とは、現状把握で明らかになった問題の中から、取り組むべき本質的なテーマを特定し、具体的な目標として定義する能力です。

単に目の前の問題に対処するだけでなく、その背景にある根本原因を探り、「何を」「どこまで」「いつまでに」解決するのかを明確にすることが重要です。

このプロセスでは、解決すべき課題に優先順位をつけ、関係者と合意形成を図る力も求められます。


適切に課題を設定できるかどうかは、その後の行動の方向性や成果を大きく左右します。

曖昧な問題提起ではなく、具体的で測定可能な目標を立てるスキルは、プロジェクト推進の中核を担います。



■計画の立案


計画の立案とは、設定した課題を解決するために、具体的な手順やスケジュール、必要なリソースを明確にする能力です。

目標達成までの道のりを複数のステップに分解し、各タスクの担当者や期限、達成基準を具体的に定めることが含まれます。

また、潜在的なリスクを予測し、代替案や対応策をあらかじめ準備しておくことも重要です。


優れた計画は、関係者全員が進むべき方向を共有できる羅針盤となり、無駄なく効率的に業務を進める土台となります。

単なる段取りにとどまらず、状況の変化にも柔軟に対応できる計画を策定する力は、組織全体の成果向上に直結します。



■課題の遂行


課題の遂行とは、立案した計画に基づき、必要な関係者を巻き込みながら着実に業務を実行していく能力です。

実行の過程では、予期せぬトラブルや障害が発生することも少なくありません。

こうした状況でも、目標達成への強い意志を持ち、粘り強くタスクに取り組みながら、周囲の協力を得て物事を前に進める力が求められます。また、進捗状況を定期的に確認し、計画とのズレを早期に発見して修正する自己管理能力も不可欠です。


計画を絵に描いた餅で終わらせず、最後までやり抜く実行力は、組織の成果を生む上で最も重要なスキルの一つです。

課題遂行力が高い社員は、変化の多い現場でも安定して成果を上げられるため、人事評価や育成においても重視すべき能力と言えます。



■状況への対応


状況への対応とは、業務遂行中に発生する予期せぬトラブルや環境の変化に対して、冷静かつ柔軟に対処する能力を指します。

計画通りに物事が進まない場面でも、慌てず状況を客観的に分析し、代替案を検討しながら迅速に意思決定する力が求められます。


この能力には、リスクを事前に予見して対策を講じる危機管理力や、複数の選択肢から最適な解決策を導く問題解決力も含まれます。

また、関係者と密に連携し、状況の変化を共有しながら協力して課題を乗り越えるチームワークも重要です。

変化の多い現代のビジネス環境において、この適応力は組織の安定した成果と個人の成長を支える基盤となります。



人との関わり方


人との関わり方は、社内外のさまざまなステークホルダーと良好な関係を築き、協力を得ながら目標を達成するための対人スキルを指します。

これには、自分の意見を分かりやすく伝えるだけでなく、相手の意図を正確に汲み取る傾聴力や、円滑な人間関係を構築する能力が含まれます。

具体的には、社内の他部署との連携、顧客や取引先との交渉、上司への報告・相談、部下の指導・育成など、あらゆるビジネスシーンで求められるコミュニケーション能力がこの要素に該当します。

