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営業職用のスキルマップとは?効果的な作り方や活用方法を解説

  • 執筆者の写真: nanaekunai
    nanaekunai
  • 10月31日
  • 読了時間: 27分
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営業組織の成果を高めるためには、「どのスキルを、誰が、どのレベルで持っているのか」を正確に把握することが欠かせません。

しかし、感覚的な評価や属人的な育成にとどまっている企業も少なくありません。


そこで注目されているのが 「営業スキルマップ」 です。

スキルマップを活用すれば、営業に必要なスキルを体系的に整理し、育成の方向性を明確化できます。


この記事では、営業スキルマップの基本的な考え方から、実際の作り方・テンプレート例・効果的な活用方法まで、実務に役立つポイントをわかりやすく解説します。

記事後半では、すぐに使える Excelテンプレートのダウンロード もご用意しています。


実際に企業がどのように人財育成を進めているのかは、「事例紹介(住友生命保険相互会社、オリックス株式会社、ワタミ株式会社他)」で詳しくご紹介しています。


多機能型LMS「SmartSkill Campus」は、人材戦略の高度化や人的資本経営の実現を支援しています。

サービスの詳細や機能については、公式ページをご覧ください。



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目次



営業スキルマップとは                    

営業スキルマップとは、営業職に求められるスキルを一覧化し、社員ごとの習熟度や強み・弱みを可視化するためのツールです。


営業活動には顧客対応力や提案力、交渉力など多岐にわたるスキルが必要ですが、現状を数値やレベルで整理することで、誰がどのスキルに強みを持っているか、どこに育成が必要かを客観的に把握できます。

営業スキルマップを作成・運用することで、教育計画の策定や研修の優先順位決定、個別のキャリア支援などに直結する情報を得ることができます。


営業組織全体のスキルバランスや人材の偏りも一目でわかるため、戦略的な人材育成が可能になるのが大きな特徴です。



スキルマップの基本的な意味と目的


スキルマップは、特定の職種に必要な能力を整理し、社員ごとに習熟度を明確にする仕組みです。

単なるチェックリストではなく、「どのスキルがどのレベルで求められるか」を示すことで、個人と組織の双方にとって育成の指標となります。


目的は主に3つです。

1つ目は、社員の強み・弱みを客観的に把握すること。

2つ目は、教育計画や研修テーマの優先順位を明確にすること。

3つ目は、評価やキャリア支援の判断材料として活用できることです。


特に営業職のように成果とスキルが密接に関連する職種では、スキルマップを用いることで育成と評価を一貫して行うことが可能になります。



営業職にスキルマップが必要な理由


営業職は、顧客対応や提案、交渉、契約締結など多岐にわたるスキルを駆使して成果を上げる職種ですが、その多くは個人の経験や勘に依存しやすく、スキルが属人化しやすい傾向にあります。

そのため、感覚的な評価や指導だけでは、社員の強みや課題を正確に把握することが難しく、育成の方向性も統一されません。


ここで活躍するのが営業スキルマップです。

スキルマップを活用することで、営業に必要な能力と目指すべきレベルが明確になり、教育計画や研修の優先順位を組織全体で共有できます。

結果として、営業活動の標準化が進み、個人任せではなく組織全体で成果を創出できる体制が構築可能です。

スキルの可視化と統一的な育成方針により、営業力の底上げだけでなく、安定的かつ継続的な成果の実現にもつながります。



営業スキルマップで可視化できるスキルの例


営業スキルマップでは、営業活動に必要な多岐にわたるスキルを可視化できます。


具体的には、顧客の潜在課題を捉え解決策を論理的に構築する「課題発見力・仮説構築力」、顧客と信頼関係を築く「ヒアリング力・コミュニケーション能力」、商談を成約に導く「提案力・交渉・クロージング力」などが挙げられます。

さらに、自律的に目標達成に向けて行動を管理する「セルフマネジメント能力」や、自社製品・サービス、業界に関する「専門知識」も重要なスキルです。


これらを体系的に整理し、評価基準を設けることで、多角的な視点から営業担当者の能力を把握でき、育成や研修の計画策定に直結します。

加えて、チーム全体のスキルバランスを可視化することで、組織として必要なスキルの補強や人員配置の判断にも活用でき、営業力の底上げにつながります。



営業スキルマップに入れるべき項目          


スキルマップを作成する際は、単に営業知識や商品理解を評価するだけでなく、顧客との信頼構築や課題解決に必要な“行動スキル”をバランスよく設定することがポイントです。

