top of page
SmartSkill Campus導入検討3点セット

営業時間 9:30~18:30(月曜日~金曜日)

tel

ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型との違いからメリット・デメリットまで解説

8月28日
読了時間: 24分


「ジョブ型雇用」という言葉を耳にする機会が増えたものの、従来の雇用形態との具体的な違いや、自社や自身のキャリアにどのような影響があるのか、正確に理解できていない方も多いのではないでしょうか。

この雇用形態への移行は、単なる制度変更ではなく、働き方そのものを見直す大きな転換点です。


この記事では、ジョブ型雇用の意味やメンバーシップ型との違い、導入のメリット・デメリット、成功企業の事例までを網羅的に解説します。

この記事を読めば、ジョブ型雇用の本質を理解し、制度設計やキャリア形成に活かすための具体的な指針を得られるでしょう。


AI搭載のタレントマネジメントシステム「SmartSkill HCE」は、人財データを経営の力に変え、社員の成長を最短で導く新しいタレントマネジメントシステムです。

サービスの詳細や機能については、公式ページをご覧ください。


   




目次




ジョブ型雇用とは?職務を明確に定義する雇用形態   

 

ジョブ型雇用とは、特定の職務に対して人材を割り当てる雇用形態を指します。


この制度の最大の特徴は、職務記述書によって、担当する業務内容、責任範囲、必要なスキル、求める成果などが明確に定義されている点です。

企業は職務記述書で定められた条件を満たす人材を採用し、従業員はその範囲内で業務を遂行します。


つまり、ジョブ型雇用の本質的な意味は、「人」に仕事をつけるのではなく、「仕事」に人を合わせる考え方に基づいています。

 

 

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の5つの違い   

 

ジョブ型雇用への理解を深めるためには、従来の日本で主流だったメンバーシップ型雇用との違いを把握することが不可欠です。


メンバーシップ型雇用は、新卒一括採用や終身雇用を前提とし、企業という共同体の「メンバー」として人材を採用する雇用制度です。


ここでは、両者の特徴を5つの観点から比較し、その違いを解説します。



採用基準|スキルや経験を重視するか、ポテンシャルを重視するか

 

採用の基準において、両者には明確な違いがあります。


ジョブ型雇用では、特定の職務を遂行できる即戦力が求められるため、職務記述書に記載されたスキルや経験が採用の必須条件です。


一方、メンバーシップ型雇用では、長期的な育成を前提とするため、現時点でのスキルよりも将来性やポテンシャル、組織への適応力が重視される傾向にあります。


専門性の高い人材を、必要なタイミングでピンポイントに獲得できる点が、ジョブ型雇用の強みです。


 

業務範囲|限定的か、無限定か

 

ジョブ型雇用における業務範囲は、職務記述書によって明確に定義されています。

従業員は自身の専門分野に集中して取り組むことができ、担うべき役割と評価基準が明確です。


対照的に、メンバーシップ型雇用では業務範囲に明確な定めがなく、企業は配置転換や転勤、職種変更といった幅広い辞令を出すことが可能です。

これは、様々な仕事を経験させることでゼネラリストを育成するという考えに基づいています。

 


報酬制度|職務内容で決まるか、勤続年数や年齢で決まるか

 

報酬制度も大きく異なります。


ジョブ型雇用では、「同一労働同一賃金」の原則に基づき、職務の難易度や責任の重さに応じて報酬が決定されます。

年齢や勤続年数に左右されないため、若手であっても高い職務価値を発揮すれば、それに見合った処遇を得やすくなります。


一方、メンバーシップ型雇用では、勤続年数や年齢に応じて昇給・昇格する年功序列型の報酬制度が一般的です。

この制度は、従業員の企業への長期的な帰属意識を高める効果がありました。

 

 

異動・転勤|原則ないか、会社の辞令によってあるか

 

ジョブ型雇用では、特定の職務に対して採用されるため、本人の合意がない限り、原則として異動や転勤はありません。

専門性を深めたい従業員にとっては、キャリアパスが描きやすい環境です。


一方、メンバーシップ型雇用では、会社の辞令による異動や転勤が頻繁に行われます。これにより、企業は事業状況の変化に応じて柔軟に人員を配置できますが、従業員は自身のキャリアプランとは異なる部署への移行を命じられる可能性があります。


