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派遣社員の教育義務とは?労働者派遣法のポイントと、LMS活用による効率的な実施方法をご紹介

  • 執筆者の写真: nanaekunai
    nanaekunai
  • 9月11日
  • 読了時間: 29分
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派遣社員の教育は、労働者派遣法により派遣元・派遣先それぞれに義務が定められています。

近年の法改正では、キャリアアップ措置や均衡待遇の推進が強調され、教育の重要性が一層高まっています。

派遣社員に必要な教育を適切に行うことは、法令遵守のためだけでなく、業務効率や安全性の向上、さらには派遣社員の定着率向上といった企業側のメリットにも直結します。

一方で、教育を怠れば法的リスクや業務トラブルにつながりかねません。


この記事では、派遣元と派遣先の教育義務の違いや、実際に行うべき教育内容、教育計画や記録の管理方法まで整理します。

さらに、eラーニングやLMSを活用した効率的な運用方法も解説し、企業担当者が実務で活かせるポイントをご紹介します。


多機能型LMS「SmartSkill Campus」を活用すれば、派遣社員の教育を効果的・効率的に行えます。


派遣社員の育成を考える際には、企業がどのように人材育成を設計・実践しているかを知ることも参考になります。

具体的な取り組みについては、「事例紹介オリックス株式会社、明治安田生命保険相互会社、ワタミ株式会社ほか)」をご覧ください。





目次






派遣社員の教育義務とは?              


派遣社員への教育は、単なる福利厚生ではなく、労働者派遣法で定められた企業の義務です。

この法律は、派遣という雇用形態で働く労働者が安定した雇用を得られること、キャリア形成が適切に進むこと、そして正社員との不合理な待遇差を解消することを目的としています。


教育の内容や実施方法は、法律や厚生労働省のガイドラインで具体的に示されており、入職時の研修や段階的なスキルアップ教育など、派遣労働者の成長を支える内容であることが求められます。

企業はこれらを正しく理解し、計画的に教育を実施する体制を整えることが重要です。



派遣社員の教育が強化された背景


労働者派遣法で派遣社員の教育が強化された背景には、非正規雇用の拡大に伴う社会的課題があります。

かつては、非正規雇用労働者はキャリア形成の機会が乏しく、スキルアップが難しい状況でした。

特に派遣社員には、以下のような特性があり、正規雇用労働者との間で賃金や待遇の格差が生まれ、雇用の不安定化を招く要因となっていました。


・業務の裁量が小さい

補助的・定型的な業務が中心で、スキルアップにつながる経験を積みにくい。


・教育や研修の機会が限られる

派遣先企業は「即戦力」として受け入れることが多く、体系的な教育や長期的育成に十分な配慮がされない。


・キャリア形成の視点が不足しがち

派遣会社もマッチングや契約管理に注力するため、個別のスキル開発支援が十分とは言えない場合がある。


こうした状況を改善するため、国が法改正を通じて企業の教育責任を義務化しました。

派遣社員一人ひとりが希望や能力に応じてキャリアを形成できる環境を整えることは、雇用の安定化だけでなく、労働市場全体の活性化にもつながると考えられています。



労働者派遣法で定められている義務          


労働者派遣法で特に注目したいのは、2015年(平成27年)と2020年(令和2年)の改正です。

これらの改正は、派遣社員のスキルアップやキャリア形成をより具体的に支援するとともに、待遇改善にもつながる重要な変更を行っています。

派遣社員が安心して働き、長期的に成長できる環境づくりに直結する内容として、企業担当者にとっても押さえておきたいポイントをご紹介します。



段階的かつ体系的な教育訓練の実施義務(法第30条の2)