組織の成果を最大化するには、個人の能力だけでなく、周囲を巻き込み動かす力も欠かせません。



■社内対応


社内対応とは、組織内で円滑な人間関係を築き、他部署や関係者と協力して業務を遂行する能力を指します。

自分の担当業務が組織全体でどのような役割を担っているかを理解し、関連部署と積極的に情報共有や意見交換を行う姿勢が求められます。

また、他者の立場や意見を尊重し、対立が生じた際にも建設的な解決策を導く調整力も重要です。


組織の目標達成には、部門間の連携が不可欠です。

社内対応力が高い人材は、部門間の潤滑油として機能し、日頃から信頼関係を築くことで、必要なときに協力を得られるネットワークを形成できます。

この能力は、個人の成果向上だけでなく、組織全体の効率化にも直結します。



■社外対応


社外対応とは、顧客や取引先、協業パートナーなどの組織外のステークホルダーと良好な関係を築き、自社の利益に貢献する能力です。

具体的には、顧客のニーズを正確に把握し、最適な商品やサービスを提案する力や、取引先との交渉を有利に進める交渉力が含まれます。

また、自社の代表として誠実かつ適切なコミュニケーションを行い、企業の信頼性を高める役割も担います。


社外の多様な関係者と長期的な信頼関係を構築・維持するためには、相手の立場を理解する共感力と、自社の主張を論理的に伝える説得力の両方が欠かせません。

これらのスキルを高めることは、顧客満足度の向上や取引関係の安定化、ひいては企業成長につながります。



■上司対応


上司対応とは、上司との間で円滑なコミュニケーションを図り、その指示や方針を理解した上で、自身の業務を適切に遂行する能力を指します。

具体的には、定期的な報告・連絡・相談(報連相)を徹底し、業務の進捗や課題を正確に伝えるスキルが求められます。

また、上司からのフィードバックを素直に受け止め、自身の成長に活かす姿勢も重要です。


上司の意思決定をサポートするために、自らの意見や提案を論理的に説明し、納得を得る力も必要です。

上司を単なる指示者と捉えず、目標達成のパートナーとして信頼関係を築くことで、自身のパフォーマンスと組織の成果向上の両方につながります。



■部下マネジメント


部下マネジメントとは、部下一人ひとりの能力や個性を理解し、その成長を支援しながらチーム全体の目標達成に導く能力です。

明確で分かりやすい指示を出すだけでなく、業務の目的や背景を丁寧に説明し、部下のモチベーションを高めるスキルも含まれます。

また、定期的な面談を通じて部下のキャリアプランに寄り添い、適切な業務の割り当てや権限移譲を行うことも重要です。


部下が失敗した際には、単に叱責するのではなく、原因を共に考え、次への学びにつなげる指導力が求められます。

個々の力を引き出し、強いチームを育成するこの能力は、管理職にとって最も重要なスキルの一つです。

部下の成長とチーム全体の成果を両立させる力が、組織の持続的な発展に直結します。



ree


ポータブルスキルの具体例              


厚生労働省の定めるポータブルスキルは、仕事の進め方や人との関わり方を細かく要素化した枠組みです。

一方で、実際のビジネスの現場でスキルを磨き、キャリア形成に活かしていくためには、これらをもう少し大きなカテゴリで捉える視点も有効です。

ここでは厚生労働省の要素を土台としつつ、「論理的思考力」「課題解決力」「コミュニケーション力」「マネジメント力」といった主要分類に再整理し、具体例を交えて解説します。



論理的思考力


論理的思考力とは、複雑な物事を整理し、因果関係や筋道を立てて考える力のことです。

例えば、会議で売上が伸び悩んでいる原因を探る場面では、「市場環境」「営業活動」「商品力」といった要素に分け、それぞれの影響を検証することで問題の全体像をつかむことができます。

また、相手に納得してもらうためには、結論から伝え、データや根拠を明示して説明の流れを意識することも大切です。

論理的思考力は、企画立案や業務改善だけでなく、日々の報告や提案などビジネスの基本動作にも直結するため、キャリアの早い段階から意識して磨くことが効果的です。


具体的には、次のような力が含まれます。


・情報を整理・分類する力

・因果関係を把握する力

・仮説を立て検証する力

・説明の構造を整える力(結論先行型のプレゼンなど)

・データを読み解き分析する力



■「論理的思考力」を磨くeラーニングコンテンツ


■ロジカルシンキング


論理的、ロジカルであることは、人に何かを説明したり、文章を書いたり、仕事をするうえで重要な要素です。

また、論理的な意見や主張をするためにも、問題点を明確にしたり、解決策を整理するうえでも欠かせません。

本講座では、その定義から必要な基礎スキル、ビジネスでの応用の仕方まで、ロジカルシンキングの基本を解説します。





■課題解決を加速する「論理的思考」


ビジネスにおいては、問題を解決するためにより良い策を考え出す力や、周囲の人を説得して実行させるコミュニケーション力が欠かせません。

本講座は、「論理的思考の基本スキル」と、それを実務で活かしていくために「問題解決の技術」と「伝える技術」として、その応用方法を解説します。





課題解決力


課題解決力とは、問題を発見し、原因を分析したうえで、具体的な解決策を立てて実行する力です。

例えば、店舗の売上が伸び悩んでいる場合、原因をデータや現場観察から分析し、「商品ラインナップの改善」「接客手法の見直し」「販促活動の強化」といった複数の施策を検討します。そのうえで、効果を比較し、実行プランを立てて改善していくことが求められます。