ここでは、営業スキルマップに盛り込むべき主要な項目を6つに整理して紹介します。


  • 概念形成力/課題分析力

  • 関係構築力/コミュニケーション力

  • ヒアリング力

  • 交渉力/クロージング力

  • 自律性/タイムマネジメント能力

  • 知識要件/ストレス耐性能力


これらのスキルをバランス良く設定することで、営業担当者の能力を多角的に可視化し、効果的な育成につなげることができます。



概念形成力/課題分析力


概念形成力や課題分析力は、顧客が抱える問題の本質を見抜き、最適な解決策を構想するための思考スキルです。

顧客自身も気づいていない潜在的なニーズや課題を、対話やデータの中から発見し、それを構造的に理解する力が求められます。


単に製品を説明するのではなく、顧客のビジネス全体を俯瞰しながら、

「なぜこの課題が発生しているのか」

「この課題を解決することで、顧客の事業にどんなインパクトがあるのか」

といった問いを立て、論理的に整理・提案できることがポイントです。


このスキルが高い営業担当者は、顧客にとって“モノを売る人”ではなく、“ビジネスの成功を共に考えるパートナー”として信頼されます。

特にソリューション営業やコンサルティング営業では、成果を左右する極めて重要なスキル要素です。



関係構築力/コミュニケーション力


関係構築力やコミュニケーション力は、顧客との良好で長期的な信頼関係を築くための基盤となるスキルです。

初対面の相手とも円滑に会話を進め、安心感を与える能力や、相手の立場や感情を理解して共感を示す力が含まれます。


具体的には、適切なタイミングでのアイスブレイク、相手の話を真摯に聞く傾聴姿勢、分かりやすく的確に情報を伝える表現力などが挙げられます。


このスキルは単に商談をスムーズに進めるだけでなく、顧客ロイヤルティを高め、継続的な取引や紹介につなげるためにも不可欠です。

特に、顧客との長期的な関係性が重視されるルートセールスや、高額商材を扱う営業では、その重要性は一層高まります。



ヒアリング力


ヒアリング力は、顧客から必要な情報を引き出し、課題の本質を正確に把握するためのスキルです。

単に話を聞く「傾聴力」にとどまらず、適切な質問を投げかける「質問力」も含まれます。

顧客が話す表面的な要望だけでなく、その背景にある事情や真の目的、潜在的なニーズまで深く掘り下げて理解することが重要です。


オープンクエスチョン(5W1H)とクローズドクエスチョン(Yes/No)を効果的に使い分け、対話を通じて顧客自身に課題を気づかせることも、ヒアリング力の大切な要素です。