2015年の改正では、派遣元事業主に対して、派遣労働者のキャリアアップを支援するための措置が義務化されました。

具体的には、「段階的かつ体系的な教育訓練」として、派遣社員のキャリア形成を計画的にサポートすることが求められます。

派遣元は、以下のポイントに沿って教育訓練を実施する必要があります。



実施義務

派遣元事業主は、派遣労働者のキャリア形成を念頭に置いた、段階的かつ体系的な教育訓練の実施計画を策定し、これに基づいて教育訓練を実施する義務があります。



■対象者

全ての雇用する派遣労働者が対象です。

登録型派遣や日雇派遣の労働者も含まれ、労働契約が締結された段階で教育が行われます。



■費用

教育訓練は有給かつ無償で提供される必要があります。

訓練費用を派遣料金の値上げや派遣労働者の賃金削減で補うことは望ましくありません。

教育訓練を受けるためにかかる交通費が、派遣先との間の交通費よりも高くなる場合は、派遣元事業主が負担すべきと定められています。



■内容

派遣社員のキャリアアップにつながる内容であることが求められます。

入職時教育を含むこと、無期雇用派遣社員には長期的なキャリア形成を意識した内容が必要です。



■時間数

フルタイムで1年以上の雇用見込みがある場合は、“毎年概ね8時間以上”の訓練機会を提供します。

短時間勤務者には、フルタイム勤務者の勤務時間に比した時間の訓練機会が提供されなければなりません。



■配慮

派遣元事業主は、派遣労働者が教育訓練を適切に受講できるよう、就業時間等に配慮しなければなりません。

複数の受講機会を設ける、開催日時や時間に配慮するなどが望ましいとされています。



■交通費

教育訓練のために発生する交通費が、通勤費より高額な場合は派遣元が負担します。



■記録

実施日時や内容は派遣元管理台帳に記載し、3年間保存する義務があります。



キャリアコンサルティングの実施義務(法第30条の2)


2015年の労働者派遣法改正により、派遣元事業主には、希望する派遣労働者に対してキャリアコンサルティングを実施する義務が新たに追加されました。

これは、派遣社員が自らの職業生活やキャリア形成について相談できる機会を確保するための重要な施策です。

具体的には以下のポイントに沿って実施するよう規定されています。



■相談窓口の設置

キャリアコンサルティングの知見を持つ相談員、または派遣先との連絡・調整ができる担当者を配置する必要があります。

国家資格は必須ではありません。



■対象者

雇用する全ての派遣労働者が利用できる体制を整えることが求められます。



■実施方法

派遣労働者の希望に応じて行われ、対面だけでなく電話やオンラインでの相談も可能です。



派遣先均等・均衡方式(法第30条の3)


2020年(令和2年)の労働者派遣法改正では、「同一労働同一賃金」の実現に向けた規定が整備され、派遣社員の待遇決定方法や教育訓練のあり方にも大きな影響を及ぼしました。

派遣労働者の待遇決定には、以下のいずれかの方式が義務化されました。


1. 派遣先均等・均衡方式

2. 労使協定方式


派遣先均等・均衡方式(法第30条の3)とは、派遣先の通常社員と派遣社員の間で、賃金・賞与・手当・福利厚生・教育訓練・安全管理など全ての待遇について不合理な差を解消する方式です。

教育訓練に関しては、以下の対応が求められます。



■派遣元事業主の義務

派遣元事業主は、派遣先の通常の労働者と職務内容が同一である派遣労働者には、現在の職務遂行に必要な技能・知識を習得するための同一の教育訓練を実施しなければなりません。

職務内容に相違がある場合は、その相違に応じた教育訓練が必要です



■派遣先企業の協力

派遣先は、派遣元事業主から求めがあった場合、派遣労働者が教育訓練を受けられるよう可能な限り協力し、便宜を図るよう努めなければなりません。



労使協定方式(法第30条の4)


労使協定方式(法第30条の4)とは、派遣元事業主が労働組合または過半数代表者と労使協定を締結し、その協定に基づいて派遣社員の待遇を決定する方式です。

教育訓練に関しては、以下の点に注意が必要です。



■労使協定の対象外事項

労使協定方式を選択した場合でも、「法第40条第2項の教育訓練」および「法第40条第3項の福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)」は労使協定の対象外とされており、派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を確保することが求められます。



■段階的・体系的な教育訓練の実施義務

派遣元事業主は、労使協定方式においても、段階的かつ体系的な教育訓練を実施しなければなりません。



■待遇説明義務の強化(法第31条の2)

2020年の派遣元事業主において、派遣元事業主には、教育訓練を含む待遇に関して以下の説明義務が課されました。



■雇入れ時

派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、賃金の見込み額やキャリアアップ措置(教育訓練やキャリアコンサルティング)の内容など、待遇に関する事項を説明することが義務付けられました。



■派遣時

労働者派遣を行おうとする際にも、均等・均衡待遇確保のための措置や労使協定に基づく待遇確保の措置、賃金決定の措置の内容を説明しなければなりません。



■求めがあった場合

派遣労働者から求めがあった場合、派遣元事業主は、派遣労働者と比較対象労働者との間の待遇の相違の内容と理由、および待遇決定に際して考慮した事項を説明する義務があります。

これには教育訓練に関する決定事項も含まれます。



教育義務を怠った場合のリスクとは?