キャリアの継続性を重視する場合、ジョブ型への移行は大きなメリットになり得ます。



【関連記事のご紹介】

 

 

人材育成|自己責任か、会社主導の研修か

 

人材育成の考え方にも違いが見られます。


ジョブ型雇用では、職務を遂行するために必要なスキルをどう伸ばすかを、従業員自身が主体的に選択できます。

自身のキャリアビジョンに合わせて、必要な学習やスキル開発に主体的に取り組めることが、ジョブ型雇用の特徴です。


対照的に、メンバーシップ型雇用では、会社が主導して階層別研修やOJT(On-the-Job Training)などを計画的に実施し、長期的な視点で人材を育成します。


自身の専門性を戦略的に高めていきたい人材にとって、ジョブ型雇用は主体的なキャリア形成の機会を広げる仕組みといえます。

 

 


 

日本でジョブ型雇用が注目される3つの理由      

 

近年、日本でジョブ型雇用の導入が急速に注目されています。この背景には、社会経済の変化や働き方の多様化といった複数の理由が絡み合っています。

なぜこれほどまでに普及が進んでいるのか、その主な要因を3つ解説します。

 


経団連による日本型雇用システムの見直しの提言

 

日本の経済界を代表する経団連が、2020年に公表した経営労働政策特別委員会報告(※1)の中で、従来の日本型雇用制度の見直しを提言したことが大きな契機となりました。


この提言では、Society5.0時代の到来を見据え、企業の持続的な成長のためには多様な人材が活躍できる環境整備が不可欠であるとし、その選択肢の一つとしてジョブ型雇用の推進を明確に打ち出しました。


[出典]一般社団法人日本経済団体連合会「2020年版 経営労働政策特別委員会報告-Society 5.0時代を切り拓くエンゲージメントと価値創造力の向上」(2020年1月21日)

 


テレワーク普及による業務内容の可視化

 

新型コロナウイルス感染症の拡大を機にテレワークが急速に普及したことも、ジョブ型雇用への関心を高める一因となりました。


オフィスから離れて働く環境では、誰がどのような仕事をしているのかが見えにくくなります。そのため、個々の業務内容や役割、責任範囲を明確に定義する必要性が高まりました。


仕事の成果で評価するジョブ型雇用の仕組みは、テレワークという働き方と親和性が高いといえます。

 

 

大手企業によるジョブ型雇用導入の活発化

 

日立製作所、富士通、資生堂といった日本を代表する大手企業が相次いでジョブ型雇用の導入を発表し、その動きが他の企業にも大きな影響を与えています。


グローバルな競争環境で勝ち抜くためには、専門性の高い人材の確保と適材適所の配置が不可欠であるという経営判断が、ジョブ型雇用への移行を推進しています。

こうした先進企業の取り組みが、日本全体での普及を後押ししています。

 

 


 

【企業側】ジョブ型雇用を導入するメリット      

 

ジョブ型雇用は、企業にとって多くの戦略的利点をもたらします。特に、専門人材の確保や公正な評価制度の構築において、そのメリットは顕著です。

ここでは、企業側から見た3つの主要なメリットを解説します。

  

 

専門性の高い人材を迅速に確保できる

 

ジョブ型雇用の最大のメリットは、事業戦略に必要な専門性を持つ人材を、市場から迅速に確保できる点です。


職務記述書で求めるスキルや経験を明確に定義するため、採用プロセスにおいて候補者の能力を的確に見極めることが可能です。

これにより、育成に時間を要するメンバーシップ型雇用とは異なり、即戦力となる人材をタイムリーに採用し、事業のスピードを加速させることができます。

 

 

成果に基づいた公正な評価制度を構築しやすい

 

職務内容と期待される成果が明確であるため、従業員のパフォーマンスを客観的かつ公正に評価する制度を構築しやすくなります。


年齢や勤続年数ではなく、職務の遂行度や貢献度に基づいて報酬を決定できるため、従業員の納得感が高まります。

公正な評価と報酬は、従業員のモチベーション向上に直結し、組織全体の生産性向上にもつながります。

 

 

職務と人材のミスマッチを防ぎ採用効率が向上する

 