正確なヒアリングができて初めて、顧客の状況に即した的確な提案が可能となり、商談の成功確率を大きく左右するスキルと言えます。



交渉力/クロージング力


交渉力やクロージング力は、商談の最終段階で合意形成を図り、成約に結びつけるための重要なスキルです。

交渉力は、価格や納期、契約条件などについて、自社の利益を確保しつつ、顧客にも納得してもらえる着地点を見出す能力を指します。

一方、クロージング力は、顧客の不安や懸念を解消し、最終的な意思決定を後押しする力です。

タイミングを見計らって購入を促したり、複数の選択肢を提示して選びやすくしたりするなど、具体的なテクニックが含まれます。


これらのスキルは、それまでのプロセスで築いた信頼関係や提案内容を、最終的な成果である「契約」という形に結びつけるために不可欠です。

営業担当者の実績に直結する、まさに営業力の要となる能力と言えます。



自律性/タイムマネジメント能力


自律性やタイムマネジメント能力は、上司の指示を待つのではなく、自ら目標を設定し、計画的に行動を管理して成果を出すための重要なスキルです。

営業活動は個人の裁量に任される部分が大きいため、自己を律し、効率的に時間を使う能力が求められます。


具体的には、訪問計画やタスクの優先順位付け、日々の活動報告、目標達成に向けた進捗管理などが含まれます。

このスキルが高い営業担当者は、限られた時間の中で最大限の成果を上げるための行動を自ら考え、実行できます。

自己管理能力は、安定したパフォーマンスを維持し、継続的に成長していくための土台となる重要な資質です。



知識要件/ストレス耐性能力


知識要件とは、営業活動を行う上で必須となる専門知識のことです。

自社の商品やサービスに関する深い理解はもちろん、競合他社の情報や担当する業界の動向、顧客のビジネスに関する知識も含まれます。

これらの知識は、顧客への提案に説得力を持たせ、信頼を獲得するための基盤となります。


一方、ストレス耐性能力は、営業活動に伴う様々なプレッシャーに対処する力です。

目標未達によるプレッシャーや顧客からのクレーム、厳しい交渉など、精神的な負荷がかかる場面でも冷静さを保ち、前向きに行動し続ける能力が求められます。

心身の健康を維持し、安定したパフォーマンスを発揮するために不可欠なスキルです。



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営業スキルマップを導入するメリット         


営業スキルマップの導入により営業職のスキルを可視化することは、個人の育成や組織全体の営業力強化に直結する多くのメリットがあります。

ここでは、スキルマップを活用することで得られる具体的な利点を整理し、育成・評価・教育計画にどのように役立つかを解説します。



個人の強み・弱みを明確にできる


スキルマップを用いることで、営業担当者一人ひとりのスキル保有状況を客観的な基準で可視化できます。

これにより、本人だけでなく上司や育成担当者も、個々の強みと弱みを具体的に把握できるようになります。


例えば、「関係構築力は高いが、クロージング力に課題がある」といった具体的な評価が可能です。

強みを認識することで、本人のモチベーション向上につながり、得意分野をさらに伸ばすための支援が行いやすくなります。

一方で、弱みが明確になることで改善すべき点が具体化し、目標設定や育成計画の策定がしやすくなります。


感覚的な評価ではなく、データに基づいた客観的なスキル把握は、効果的なフィードバックや個人の主体的な成長を促す基盤となります。

営業スキルマップは、個人の能力を見える化するだけでなく、組織全体での育成戦略にも直結する重要なツールです。



教育計画・研修テーマの立案がしやすくなる


営業スキルマップを活用すると、組織全体やチーム単位でのスキル保有状況を分析でき、教育計画や研修テーマの立案が効率的になります。


例えば、多くの営業担当者の「課題発見力」が不足している場合、そのスキルを強化するための集合研修やワークショップを企画できます。

また、特定スキルが高い社員を講師にした社内勉強会を開催するなど、社員の強みを活かした具体的で効果的な育成施策も立てやすくなります。


このようにスキルマップを活用することで、場当たり的な研修ではなく、組織の課題に直結した戦略的な人材育成が可能です。

限られた教育リソースを最も効果的に配分でき、個人・チーム・組織の成長を同時に支援する「育成の羅針盤」として機能します。

営業教育担当者は、スキルデータを基に優先度や内容を判断できるため、計画の精度と成果が格段に向上します。



育成効果を定量的に把握できる


営業スキルマップを定期的に更新することで、研修やOJTなどの育成施策の効果を定量的に把握できます。

例えば、研修実施前後で特定のスキル項目のレベルを比較することで、研修の成果を具体的に確認可能です。

「交渉力強化研修」を実施した後に、参加者の「交渉力」が平均で1ポイント向上した、といったデータが得られると、施策の効果が客観的に示されます。


この定量的な把握により、育成施策の投資対効果(ROI)を明確に評価でき、次回の研修やOJT計画に反映させることができます。

また、単に「研修を実施した」という事実にとどまらず、「どのスキルがどの程度向上したか」という結果まで追跡できるため、育成活動のPDCAサイクルを効果的に回すことが可能です。

営業教育担当者は、スキルデータを基に計画を改善し、組織全体の営業力向上に直結させることができます。



評価・キャリア支援にも活用できる


営業スキルマップは、人事評価やキャリア支援にも有効なツールです。

営業の評価は売上目標の達成度など定量的な成果に偏りがちですが、スキルマップを用いることで、目標達成までのプロセスで発揮されたスキルや能力も評価に反映できます。

これにより、評価に対する社員の納得感が高まり、公平で客観的な評価が可能になります。


また、スキルマップはキャリア支援にも役立ちます。

上位職や異なる役割に求められるスキルを明示することで、社員自身が将来のキャリアパスを具体的にイメージでき、目標達成のために習得すべきスキルを明確に把握できます。

さらに、上司との面談時にはスキルマップを基に具体的なキャリアプランを話し合うことができ、個人の成長と組織の目標達成を両立させる支援が可能です。

営業教育担当者にとっても、育成と評価を一体化させる重要な指標となります。



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営業スキルマップの作り方              


ここでは、実際に営業スキルマップを作成する手順を5つのステップに分けて解説します。

いきなり完璧なものを作ろうとせず、まずはシンプルなシートやテンプレートを活用しながら、自社の状況に合わせて少しずつカスタマイズしていくことが成功のポイントです。

このステップに沿って進めることで、実用的で効果的なスキルマップを作成でき、営業チーム全体の成長をしっかりサポートする道筋が見えてきます。



【STEP1】営業職の役割・業務を整理する


まずは、自社の営業職が担う役割や業務内容を整理することから始めます。

営業スタイルによって求められる業務は大きく異なるため、新規開拓を中心とするフィールドセールス、既存顧客中心のルートセールス、インサイドセールスなど、担当領域ごとに業務内容を明確化することが重要です。