労働者派遣法で定められた教育義務を派遣元または派遣先が怠った場合、行政からの指導や罰則の対象となるリスクがあります。

具体的には、まず労働局から助言・指導が行われ、それでも改善が見られない場合には改善命令が出されます。

この改善命令にも従わない場合、企業名の公表や、最悪のケースでは労働者派遣事業の許可が取り消される可能性も否定できません。

法令を遵守しない企業であるという評判が広がることで、社会的信用の失墜や、優秀な人材の確保が困難になるなど、経営上のリスクにもつながります。

コンプライアンスの観点から、教育義務の履行は極めて重要です。



派遣先企業(受け入れ企業)が実施すべき教育     


派遣先企業(受け入れ企業)が実施すべき教育について、メリットやポイントも含めて解説します。



派遣先企業が教育を行うメリット


派遣先企業が派遣社員に教育を行うことには、法律上の義務を果たすだけでなく、業務効率や組織運営にも大きなメリットがあります。

具体的には以下の通りです。


・業務効率の向上

業務に必要な知識やスキルを事前に教育することで、派遣社員がスムーズに業務を遂行でき、生産性が向上する。


・ミスやトラブルの防止

社内ルールや安全衛生に関する教育を行うことで、誤操作や事故のリスクを減らせる。


・モチベーション向上・定着率改善

キャリア形成を支援する姿勢は、派遣社員の意欲を高め、長期的な就業につながる。


・信頼関係の構築

教育や成長支援を通じて、派遣社員からの信頼や評価が向上し、良好な労使関係を築くことができる。


このように、教育を通じて派遣社員の能力を引き出すことは、派遣先企業にとっても効率的かつ安定した業務運営の基盤となります。



派遣先企業が実施すべき教育


派遣先(受け入れ企業)が派遣社員に対して実施すべき教育は、主に業務遂行に必要な内容と安全・法令遵守に関する内容です。

派遣社員が即戦力として働くことを前提に、実務と安全・法令遵守をバランスよく教育することが求められます。



■①業務遂行に必要な実務教育


派遣社員が派遣先で円滑に業務を行うためには、担当業務に必要な知識やスキルの習得が不可欠です。

派遣先企業は、以下の内容を含めて実務教育を実施することが求められます。


・社内システムの操作方法や業務フローの理解

・書類作成やデータ入力など、具体的な作業手順の習得

・業務で使用するツールや設備の基本操作


こうした教育を行うことで、派遣社員はスムーズに業務を開始でき、業務ミスやトラブルの防止にもつながります。



■②安全衛生や機器操作など職場固有の教育


派遣先の職場における安全衛生教育は、労働安全衛生法に基づき、派遣先企業が実施する責任を負います。

安全衛生や機器操作など職場固有の教育は、派遣社員の安全を確保するために極めて重要であり、正社員と区別なく、就業前に必ず実施する必要があります。


・機械や設備の安全な操作方法

・作業中の事故や災害を防ぐための安全衛生ルール

・緊急時の対応方法や避難経路の確認


特に危険が伴う作業や特殊な設備を扱う場合は、複数回の実習や確認テストを組み込むなど、理解度を確認しながら教育を行うことが重要です。



■③法令遵守・社内ルールの周知教育


派遣社員にも、派遣先企業の法令遵守や社内ルールの理解が求められます。

教育内容としては、以下が挙げられます。


・個人情報保護や情報セキュリティに関する基本ルール

・情報資産の取り扱いに関する規定や、SNSの利用ガイドライン

・ハラスメント防止や労働安全衛生法に関する教育

・社内規程や就業規則の周知


これらを事前に教育することで、トラブルや法令違反のリスクを低減し、派遣社員も安心して働くことができます。



派遣先企業が教育を行う際のポイント


派遣先企業が派遣社員に教育を実施する際には、いくつかのポイントや注意点があります。

法律やガイドラインに沿って適切に実施することで、教育の効果を高めると同時に、トラブルを防ぐことができます。



■教育内容は事前に周知


教育の目的や具体的な内容、受講日程を事前に伝えることは、派遣社員が心構えを持って教育に臨むために非常に重要です。

事前に業務との調整も行いやすくなるため、教育の効果を最大限に引き出すことができます。

また、派遣社員が教育内容を理解し、自身のキャリア形成にどう役立つかを把握できることで、学習意欲の向上にもつながります。



■教育は無償で提供


教育にかかる費用を無償で提供することは、法的義務です。