採用段階で職務内容を詳細に提示するため、応募者は自身のスキルやキャリアプランと照らし合わせて応募でき、入社後のミスマッチを大幅に減らすことができます。


ミスマッチを防ぐことにより、早期離職のリスクが低減し、採用活動全体の効率が向上します。

企業と応募者の双方にとって、期待値のズレが少ない採用が実現できる点は、大きなメリットと言えるでしょう。

 

 

【企業側】ジョブ型雇用を導入するデメリットと注意点 

 

ジョブ型雇用の導入は、企業に多くのメリットをもたらす一方で、いくつかのデメリットや運用上の注意点も存在します。

特に、人材の流動性や配置の柔軟性、制度設計の複雑さについては、慎重な検討が必要です。

 

 

専門人材の流出や転職リスクが高まる

 

高い専門性を持つ人材は、労働市場においても価値が高く、より良い条件を求めて転職する可能性が高まります。

自社でスキルを磨いた優秀な人材が、競合他社に流出するリスクは常に念頭に置く必要があります。


従業員のエンゲージメントを高め、魅力的なキャリアパスや報酬制度を提示し続けなければ、人材の定着は難しくなります。

 

 

職務が限定されるため柔軟な人員配置が難しい

 

従業員の業務範囲が職務記述書によって明確に定められているため、事業環境の変化に応じて柔軟に人員を配置することが難しくなります。

例えば、ある事業が縮小し、別の事業を拡大したい場合でも、従業員の合意なく他部署へ異動させることは原則できません。


この硬直性は、急な組織変更や新規プロジェクトへの対応を困難にする可能性があります。丁寧な運用設計が求められます。

 

 

評価制度や給与体系の大幅な見直しが必要になる

 

ジョブ型雇用へ移行するには、従来の年功序列型とは全く異なる、職務の価値に基づいた評価制度や給与体系を新たに設計し直す必要があります。

各職務の市場価値を調査し、社内での公平性を保ちながら等級や報酬を決定するプロセスは、専門的な知見と多大な労力を要します。


この制度変更は従業員の生活に直結するため、慎重かつ丁寧なコミュニケーションが不可欠です。

 

 

【従業員側】ジョブ型雇用で働くメリット       

 

ジョブ型雇用は、働く従業員にとってもキャリア形成の観点から多くの利点があります。

自身の専門性を直接的に活かし、明確な基準のもとで評価される環境は、プロフェッショナルとしての成長を望む人材にとって魅力的です。

 

 

自身の専門性を活かして成果を出しやすい

 

自身の持つスキルや経験が直接的に求められる職務に就くため、専門性を最大限に活かして業務に取り組むことができます。


業務範囲が明確であるため、専門外の雑務に時間を取られることなく、得意な分野で集中して成果を出すことが可能です。これは、仕事における高いパフォーマンスと満足感につながります。

 

 

明確な評価基準のもとでキャリアアップを目指せる

 

評価の基準が職務記述書で定められた成果に基づいており、非常に明確です。

何を達成すれば評価されるのかが分かりやすいため、目標設定がしやすく、キャリアアップに向けた道筋を描きやすくなります。


自身の市場価値を意識しながら計画的にスキルを磨くことができ、高いモチベーションを維持しながら働くことが可能です。

 

 

【従業員側】ジョブ型雇用で働くデメリットと求められること

 

従業員にとって多くのメリットがある一方で、ジョブ型雇用では、自身のキャリアをより主体的に描いていく姿勢が求められます。

ここでは、その中で従業員に求められる視点や心構えについて解説します。

 

 

自律的なスキルアップや継続的な学習が求められる

 

自身の職務価値を維持・向上させるためには、常に新しい知識や技術を学び、主体的にスキルを磨き続ける姿勢が求められます。

何を学ぶべきかを会社からの指示で待つのではなく、自身のキャリアビジョンに基づいて主体的に学習内容を選択できる点は、専門性を伸ばしたい人材にとってはメリットにもなり得ます。


一方で、学習の主導権を自身で握る分、キャリア形成における当事者意識がこれまで以上に求められます。

 

 

担当業務の消滅が雇用の不安定化につながるリスクがある

 

企業の事業再編や技術革新によって担当していた職務が不要になった場合、日本の労働契約法上、直ちに解雇が認められるわけではありませんが、社内に異動先となる職務が用意されていなければ、キャリアの継続に不安が生じる可能性があります。