課題解決力は、日々の業務で発生する問題の対応だけでなく、新規プロジェクトの立ち上げや業務改善の推進にも不可欠です。


具体的には、次のような力が含まれます。


・問題を正確に把握する力

・原因を分析する力

・複数の解決策を検討する力

・優先順位を判断する力

・実行・改善までを遂行する力



■「課題解決力」を磨くeラーニングコンテンツ


■人生100年時代の社会人基礎力


「人生100年時代の社会人基礎力」は、これまで以上に長くなる個人の企業・組織・社会との関わりの中で、ライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力と定義されています。

本eラーニングではケースドラマ(動画)で12の能力要素を丁寧に描いており、受講者が自身と重ね合わせ考察できる内容です。





■マネジメント実践ケースドラマ


リーダーあるいはマネージャーの役割とはなんでしょうか。

この講座は、あるマネージャーを主人公としたケースドラマを元に、ビジネス現場のリーダーとして期待される成果を上げるために、あなたならどう直面する課題を解決していくかを考えるマネジメントトレーニングプログラムです。





コミュニケーション力


コミュニケーション力とは、自分の考えを相手にわかりやすく伝え、相手の意図や気持ちを理解しながら円滑にやり取りする力です。

例えば、プロジェクトでチームメンバーに業務指示をする際、何を、なぜ、いつまでに行うかを明確に伝え、相手の疑問や意見を受け止めることで、誤解や混乱を防ぐことができます。また、相手の立場に応じて言葉や伝え方を変えることも重要です。

コミュニケーション力は、会議での意見交換や報告・提案、顧客対応など、あらゆるビジネスシーンで活用できます。


具体的には、次のような力が含まれます。


・自分の考えを整理して伝える力

・相手の話を正確に理解する力

・説得・合意形成する力

・状況に応じた表現や話し方を選ぶ力

・傾聴やフィードバックの力



■「コミュニケーション力」を磨くeラーニングコンテンツ


■コミュニケーション


ミーティングや議論の場での、相手に合わせた会話のコツ、アイディアを広げ、適切な主張をするための技術、交渉や様々な話法など、周囲とより良い関係を築き、信頼を勝ち取るための、コミュニケーションのスキルを幅広く紹介します。





■コミュニケーション力開発コース


高いコミュニケーション能力は、良好な人間関係作りだけでなく、人を動かし、チームで成果をあげていくリーダーに欠かせない条件です。

本コースでは、チームをマネジメントしていくために有用なコミュニケーションの考え方とその技術を学びます。





マネジメント力


マネジメント力とは、チームやプロジェクトの目標達成に向けて、人や資源を計画的に動かし、成果を最大化する力です。

例えば、プロジェクトリーダーとしてチームを率いる場合、メンバーの役割を整理し、進捗を管理しながら課題を早期に把握し、適切な支援や調整を行います。また、メンバーの成長やモチベーションにも配慮することで、チーム全体の力を引き出すことができます。

マネジメント力は、組織運営やプロジェクト遂行、部下育成など、幅広い場面で活用できるスキルです。


具体的には、次のような力が含まれます。


・目標設定と計画立案の力

・タスクやリソースの管理力

・チームメンバーへの指示・支援力

・課題やリスクへの対応力

・メンバー育成・モチベーション向上の力



■「マネジメント力」を磨くeラーニングコンテンツ


■チームマネジメント


チームの生産性を高めるために、職場のチームリーダーに求められる役割や身に着けておきたい人と組織を動かすための知識とスキルを紹介します。





■リーダーシップと組織マネジメントコース


変化の激しいビジネス環境において、リーダーに求められるのは、チームの課題を正しく見極め、多様なメンバーの力を組み合わせ、動機づけし、必要な学習を促進させチームの力を押し上げるという役割の実践です。