研修の受講料や教材費、交通費などを派遣社員に負担させることは認められていません。

費用負担に関するルールを正しく理解し、遵守することが求められます。



■派遣先管理台帳に記録・報告


派遣先企業には、派遣社員一人ひとりについて「派遣先管理台帳」を作成し、特定の事項を記録する義務があります。

この台帳は、派遣労働者の雇用の安定やキャリアアップを支援する観点から、適切に保管することが求められます。

派遣先管理台帳に記録すべき主な事項は以下の通りです。


• 業務内での計画的なOJTの教育訓練や業務外の教育訓練を行った日時及び内容

• 無期雇用の派遣労働者であるか有期雇用の派遣労働者であるかの別

• 就業した組織単位

• 60歳以上であるか否かの別


これらの記録は、労働者派遣法を遵守していることの証明となるだけでなく、適正な労務管理のための重要な資料です。

記録の不備は法令違反とみなされる可能性があるため、確実な管理が必要です。

また、これらの記録は派遣元と共有し、派遣社員のキャリア形成や今後の教育計画にも活用することが推奨されます。



■派遣元との連携・調整


派遣先企業は、派遣元企業が希望した場合には、派遣社員が教育訓練を受けられるよう可能な限り協力し、必要な便宜を図るよう努めるよう、労働者派遣法で定められています。


派遣社員を効果的に育成するには、派遣先と派遣元の緊密な連携が欠かせません。

派遣先が行う実務に即した教育と、派遣元が提供するキャリアアップ支援の教育は、互いに補完し合う関係が理想です。

そのためには、以下の情報を両者で共有し、教育計画について定期的に協議・調整することが重要です。


・派遣社員のスキルレベル

・業務の習熟度

・キャリアに関する希望や意向


このように連携することで、教育内容の重複やミスマッチを防ぎ、派遣社員の成長をより効果的にサポートすることができます。



■就業時間や安全への配慮


教育は原則として所定の労働時間内に実施し、その時間は労働時間として扱われるため、賃金の支払いが必要です。

もし時間外に教育を実施する場合には、労働基準法に基づき、割増賃金を支払う義務が生じます。

また、職場の安全面や設備の使用条件にも配慮して、安全で快適な環境を整えます。



■公平性の確保


派遣先企業は、派遣社員に対して正社員と同様に公平な教育機会を提供する必要があります。

業務上必要な教育や研修を正社員のみに実施し、特定の派遣社員には行わないといった対応は、法的な問題に発展する可能性があるため注意が必要です。

誰もが安心して業務に取り組めるよう、教育内容や機会に不合理な差を設けないことが大切です。



派遣元(派遣会社)が実施すべき教育         


派遣元(派遣会社)が実施すべき教育について、メリットやポイントも含めて解説します。



派遣元企業が教育を行うメリット


派遣元が派遣社員に教育を行うことには、法律上の義務を果たすだけでなく、企業にとってもさまざまなメリットがあります。

主なメリットは以下の通りです。


・派遣社員のスキル向上

計画的な教育や研修を通じてスキルを高めることで、派遣先企業からの評価が向上し、次の就業機会の獲得にもつながる。


・派遣社員の定着率向上

キャリア形成や教育支援を実施することで、派遣社員が安心して働ける環境が整い、長期的な雇用関係の維持に寄与する。


・派遣サービスの競争力強化

教育を受けた派遣社員を提供できることは、派遣元の強みとなり、他社との差別化につながる。


・法令遵守によるリスク回避

法律で定められた教育義務を実施することで、行政指導やトラブルのリスクを低減できる。


派遣元が教育に力を入れることは、派遣社員の成長と企業の信頼向上の両方に寄与する重要な取り組みです。



派遣元企業が実施すべき教育


派遣元企業(派遣会社)が派遣社員に対して実施すべき教育は、労働者派遣法や厚生労働省の指針に沿って、派遣社員のキャリア形成やスキルアップを支援する内容が中心です。

主に以下の3つに分類されます。



■①キャリア形成を目的とした教育訓練


派遣元企業は、労働者派遣法に基づき、全ての派遣社員に対して段階的かつ体系的な教育訓練を実施する義務があります。

派遣社員が自身のキャリアプランを実現できるよう、長期的な視点でスキルアップを支援することが求められます。


・職務遂行能力を高め、キャリアの幅を広げる専門知識や実務スキル(経理基礎、プログラミング、CAD、語学 など)