メンバーシップ型のように、幅広い職務を前提とした人員配置が制度上組み込まれているわけではないため、従業員自身が社内外で通用するスキルを備えておくことが、これまで以上に重要になります。


 

ジョブ型雇用を導入するための6つのステップ     

 

ジョブ型雇用の導入は、単なる制度の変更ではなく、企業文化や従業員の意識改革を伴う一大プロジェクトです。成功のためには、計画的かつ段階的な移行プロセスが不可欠です。


ここでは、導入を成功に導くための標準的な6つのステップを解説し、スムーズな運用を目指すためのポイントを示します。

 



ステップ1:ジョブ型雇用を適用する範囲を決定する

 

最初に、ジョブ型雇用を全社的に導入するのか、それとも特定の部門や職種、役職に限定して導入するのか、適用範囲を明確に決定します。


全社一斉の移行は影響が大きいため、まずは経営層や管理職、あるいは専門職など、職務内容を定義しやすい範囲からスモールスタートする企業も少なくありません。


自社の組織文化や事業特性に合わせて、最適な導入範囲を慎重に検討することが制度を定着させる第一歩です。

 

 

ステップ2:職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成する

 

ジョブ型雇用の核となるのが、職務記述書(ジョブディスクリプション)です。


対象となる職務ごとに、具体的な業務内容、責任と権限、目標(KPI)、必要なスキルや資格、経験といった条件を詳細に言語化します。


現場の従業員や管理職にヒアリングを行い、実態に即した内容にすることが重要です。

この職務記述書が、後の採用、評価、報酬決定のすべての土台となります。

 

 

ステップ3:職務記述書に基づき職務の価値を評価する

 

作成した職務記述書をもとに、各職務の相対的な価値(ジョブサイズ)を評価します。


評価軸には、職務の複雑性、求められる知識やスキル、問題解決能力、責任の大きさ、外部への影響度など、複数の要素を用います。


この職務価値の評価プロセスを通じて、組織内における各仕事の重要度を客観的に序列化し、後の報酬制度設計の基礎を築きます。

 

 

ステップ4:職務価値に応じた等級制度や報酬制度を設計する

 

職務価値の評価結果に基づき、新たな等級制度(グレード)と、それに対応する報酬制度を設計します。


各等級に報酬レンジ(給与の範囲)を設定し、どの職務がどの等級に位置づけられるかを決定します。


市場の給与水準も参考にしながら、社内外で競争力と公平性を両立できる制度を構築することが、優秀な人材を惹きつけ、定着させる上で極めて重要です。

 

 

ステップ5:新しい評価制度と採用要件を整備する

 

新しい等級・報酬制度に合わせて、評価制度も見直します。


職務記述書に定められた目標の達成度を測るための評価項目や基準を具体的に設定します。

同時に、採用活動においても、職務記述書を基にした採用要件を明確化し、募集から選考、面接までのプロセスを再設計します。

これにより、採用から評価、報酬までが一貫した制度として機能するようになります。

 

 

ステップ6:定期的に職務記述書や制度全体を見直す

 

ジョブ型雇用の導入は一度で完了するものではありません。事業環境の変化や組織の成長に伴い、各職務の内容は変化します。

そのため、職務記述書の内容は定期的に見直し、実態に合わせて更新する必要があります。


また、従業員からのフィードバックを収集し、評価制度や報酬制度が意図通りに機能しているかを検証し、継続的に改善していく運用が制度の形骸化を防ぎます。

 

 

ジョブ型雇用への移行に成功した企業の事例      


ジョブ型雇用は、業界や企業規模を問わず、多くの企業で導入が進んでいます。

ここでは、実際にジョブ型雇用への移行に取り組んだ4社の事例をご紹介します。

 

株式会社コロワイド

 

コロワイドは、2023年4月からジョブ型人事制度を導入しています。人に仕事をあてはめるメンバーシップ型ではなく、仕事に人をあてはめるJOB型人事制度を採用し、年齢・性別・国籍等の属性を問わず、社員一人ひとりの適性やスキル・能力に応じた配置を進めています。


職務内容や必要なスキル・能力、報酬条件をジョブディスクリプションで明確にすることで、社員のモチベーション向上やスキルアップにもつなげています。JOB型人事制度と連動して、社員が自らの意思で異動を希望できるグループ横断公募制度「キャリアチャレンジ制度」も導入しており、適所適材の人材配置や人材の定着化を目指しています。