本コースでは、どのような状況におかれても期待される成果をあげていくために必要なリーダーシップとチームマネジメントの基本を学びます。





ree


企業がポータブルスキルに注目する理由        


現代の企業がポータブルスキルに注目する背景には、終身雇用制度の形骸化や転職市場の活発化といった労働環境の大きな変化があります。

社員一人ひとりが自律的なキャリアを築くことが求められる時代において、企業は変化に対応できる人材を育成し、確保する必要に迫られています。

ポータブルスキルは、こうした環境変化への適応力を高め、持続的な企業成長を実現するための鍵となります。



キャリア自律と人材流動化への対応


終身雇用が当たり前ではなくなり、働き方が多様化している現在、社員が自律的にキャリアを築く力が強く求められています。

特に論理的思考力やコミュニケーション力といったポータブルスキルは、業種や職種を越えて発揮できる「持ち運べる武器」として注目されています。


企業にとっても、社員のキャリア形成を支援することは極めて重要です。

従業員が自らの将来像を描き、学びや挑戦を通じて成長を実感できれば、仕事へのモチベーションが高まり、エンゲージメント向上につながります。

これは優秀な人材の離職防止や人材流出対策にも直結し、組織にとって大きな成果となります。

変化の激しい環境下でも競争力を維持するために、多くの企業が研修や評価制度を通じてポータブルスキルの育成とキャリア自律支援を積極的に進めています。



リスキリングとの関係


DX推進や新規事業の創出など、企業はこれまでにないスピードで新しいスキル習得を社員に求めています。

そこで注目されるのがリスキリングですが、その効果を支える基盤となるのがポータブルスキルです。

例えば、論理的思考力や課題解決力が高ければ、新しい知識を整理・理解しやすく、実務に応用するスピードも速くなります。

さらに、コミュニケーション力やマネジメント力が備わっていれば、学んだスキルをチームや組織に浸透させ、成果に結びつけることができます。


企業にとっては、リスキリングを単なる「知識の付け足し」に終わらせず、実務の変革に直結させるための土台として、ポータブルスキルを磨くことが不可欠です。

これを実現するため、研修体系においてリスキリングと併せて基盤スキルを強化する流れが加速しています。



人的資本経営の推進


人的資本経営が広がる中で、企業には人材の価値を「見える化」し、持続的な成長にどうつなげるかが問われています。

その際、専門スキルや資格だけではなく、汎用的に活用できるポータブルスキルを指標とすることが有効です。

なぜなら、ポータブルスキルは社員一人ひとりの基礎力を示すだけでなく、組織全体の対応力や変革力を測る物差しにもなるからです。

評価・育成の観点でも、これらのスキルを定期的に可視化し、向上を支援する仕組みを整えることで、人的資本経営に必要なデータ開示や人材戦略の高度化につなげられます。


実際、多くの企業がコンピテンシー評価や360度評価などを活用し、ポータブルスキルを育成指標として取り入れ始めています。

こうした取り組みは、投資家や社会に対する企業価値の訴求にも直結します。



企業がポータブルスキルを活用するメリット      


企業が従業員のポータブルスキル育成に注力することは、多くのメリットをもたらします。

例えば、厚生労働省が示す24の構成要素の一覧などを参考に、具体的な項目を指標化すれば、異動や配置転換の柔軟性が高まり、組織全体の生産性向上に寄与します。

また、採用や育成における共通言語を持つことで、人事戦略の精度も向上します。

ここでは、ポータブルスキルを活用することで得られる具体的なメリットを、一覧表の要素を念頭に置きながら3つの側面に分けて解説します。



異動や配置転換で活きる


ポータブルスキルを持つ従業員は、特定の業務知識に依存せず、部署異動や未経験の職務にも柔軟に対応できます。

新しい環境でも、これまでに培った「課題への取り組み方」や「自己管理力」を活かし、早期にキャッチアップして成果を上げることが可能です。

例えば、課題解決のプロセスや周囲とのコミュニケーションの取り方といった基本的なスキルが身についていれば、業務内容が変わっても応用が利きます。

社員にポータブルスキルがあることで、企業は事業戦略の変化に応じて人員を迅速に配置でき、組織の硬直化を防ぎながら適材適所を実現しやすくなります。



組織の柔軟性と生産性を高める


社員一人ひとりのポータブルスキルが高まることで、組織全体のパフォーマンスは着実に底上げされます。

変化の激しい市場環境では、専門性だけに依存すると環境変化への対応が遅れ、業務停滞を招くリスクがあります。

しかし、社員が自律的に課題を見つけ、解決策を考えて行動できるようになれば、指示待ちの姿勢が減り、業務効率が向上します。


特に、論理的思考力や情報リテラシーといった問題解決力が組織に浸透すれば、部門間の連携がスムーズになり、質の高い意思決定が可能になります。

その結果、市場の変化や新たなビジネスチャンスに対して迅速かつ柔軟に対応できる「しなやかな組織」が構築され、持続的な生産性の向上へとつながります。

これは、組織全体の競争力を高めるうえで欠かせない要素です。



採用・育成の共通指標になる


ポータブルスキルは、採用から育成、評価までを貫く「共通の評価軸」として大きな役割を果たします。

専門スキルや経験は職種ごとに異なりますが、論理的思考力やコミュニケーション力といった基礎力はすべての職種に共通して必要とされるため、評価基準に設定しやすいのです。