・資格取得支援、リスキリングなどの新分野への学び直し

・Excel、Word、PowerPointなどのOAスキルの応用


キャリアコンサルティングと連動させ、個々のニーズに合った教育を行うことが理想です。



■②ビジネスマナーやPCスキルなどの一般教育


派遣元企業は、特定の派遣先や職種に限定されない、汎用的なビジネススキルの教育を提供する役割も担います。


・ビジネスマナーや電話応対、ビジネス文書の作成といった基本的なコミュニケーションスキル

・Word、Excel、PowerPointなどの基本的なPCスキルの習得・向上

・ロジカルシンキング・クリティカルシンキング・問題解決力などの仕事を進める上で必要な基礎力


これらの基礎的なスキルは、どの職場で働く上でも不可欠であり、派遣社員が新しい環境にスムーズに適応し、自信を持って業務に取り組むための土台となります。



■③計画的な教育訓練の実施義務


派遣元企業には、雇用する全ての派遣社員に対し、計画的な教育訓練を実施する義務があります。

この義務を果たすためには、まず個々の派遣社員のキャリアプランやスキルレベルを把握したうえで、教育訓練計画を作成しなくてはなりません。

そしてその計画に沿って、研修や学習機会を提供する必要があります。

例えば以下のような研修です。


・入職時研修

・年次研修

・職能別研修


計画的な教育訓練通じて、派遣社員は安心して働きながらスキルを磨くことができ、派遣元企業は優秀な人材を安定的に確保することができます。



派遣元企業が教育を行う際のポイント


派遣元企業は、労働者派遣法に基づき、派遣社員のキャリア形成を支援する教育訓練を実施する義務があります。

その際に留意すべき主なポイントを詳しく解説します



■教育訓練計画の策定と実施


派遣元企業には、派遣社員のキャリア形成を支援するために、厚生労働大臣が定める基準を満たした教育訓練計画の策定と実施が義務付けられています。

対象は常用型に限らず、登録型や日雇いの有期雇用派遣労働者も含めた「すべての派遣社員」です。


派遣元は労働契約締結時までに教育訓練計画を明示・説明する義務があり、変更があれば速やかに説明しなければなりません。

また、派遣労働者が良質な派遣元を選べるよう、計画内容をホームページ等で公表することも求められます。


計画を立てる際の主なポイントは以下の通りです。


・キャリアアップに資する内容:ビジネスマナー、PCスキル、専門知識、資格取得支援など。趣味的な研修は不可。

・計画的なOJT・OFF-JT:入職時研修は必須とし、その後もキャリアの節目に応じて体系的に実施。

・訓練時間は8時間以上:フルタイムで1年以上の雇用見込みがある社員には、年間おおむね8時間以上を確保。

・個別性の確保:本人の希望を踏まえたキャリア相談と連動し、実効性ある内容に調整。

・体系的な構成:「階層別訓練」で共通スキルを強化し、「職能別訓練」で職種特有のスキルを習得。


特に無期雇用派遣社員には、長期的なキャリア形成を見据えた訓練内容が不可欠です。

教育訓練計画は、単なる義務対応にとどまらず、派遣社員の成長と派遣先企業からの信頼を高める大切な基盤といえるでしょう。



■教育は無償で提供


教育訓練は、有給かつ無償で実施される必要があります。

訓練時間は労働基準法上の労働時間として扱われ、賃金は原則として通常の労働と同額を支払う必要があります。

また、教育訓練を受ける際の交通費が派遣先への通勤費より高額となる場合は、その差額を派遣元事業主が負担することが求められます。



■就業時間等に配慮


派遣元事業主は教育訓練を適切に受講できるよう就業時間等に配慮し、複数の受講機会を設ける、または開催日時や時間設定に配慮する等により、可能な限り派遣労働者が受講しやすいように配慮しなければなりません。