[出典]株式会社コロワイド、「ダイバーシティの推進・従業員の能力向上支援」、



このジョブ型人事制度に対応した教育展開を実現するため、グループ会社を含む約4,000名が利用する教育プラットフォームとして、LMS「SmartSkill Campus」を導入いただいています。従業員一人ひとりのジョブグレードと進捗状況に応じた学習コンテンツを提供できる仕組みを整え、全社共通教育とグループ各社の独自教育をワンプラットフォームで展開することで、管理者・受講者双方の利便性向上と、学習履歴の一元管理を実現しています。


[出典]株式会社レビックグローバル、「株式会社コロワイドへ、"ジョブ型人事制度に対応したオンライン教育の展開"を目的とした教育プラットフォームとしてLMS『SmartSkill Campus』を導入」、https://www.revicglobal.com/post/ssc_colowide



 

株式会社日立製作所

 

日立製作所は、グローバルな事業環境の変化や専門人材の獲得競争激化を背景に、2021年に管理職を対象としてジョブ型人財マネジメントの基盤となる職務記述書(JD)を導入しました。2022年7月からは対象を一般社員にも拡大し、すべての職種・階層ごとに求められる仕事内容や責任を定義した約450種類のJDを整備しています。


同社の推進担当者は、日立のジョブ型を「仕事が先にあるという点で『適所適財』」と表現しており、単なる制度変更ではなく、上長との継続的なキャリア対話を通じて従業員の自律的なキャリア開発を促すことを狙いとしています。

あわせて、AIを活用した学習体験プラットフォーム(LXP)の導入や社内公募の拡充も進め、制度面だけでなく従業員の意識・行動変容を後押しする取り組みを行っています。


新卒採用においても、2020年度から一部職種でジョブ型採用を開始し、拡大を続けています。


[出典] 株式会社日立製作所、「日立が進める『ジョブ型』とは? わかりやすく解説」、 https://www.hitachi.com/ja-jp/insights/articles/job-type-employment/

 

 

株式会社資生堂

 

資生堂は、社員の専門性を強化し「グローバルで勝てる組織」となることを目指し、日本国内の管理職・総合職・美容職を対象としたジョブ型人事制度を導入しています。


社員のレベルを判定する基準を個人の「能力」から「職務(ジョブ)」に転換するため、目指すべき専門性の領域を示す「ジョブファミリー(JF)」、必要な専門性とスキルを示す「ファンクショナル・コンピテンシー(FC)」、職務・役割ベースで格付けする「ジョブグレード(JG)」、職責や業務内容を記述する「ジョブディスクリプション(JD)」という4つの要素を整備し、グローバルスタンダードに沿った客観的な評価・処遇を可能にしています。


期初にジョブグレードとジョブディスクリプションに基づく目標を設定し、期中の進捗確認、期末の評価とフィードバックまでを一連のプロセスとして運用している点も特徴です。


[出典]株式会社資生堂、「人材育成と公正な評価」、 https://corp.shiseido.com/jp/sustainability/labor/training.html

株式会社資生堂、「多様な働き方と組織の公平性をどう結ぶか~パフォーマンスマネジメントの可能性~」、 https://corp.shiseido.com/deilab/jp/research/performance-management/


 

富士通株式会社

 

富士通は2020年4月、幹部社員を対象にジョブ型人材マネジメントに基づく人事制度を導入し、2022年4月には国内グループの一般社員4万5,000人にまで対象を拡大しました。


「FUJITSU Level」というグローバル共通の職責指標を導入し、一般社員5段階・幹部社員6段階、計11段階の職責に応じた報酬水準を設定。グループ内の求人に社員自らが応募できる「ポスティング」制度もあわせて整備し、より高い職責への挑戦を促しています。


2023年には全社員を対象に年収を平均約7%(最大24%)引き上げ、ジョブレベルに応じたグローバルで競争力のある報酬水準への底上げも実施しました。2024年からは新卒採用にもジョブ型人材マネジメントの考え方を拡大しています。


[出典]富士通株式会社、「富士通と従業員の成長に向けた『ジョブ型人材マネジメント』の加速」、https://pr.fujitsu.com/jp/news/2022/04/21.html