営業活動を「アポイント獲得」「初回訪問」「ヒアリング」「提案」「クロージング」「アフターフォロー」などのフェーズに分け、それぞれで行う業務を洗い出します。


複数の営業担当者やマネージャーへのヒアリングを活用すると、現場の実態に即したリアルな業務リストが作れます。

この業務整理が、次のステップ「必要なスキルの洗い出し」の土台となります。



【STEP2】必要なスキルを洗い出す


STEP1で整理した業務をもとに、各業務を遂行するために必要なスキルを具体的に洗い出します。

例えば、「ヒアリング」のフェーズでは「傾聴力」「質問力」「課題発見力」が必要なスキルとして上げられます。


顧客対応や提案、交渉、契約締結に関わる能力だけでなく、自律性やタイムマネジメント、専門知識、ストレス耐性など、成果に直結する多角的なスキルを含めることがポイントです。

ここで重要なのは、単なる行動ではなく、成果や結果につながる能力を意識してスキル化することです。

ハイパフォーマー(優秀な営業担当者)の行動特性を参考にしたり、チーム内でディスカッションやアンケートを行ったりすることで、より現場に即した項目を揃えることができます。


最後に、洗い出したスキルを重要度や関連性に応じてグルーピングし、体系的に整理すると、スキルマップの骨子が完成します。

この段階でしっかりと整理することが、後の評価や育成計画を効果的にする鍵となります。



【STEP3】スキルレベルを定義する


STEP2で洗い出したスキル項目について、次は習熟度を測るレベルを設定します。

スキルレベルを定義することにより、各社員がどの程度スキルを身につけているかを可視化でき、育成や評価に活かすことができます。

一般的にはレベル1〜レベル5などの段階で「未習得〜高い習熟度」を示すことが多いです。


例えば、「ヒアリング力」を5段階評価(レベル1〜レベル5)で定義する場合、次のように設定できます。


  • レベル1(見習い):指導者の支援を受けながら、あらかじめ用意された質問リストに沿って質問できる。

  • レベル2(初級):単独で基本的な情報(顕在ニーズ)を聞き出すことができる。

  • レベル3(中級):仮説を立てたうえで質問し、顧客の潜在的なニーズを引き出すことができる。

  • レベル4(上級):対話を通じて、顧客自身が気づいていない課題を明確にすることができる。

  • レベル5(プロ):顧客の経営課題レベルまで踏み込み、事業戦略に関する議論を主導できる。


曖昧な定義では評価にブレが生じるため、誰が評価しても同じ結果になるよう、具体的な行動目標を設定することが重要です。



【STEP4】社員の現状スキルを評価する


作成したスキルマップとレベル定義に基づき、社員一人ひとりの現状スキルを評価します。

自己評価、上司評価、同僚評価(360度評価)を組み合わせることで、より客観的かつ納得感のある評価が可能です。


評価の際は、日常の営業活動や実績を根拠とすることが重要で、営業同行や商談のロールプレイを通じてスキルの発揮度を確認します。

さらに、評価者の主観によるバイアス(ハロー効果や寛大化傾向など)を防ぐため、評価基準の統一やアセッサー・トレーニング(評価者訓練)を実施することが推奨されます。

必要に応じて、自己評価や360度評価の結果と突き合わせ、複数の視点で評価することで、より正確なスキル把握が可能になります。


評価結果は本人にフィードバックし、現状の強みと課題を共通認識として整理することで、成長を促す対話の材料になります。

評価は一方的な査定ではなく、主体的な成長を支援する機会として捉えましょう。



【STEP5】ギャップに基づき育成計画を立てる


最後に、現状スキルと理想スキルのギャップを分析し、社員一人ひとりに合わせた育成計画を立てます。

弱みを補強する研修やOJTを優先的に組み込み、同時に強みをさらに伸ばす施策も加えると効果的です。

例えば、課題発見力が不足している社員にはケーススタディやロープレ研修を導入する、交渉力が高い社員を講師にした社内勉強会を開催するなどが考えられます。

また、スキルに長けた先輩社員をメンターとして配置するなど、実務に直結した支援を組み合わせることで、育成の現場感も高まります。


育成計画には、具体的な目標(いつまでに、どのスキルを、どのレベルまで引き上げるか)、習得のためのアクションプラン、そして進捗を確認する時期などを盛り込みます。