■キャリアコンサルティングの実施


派遣労働者のキャリア形成を支援するため、派遣元事業主にはキャリアコンサルティングの実施が義務づけられています。

希望する派遣社員に相談の機会を提供し、今後のキャリアパスや必要なスキル習得を一緒に考えることが重要です。

実務上のポイントは以下の通りです。


・相談窓口の設置:キャリアコンサルティングの知見を持つ担当者を配置する。国家資格は必須ではなく、外部の専門家に委託してもよい。

・希望者への確実な対応:希望があるのに相談機会を与えないことは認められない。対面だけでなく、電話やオンラインでの実施も可能とする。

・雇用安定措置との連動:派遣期間終了時などに講じる雇用安定措置は、キャリアコンサルティングの結果を踏まえて行う。

・キャリアパスの明確化:派遣社員の希望を踏まえ、正社員化を目指すのか、派遣として専門性を高めるのかといった方向性を整理し、必要な資格や教育訓練と結び付ける。


キャリアコンサルティングは単なる相談に留まらず、派遣社員のモチベーションや定着率の向上にも直結します。

派遣元企業にとっては、人材の成長を促し、企業の信頼性を高める重要な取り組みといえるでしょう。



■派遣元管理台帳への記録


派遣元企業は、派遣社員一人ひとりの雇用管理とキャリア形成を適切に支援するために、派遣元管理台帳を整備し、必要事項を記録・保存しなければなりません。

特に、教育訓練の日時や内容、キャリアコンサルティングの実施状況は必須の記録項目であり、3年間の保存義務があります。

これらの情報は、単なる記録にとどまらず、派遣社員のキャリア相談や雇用安定措置に活用することで、質の高い人財育成につなげることが可能です。

記録すべき主な内容は次の通りです。


・基本情報:氏名、雇用区分(無期・有期)、年齢区分など

・派遣就業情報:派遣先の名称・所在地、就業日、従事業務の種類や責任範囲

・教育・キャリア支援:実施した教育訓練やキャリアコンサルティングの日時と内容

・雇用安定措置:派遣期間終了時に聴取した本人希望と、その実施内容や結果

・苦情処理や保険手続き:苦情申出の経過や社会保険資格取得の状況


これらを丁寧に記録・更新することは、法令遵守の観点だけでなく、派遣社員の安心感や信頼にも直結します。

単なる形式的な台帳管理ではなく、キャリアアップの土台づくりの一環として積極的に活用することが重要です。



■労働者派遣事業報告書の提出


派遣元事業主は、毎年6月30日までに「労働者派遣事業報告書」を管轄労働局へ提出する義務があります。

報告書は、前事業年度(4月1日~翌3月31日)の派遣事業の実績をまとめるもので、派遣労働者の適正な雇用管理やキャリアアップ支援の実施状況を行政に示す重要な書類です。

報告書に含まれる主な内容は次の通りです。


・派遣労働者数・派遣先件数などの基本情報

・教育訓練の実施状況:実施日・内容・対象者数を明記

・雇用安定措置の実施状況:直接雇用依頼や新たな就業機会の提供、無期雇用への転換等をどの程度実施したか

・労使協定方式を採用している場合の追加書類

 ・労使協定本体

 ・協定対象労働者の職種別人数と賃金額の平均

 ・一般賃金との同等性を確認した書面


教育訓練や雇用安定措置の実績は、派遣労働者のキャリア形成に直結するため、単なる義務として記載するのではなく、社内での取り組みを可視化する機会として活用することが望まれます。

また、インターネット等を通じて関係者へ情報提供することも推奨されており、企業の信頼性向上にもつながります。



派遣社員教育を実施する3つの方法          


派遣社員に対する教育訓練を実施するには、主に「eラーニング」「OJT」「集合研修」の3つの方法が考えられます。

それぞれの特徴と活用のポイントを理解し、これらを効果的に組み合わせることで、より質の高い教育プログラムを構築できます。



eラーニング(LMS)


eラーニングは、インターネットを使って時間や場所を問わず学習できる教育方法です。

LMS(学習管理システム)を活用することで、受講履歴やテスト結果の管理、進捗の可視化が可能になります。

特徴として、派遣社員が自分のペースで学習できること、全員共通の基礎知識やコンプライアンス研修を効率よく提供できることが挙げられます。

活用のポイントは以下の通りです。


・基礎知識や共通スキルの習得に最適

・学習進捗や理解度を管理しやすい

・業務時間や場所に柔軟性を持たせられる


自己学習が中心となるため、進捗確認やフォローアップを組み合わせることでより効果的な教育が実施できます。



OJT(On-the-Job Training)