富士通株式会社、「新卒採用への『ジョブ型人材マネジメント』の拡大について」、https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000312.000093942.html

 

 

 

 

ジョブ型雇用の導入で失敗する根本原因|形骸化するタレントマネジメントの罠

 

ジョブ型雇用の導入は多くの企業で試みられていますが、制度が形骸化し、期待した効果を得られないケースも少なくありません。

その根本的な理由は、制度設計そのものよりも、むしろ「運用」の段階に潜んでいます。タレントマネジメントがうまく機能しないことが、失敗の大きな罠となっているのです。


 

職務記述書が作成されただけで、更新されない

 

ジョブ型雇用の基盤である職務記述書は、導入時に多大な労力をかけて作成されます。


しかし、事業環境や組織の変化に伴って職務内容が変わっても、記述書が更新されなければ、すぐに実態と乖離してしまいます。


結果として、評価や報酬の基準が曖昧になり、制度全体が信頼性を失う原因となります。

 

 

「制度が20、運用が80」|運用の負荷が想定以上に大きい

 

ジョブ型雇用を適切に運用するには、定期的な職務評価の見直し、市場の報酬水準の調査、個々の従業員との丁寧な対話など、継続的な運用負荷がかかります。


多くの企業では、この運用コストを過小評価し、人事部門のリソースが不足してしまいます。結果として、運用が疎かになり、制度が形骸化してしまうのです。


成功の鍵は、制度設計よりもむしろ日々の運用にあると言っても過言ではありません。

 

 

スキル・評価データが分散し、公平な運用ができない

 

従業員のスキル情報、目標設定、評価結果といった重要なデータが、Excelファイルや異なるシステムに分散して管理されていると、一貫性のある公平な運用は困難です。


どの職務にどのスキルが必要で、誰がその要件を満たしているのかを客観的に把握できなければ、適正な人員配置や後継者育成は進みません。


データが分断されている状態では、データに基づいた意思決定は不可能になります。

 

 

データとAIで実現する、ジョブ型雇用の運用「SmartSkill HCE」

 

ジョブ型雇用は、職務記述書の作成という「入り口」を整えるだけでは機能しません。職務要件の可視化、それに基づく評価・目標管理、そして継続的な見直しという一連の運用があって初めて定着します。


SmartSkill HCE」は、この運用全体をAIとデータの力で支えます。 

 

 

職務要件とのギャップを可視化|スキル・コンピテンシー・資格管理機能


 

ジョブ型雇用の土台となる職務記述書には、その職務に必要なスキル、行動特性、資格が明記されます。


SmartSkill HCEは、スキル管理・コンピテンシー管理・資格管理の3つの機能により、社員一人ひとりの能力・行動特性・資格の状況を一元的に可視化します。

職務記述書で定めた要件を、これらの機能で可視化した現状と照らし合わせることで、勘や経験に頼らない、データに基づいたギャップ把握が可能になります。


可視化されたギャップは、多機能型LMS「SmartSkill Campus」との連携により、そのまま関連する学習コンテンツへとつなげられるため、職務要件を満たすための学習を、途切れさせずに進めることができます。











組織全体の職務適合状況を可視化|BIツール



個人単位のギャップが見えても、組織全体でどの職務にどれだけの人員が必要で、どこにギャップが偏っているのかが分からなければ、戦略的な採用・配置・育成の計画は立てられません。


SmartSkill HCEのBIツールは、蓄積された人財データをノーコードでリアルタイムに集計・可視化する機能です。

「職務等級×スキル充足率」「部門×資格取得状況」といった複数のデータを自在に掛け合わせられるため、経営層や人事は、組織全体でどの職務・部門にギャップが集中しているかを俯瞰的に把握できます。



 

 

職務基準の評価・目標管理を、一元管理|目標管理・評価管理機能


 

SmartSkill HCEの目標管理・評価管理機能は、MBO・OKRいずれの形式にも対応しており、職務記述書に基づいて設定した目標を、進捗の追跡から評価まで一元管理できます。

承認フローも柔軟にカスタマイズできるため、期初の目標設定から期中の進捗確認、期末の評価という一連のプロセスを、システム上で運用できます。


さらに、キャリア管理機能では「現在の職務」と「目指す職務・キャリア」を設定でき、ジョブ型雇用のもとでの主体的なキャリア形成を支援します。


1on1管理機能では、職務の適合状況や成果に関する面談記録を蓄積できるため、上司と部下のやり取りを記録として残し、評価の納得感向上にもつなげられます。








 