採用の場面では、応募者のポータブルスキルを見極めることで、ミスマッチを減らし、自社で活躍できる人材をより正確に選ぶことができます。

育成においては、全社共通のスキルマップを基に研修プログラムを設計したり、個々の強み・弱みに応じた育成計画の立案が容易になり、体系的かつ効果的な人材開発が実現します。

さらに、評価制度にポータブルスキルを取り入れることで、社員の成長を一貫して測定でき、キャリア形成支援やリーダー候補の発掘にもつながります。

ポータブルスキルを軸とした仕組みは、人材戦略全体の質を高める有効な手段といえます。



ポータブルスキルの育成方法             


社員のポータブルスキルを向上させるには、体系的かつ継続的なアプローチが欠かせません。

個々の自己啓発に任せるだけでなく、企業として学習の機会や実践の場を提供し、スキルを磨く環境を整えることが重要です。

ここでは、従業員がポータブルスキルを効率的に身につけるための具体的な方法として、eラーニングの活用、実践的な研修、フィードバックの仕組みなど、多様な育成手段を紹介します。



eラーニングやLMSを活用した学習


ポータブルスキルの基礎を効率的に習得するには、eラーニングやLMS(学習管理システム)の活用が非常に有効です。

論理的思考力やコミュニケーション力、問題解決力などの基礎スキルは、「知識の理解」と「演習」を繰り返すことで定着します。

eラーニングなら、時間や場所にとらわれず自分のペースで学習できるため、全社員を対象とした教育に最適です。


eラーニングの基盤としてLMS(学習管理システム)を導入することで、社員一人ひとりの学習進捗や受講履歴を可視化でき、人事部門は習熟度に応じた育成計画を立てやすくなります。

社員自身も、自分の学習状況や成長を客観的に確認できるため、学習意欲の向上につながります。

反復学習により知識が定着し、組織全体の基礎力の底上げにも貢献する手法です。




■多機能型LMS「SmartSkill Campus」は、ポータブルスキルが学べる450以上のコンテンツを標準搭載


レビックグローバルが提供する多機能型LMS「SmartSkill Campus」には、新入社員から管理職まで全階層をカバーする450以上の学習コンテンツ(動画+テスト)が標準搭載されており、導入後すぐに社員がポータブルスキルを学べる環境を提供できます。

1プログラムは約5分のマイクロラーニング形式で、いつでもどこでも何度でも学習可能。ポイントを押さえた効率的で効果的な学びが実現します。

自己学習としてだけでなく、研修の事前学習や事後学習の補完としても活用されています。


<カテゴリーラインナップ>

・ビジネスマインド

・ビジネスマナー

・ビジネススキル

・キャリアデザイン

・社会人基礎力

・コミュニケーション

・ロジカルシンキング

・指導と育成

・チームマネジメント

・戦略/フレームワーク

・経営戦略

・経営分析

・マーケティング

・MBOベーシック




                     ※標準搭載はコンテンツライブラリの[1]~[14]が対象


ree


研修・OJTによる実践的な学び


ポータブルスキルを身につけるには、知識の学習に加えて、研修やOJTを通じてスキルを実際に発揮する機会を持つことが重要です。

集合研修では、ケーススタディやグループワークを通じて、課題解決のプロセスや合意形成を体験的に学ぶことができます。

OJT(On-the-Job Training)は、日々の業務の中で上司や先輩から直接指導を受けながら、スキルを磨く絶好の機会となります。


インプットとアウトプットを繰り返し、実務や実務に近い環境で経験を積むことで、課題解決力やコミュニケーション力、柔軟な対応力といったポータブルスキルが定着し、向上します。

こうした実践的な学びは、日々の業務での成果向上にも直結します。



フィードバックを重視した取り組み


ポータブルスキルを育成するうえで欠かせないのが、フィードバックの仕組みです。

自分の行動や思考プロセスを客観的に振り返ることで、成長のポイントが明確になります。

例えば、会議での発言やプロジェクトでの役割分担を振り返り、上司や同僚から「論理性が高かった」「伝え方を改善すると効果的」といった具体的なフィードバックを受けると、次の行動改善につながります。


また、360度評価や、ポータブルスキル診断を取り入れることで、より多面的かつ継続的な学びの機会を提供できます。

厚生労働省が「ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)」を提供しており、社員の現状把握に役立ちます。