OJTは、現場での実務を通じてスキルを習得する教育方法です。

派遣社員は、実際の業務を体験しながら先輩社員や上司から指導を受けることで、即戦力化が可能です。

特徴として、業務に直結したスキルや知識を効率的に身につけられる点があります。

研修時間を別途確保する必要がなく、業務と教育を同時に進められるのもメリットです。

活用のポイントは以下の通りです。


・実務に必要なスキルを現場で習得できる

・教材や設備が不要で、コスト面でも効率的

・指導者のスキルによって効果が左右されるため、OJTマニュアルや定期的な振り返り面談で教育の質を担保


eラーニングで基礎知識を事前学習させ、OJTで実践力を磨く「二段階教育」が効果的です。



集合研修


集合研修は、派遣社員を一堂に集めて講師が直接指導する教育方法です。

特徴として、双方向のコミュニケーションが可能で、疑問点をその場で解消できること、グループワークやディスカッションを通じて理解を深められることが挙げられます。

また、派遣社員同士の交流を通じてモチベーション向上にもつながります。

活用のポイントは以下の通りです。


・ビジネスマナーやコミュニケーションスキルなど、共通スキルの習得に適している

・講師や受講者間のやり取りで理解度を確認できる

・スケジュール調整が必要で、習熟度の差がある場合は進行に工夫が必要


効果的な運用方法としては、事前にeラーニングで基礎知識を学んでもらい、集合研修では演習や実践的なワークに重点を置く「ブレンディッド型研修」が推奨されます。




LMSを活用した効率的な実施方法           


LMS(学習管理システム)は、eラーニングコンテンツの配信から受講状況の管理、学習履歴の記録、集合研修の申込管理などを一元的に行える学習プラットフォームです。

派遣社員教育が抱える多くの課題は、LMSを導入することで効率的に解決できます。



教育記録を自動で蓄積・管理


派遣社員教育では、労働者派遣法に基づき、教育訓練の日時・内容・対象者を管理台帳に詳細に記録する義務があります。

従来は手作業での記録が中心で、情報の集約や報告書作成に多くの時間がかかっていました。


LMSを活用すれば、受講履歴やテスト結果も自動で蓄積され、誰がどの教材を受講したか、理解度まで一目で把握できます。

このデータを用いれば、追加学習や個別指導の計画が立てやすくなり、教育効果を最大化できるだけでなく、管理業務の負担も大幅に軽減されます。

また、一元管理により教育内容や進捗のばらつきを防ぎ、派遣社員全員に均等で質の高い教育機会を提供できる点も大きなメリットです。


教育管理の透明性と効率化を同時に実現できる仕組みとして、LMSは非常に有効です。



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多機能型LMS「SmartSkill Campus」では、講座の受講状況やテスト・アンケート結果、利用状況など、さまざまなデータをCSV形式で簡単にダウンロードできます。

eラーニングだけでなく、集合研修の申込や出欠状況も管理できるため、管理台帳の作成に必要なデータを手間なく準備することが可能です。

また、受講者と直接やり取りできる「メッセージ」機能や、学習進捗に応じて自動でフォローメールを送信する「自動リマインドメール」機能を活用すれば、受講者へのフォローも効果的に行えます。

SmartSkill Campusは、管理者の負担を大幅に軽減しながら、派遣社員一人ひとりに合わせた質の高い教育運営を実現します。










教育時間の確保と受講機会の均等化


派遣社員には、フルタイムで1年以上勤務する場合、年間8時間以上の教育を受けることが義務付けられています。

ところが、勤務時間や派遣先の状況によっては、受講機会が限られてしまうケースも少なくありません。


LMSを活用すれば、3~10分程度の短時間教材を組み合わせて段階的に学習させることができ、進捗管理機能を使うことで受講漏れを防ぎながら必要な学習時間を確保できます。

さらに、管理者はレポート機能を通じて、各派遣社員が年間8時間以上の教育を受けているかどうかを確認でき、必要に応じてフォローすることが可能です。


LMSはオンラインで学習できるため、全国の拠点や複数の派遣先に所属する社員も平等に受講できます。

PCやスマートフォンに対応したシステムを利用すれば、派遣社員は自分の都合に合わせて学習でき、移動時間や空き時間なども効果的に使うことができます。


LMSを導入することで、忙しい派遣社員でも無理なく教育時間を満たし、計画的かつ効率的な学習を実現できます。

教育時間の確保と学習効果の両立を支える仕組みとして、LMSは非常に有効です。




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SmartSkill Campusは各種OS・ブラウザに対応しており、PC、スマートフォン、タブレットの各デバイスに最適化したユーザーインターフェース(UI)でどこでも快適に学習いただけます。