制度の形骸化を防ぐ|AIナビゲーター


 

ジョブ型雇用が形骸化する大きな要因は、職務記述書や評価制度が「作って終わり」になり、定期的な見直しが後回しになることです。


SmartSkill HCEのAIナビゲーターは、ログインするだけで一人ひとりの状況に応じた「次の一手」を先回りして届けます。

人事には「一部の職務記述書が半年以上更新されていません。実態との乖離がないか見直しましょう」といった形で、制度全体の定期的な見直しを促します。

また管理職に対しても「Aさんとの1on1が近づいています。担当職務との適合状況を確認しましょう」といった形で、制度の運用を日常的な習慣として定着させる後押しをします。

 

※上記の一部は、今後実装予定の機能です。

 




目指す職務とのギャップに、社員自身が気づく|AIキャリアアドバイザー



ジョブ型雇用は、会社が職務を用意し、それに人を割り当てるという側面が強い制度です。

だからこそ、社員自身が「次にどの職務を目指すか」を主体的に考えられる仕組みが欠かせません。 


AIキャリアアドバイザーは、社員が選択した目指す職務や社内のロールモデルの要件と、自身の現在のスキル状況をAIが比較し、不足しているスキルやコンピテンシー、資格を数値のギャップとしてわかりやすく可視化する機能です。 


算出されたデータをもとに、AIキャリアアドバイザーが現状の強みや次に伸ばすべき方向性を、具体的な文章で解説・提示します。会社から与えられた職務をこなすだけでなく、社員自身が次の職務を主体的に描き、そこに近づくための行動を選び取れるようになります。


 

 




まとめ


ジョブ型雇用は、職務内容を明確に定義し、その職務に基づいて人材を採用・評価する雇用形態です。

ポテンシャルを重視し、業務範囲が無限定なメンバーシップ型雇用とは、採用基準、報酬制度、人材育成など多くの点で根本的な違いがあります。


企業にとっては専門人材の確保や公正な評価制度の構築、従業員にとっては専門性を活かしたキャリア形成が可能になるというメリットがあります。

一方で、人材の流動化や制度設計・運用の複雑さといったデメリットも存在します。


導入を成功させる鍵は、職務記述書の適切な作成と、形骸化させないための継続的な運用にあります。データとAIを活用したSmartSkill HCEのようなツールは、その複雑な運用を支援し、制度を定着させる上で有効な手段となり得ます。


 

 

ジョブ型雇用に関するよくある質問

 

ジョブ型雇用への移行や運用を検討する上で、多くの疑問が寄せられます。ここでは、特によくある質問とその回答をまとめました。

 

 

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は、具体的に何が違うのですか?

 

最も本質的な違いは、雇用契約の基点が「仕事(ジョブ)」か「人(メンバー)」かという点です。


ジョブ型は特定の仕事に対して人を割り当てるため、業務範囲や責任が明確です。

一方、メンバーシップ型は人を採用してから仕事を割り当てるため、異動や転勤があり業務範囲は流動的になります。


この特徴の違いが、採用、報酬、育成の仕組み全体に影響します。

 

 

ジョブ型雇用を導入する際に最も重要なことは何ですか?

 

最も重要なのは、導入目的を明確にすることと、運用の核となる「職務記述書」を適切に作成・運用することです。


なぜジョブ型を導入するのか(例:専門人材の確保、グローバル化への対応など)という目的が曖昧だと、制度が形骸化します。また、職務記述書が実態と乖離しないよう、定期的に見直し、更新し続ける運用体制の構築が不可欠です。

 

 

ジョブ型雇用になると、従業員の解雇は容易になりますか?

 

日本の労働契約法では厳格な解雇権濫用法理が定められており、ジョブ型雇用を導入したからといって、企業が従業員を容易に解雇できるようになるわけではありません。


ただし、担当していた職務が事業再編などで消滅した場合、解雇の正当性が認められる可能性はメンバーシップ型雇用よりも高まる可能性があります。働く側には、より自律的なキャリア形成が求められます。







 
 
bottom of page