定期的なフィードバックの積み重ねは、スキルを一過性の知識ではなく、習慣として根付かせる大きな要素となります。



AIなど最新ツールの活用


近年、AI技術を活用した新しい育成ツールが登場し、ポータブルスキルの育成方法が進化しています。


LMSなどの学習プラットフォームに搭載されたAIは、個々の学習履歴を分析し、最適な学習コンテンツを自動で提示。

論理的思考力や問題解決力といった基礎スキルを効率的に学べます。





AIによるロープレやシミュレーションを活用すれば、コミュニケーション力や判断力を安全な環境で繰り返し実践可能。

発言や対応の適切性を評価し、改善点を具体的に提示することで、学びの効果が高まります。





AIによる課題フィードバック機能を活用すれば、ポータブルスキルに関する課題や演習の結果に対して具体的な改善点やアドバイスをリアルタイムで受け取ることができ、スキル習得に役立ちます。





こうしたAIの活用により、より効率的かつ実践的にポータブルスキルを育成できます。



企業の取り組み事例                 


多くの企業が自社の事業戦略や人材育成の方針にあわせて、ポータブルスキルの強化に積極的に取り組んでいます。

ここでは、多機能型LMS「SmartSkill Campus」を活用し、ポータブルスキルを学習できる環境を整え、社員の学びや成長につなげている企業の取り組みをご紹介します。



住友生命保険相互会社様

ウェルビーイングに貢献する「なくてはならない保険会社グループ」の実現に向けた人財共育

ree

住友生命保険相互会社様は、職員一人ひとりのウェルビーイング実現と、自律的に挑戦し続けられる人材・組織づくりを目指し、2021年度に「人財共育本部」を設立しました。

多様な価値観を受け入れながら変化に柔軟に対応できる人材育成を推進し、職員が自らキャリアを描き、学び続けられる環境づくりに取り組んでいます。


同社では、多機能型LMS「SmartSkill Campus」を導入し様々な学習機会を提供していますが、その中のひとつとして、階層別研修後の自主学習用教材にポータブルスキルコンテンツを活用。

新入職員・若手には「ビジネスマナー」や「ビジネススキル」といった基礎コンテンツ、中堅職員には組織を動かす役割を担う立場として「チームマネジメント」を推奨しています。

特に「ロジカルシンキング」は業務時間中に学ぶ機会が少ないものの、ビジネススキルの基盤として人気です。


動画コンテンツはいつでもアクセスでき、理解の補完や反復学習に最適です。

時短勤務の職員からも「業務時間外にスマートフォンで学習できる」と好評で、この仕組みにより職員の継続的な学習意欲が高まり、ポータブルスキルの定着・向上につながっています。





ワタミ株式会社様

社員一人ひとりの夢や目標を実現するキャリア支援


ree


ワタミ株式会社様は、社員一人ひとりの夢や目標の実現を企業成長の源泉と捉え、キャリア支援に力を注いでいます。

従来は集合研修が中心で、個々の成長ニーズに十分対応できないという課題がありましたが、多機能型LMS「SmartSkill Campus」を導入し、オンライン学習環境を整備したことで大きな転換を図りました。


同社では、社員からの「基礎的な知識やスキルを幅広く学びたい」という声に応え、ポータブルスキルを学習できる動画コンテンツを拡充。

一般社員から店長、課長、部長へとキャリアを進めるために必要なスキルを段階的に学べる環境を整えています。


UIをカスタマイズし、PC・スマホのどちらでも見やすい工夫をするなど社員に寄り添った運用の結果、「何か学びたいときはここで探せばいい」という文化が社内に根付き、自発的な学びを後押ししています。






まとめ


ポータブルスキルは、特定の環境に依存しない汎用的な能力であり、変化の激しい現代において個人と企業の双方にとってその重要性は増しています。

企業がポータブルスキル育成に取り組むことは、従業員のキャリア自律を支援し、エンゲージメントを高めるだけでなく、組織の柔軟性や生産性の向上、さらには人的資本経営の推進にも直結します。

育成には、eラーニングや研修、OJT、そして客観的なフィードバックといった多角的なアプローチを組み合わせ、継続的に実施することが求められます。

自社の現状と課題を分析し、戦略的な人材育成計画の中にポータブルスキルの強化を位置づけることが、持続的な成長を実現する鍵となります。




ree


ree

 
 
bottom of page