ログイン直後に「自身の学習状況」や「次に学ぶべき内容」を直感的に把握できるようになっているため、PC操作に不慣れな方でも安心してご利用いただけます。

必須の受講講座の他、AIが一人ひとりに最適な講座をおすすめする「AI講座レコメンド」や、豊富な検索機能から、自身のスキルアップのための講座を探し受講することができます。

多言語対応(18言語/2025年9月現在)も行っているため、外国人労働者にも対応できます。















個別キャリアパスへの対応


派遣社員は、雇用形態や経験、スキルレベルが多様で、同一の教育プログラムでは十分な対応が難しい場合があります。


LMSを活用すれば、個々のキャリア段階や目標に合わせて、基礎研修からスキルアップ、資格取得まで幅広く教材を提供できます。

キャリアコンサルティングの内容と連動させれば、希望するキャリアに必要なスキルを効率的に習得することもできます。


キャリア形成を意識した教育はモチベーション向上にもつながり、派遣社員が必要なスキルを着実に習得できる環境を整えられます。




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多機能型LMS「SmartSkill Campus」は、ポータブルスキルが学べる400以上の動画とテストを標準装備しています。「ビジネスマナー」や「社会人基礎力」、「ロジカルシンキング」等の入職時研修に使える講座から、「戦略/フレームワーク」「チームマネジメント」「経営分析」等の年次研修で使える講座まで幅広くラインナップしています。

他にも、「FP技能検定」や「日商簿記」等の資格取得を目指す講座や、「TOEIC」で高得点を目指す講座、「営業」や「製造」や「IT」向けの講座など、派遣社員の目指すキャリアに合わせた講座を豊富に取り揃えています。




※標準装備は「コンテンツライブラリ」の「[1]ビジネスマインド」~「[14]MBOベーシック」が対象



さらに、LMS「SmartSkill Campus」とTMS(タレントマネジメントシステム)「SmartSkill HCE」を組み合わせることで、派遣社員一人ひとりのキャリア形成を支援する強力な仕組みを構築できます。

TMS「SmartSkill HCE」では「現在のキャリア」と「目指すキャリア」を登録できるため、現状のスキルを高めるために必要な要素や、将来に向けて取得すべきスキル・資格を可視化することが可能です。

さらに、スキルチェックの結果から不足しているスキルを明確にし、そのままLMS「SmartSkill Campus」の学習コンテンツに1クリックで移行して学習を開始できます。

両システムを連携活用することで、現状把握から学習実行までをシームレスに連携でき、個々の成長を効果的・効率的に後押しします。








教育コストの削減


集合研修は、会場の確保や講師の手配、受講者の移動といった準備に多大なコストと労力がかかります。

eラーニングに切り替えることで、まず大きな効果を得られるのが会場費や交通費の削減です。

会場を予約する必要がなくなり、講師や受講者が移動するための時間や交通費も不要になります。

また、集合研修では同じ内容を繰り返し実施するたびに講師への謝礼が発生しますが、eラーニング化すれば一度作成した教材を繰り返し利用でき、長期的なコストダウンにつながります。

受講者にとっても、移動や待ち時間がなくなることで、業務の合間や空き時間に効率的に学習できるというメリットがあります。




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LMS「SmartSkill Campus」なら、「研修の準備・運営・振り返り」のすべてをデジタル化でき、時間と運用コストを大幅に削減できます。

集合研修をeラーニング化することはもちろん、集合研修においても、受講申込、案内メールや資料の自動配信、ZoomやTeamsなどオンライン会議ツールとの連携による出欠管理、テストやアンケートの自動集計、課題提出受付など、これまで手作業で行っていた作業を一元管理できます。

eラーニングと集合研修を組み合わせたハイブリッド研修も柔軟に設計可能で、知識のインプットはeラーニング、グループワークや実践ワークショップは集合研修、といった効果的な運用も実現できます。

こうした仕組みにより、教育の質を落とすことなく、コスト削減と効率化を同時に実現できるのがSmartSkill Campusの大きな強みです。













まとめ


派遣社員の教育は、労働者派遣法に基づき派遣元・派遣先双方に義務が課せられています。

教育を適切に実施することで、法令遵守だけでなく、業務効率や安全性の向上、派遣社員の定着率改善といった大きなメリットが得られます。

反対に、教育を怠れば法的リスクや企業の信頼低下につながりかねません。

教育方法としてはOJTや集合研修もありますが、近年はLMSを活用したeラーニングが注目されています。

派遣社員教育を単なる義務ではなく、企業成長につながる投資と捉えることで、より持続的で安心できる人材活用が可能となります。




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