また、上司と本人が定期的に面談を行い、計画の進捗状況を確認し、必要に応じて軌道修正していくことが重要です。

このプロセスにより、スキルマップは単なる評価ツールにとどまらず、個人・チーム・組織の成長を促す実践的な育成ツールとして活用できます。



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厚労省のシートを営業スキルマップのテンプレートとして活用する方法


「営業スキルマップ」を作成する際、ゼロからすべてのスキル項目を定義するのは大変な作業です。

そこでおすすめしたいのが、厚生労働省が公開している「職業能力評価シート」をテンプレートとして活用する方法です。



「職業能力評価シート」とは


職業能力評価シートとは、厚生労働省が策定した「職業能力評価基準」に基づき、職種やレベルごとに必要な能力を具体的にチェックできるように作られたツールです。

このシートの最大のメリットは、国が業界横断的に調査・分析した標準的なスキル項目と評価基準が、「営業職」向けにも体系化されている点です。


●網羅性の高さ

営業活動に必要な「知識」「技能」「姿勢」が漏れなく整理されています。


●客観性の担保

特定の企業や業界に偏らず、多くの企業で共通して必要とされる普遍的な能力が定義されているため、評価の客観性を担保しやすい「ひな形」として活用できます。


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営業職向けシートの探し方とダウンロード方法


厚生労働省が公開している「職業能力評価シート」は、同省の公式サイトから無料でダウンロードできます。


営業職のシートは「職業能力評価シート(事務系職種)」のページに掲載されています。

以下のリンクからアクセス可能です。


▼職業能力評価シート(事務系職種)のダウンロードhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000093991_00001.html


▼職業能力評価シートの概要


営業職向けのシートは、習熟度に応じてレベル1からレベル4まで段階的に構成されています。


  • レベル1:エントリー/スタッフ

  • レベル2:シニア・スタッフ

  • レベル3:スペシャリスト/マネージャー

  • レベル4:シニア・スペシャリスト/シニア・マネージャー


自社の営業職の等級や役職体系に近いレベルのシートを選び、スキルマップ作成のベースとして活用するのがおすすめです。



テンプレートを自社用にカスタマイズするポイント


職業能力評価シートは優れたテンプレートですが、そのまま使うだけでは不十分です。

貴社の事業や商材に特化したスキルマップとして機能させるには、必ずカスタマイズが必要です。


①能力ユニット・細目を自社業務に合わせて取捨選択する

シートに記載されている「能力ユニット(大項目)」や「能力細目(小項目)」には、貴社の営業職には不要な項目が含まれている場合があります。

扱う商材が異なるなど、自社の業務範囲外の項目は思い切って削除します。

逆に、「特定の業界の法規制知識」など、シートにない独自の重要スキルは追加しましょう。


②評価の「粒度」を統一し、曖昧な表現を避ける

テンプレートの記述が、貴社の組織文化や評価基準と合わない場合があります。

例えば、「顧客と良好な関係を築いている」といった曖昧な表現は、評価のブレに繋がります。

「週に1回以上、既存顧客へ情報提供のメールを送っている」といった具体的な行動(=観測可能な行動)に変換しすることが重要です。

また、ある項目が非常に具体的である一方、別の項目が抽象的すぎると評価者が混乱します。

すべてのスキル項目の粒度(詳細さ)を統一することで、スキルマップの実効性が高まります。



作成したスキルマップを最大限に活用する4つのポイント


営業スキルマップは、作成すること自体が目的ではありません。作成したマップを人材育成や組織開発に活かしてこそ、その真価が発揮されます。

ここでは、スキルマップを形骸化させず、継続的に活用していくための4つの具体的なポイントを紹介します。



運用を「一度きり」で終わらせない


スキルマップを作成しただけで満足してしまい、運用が一度きりで終わるケースは少なくありません。

重要なのは、定期的な評価とフィードバックのサイクルを確立し、日常のマネジメントの中に組み込むことです。


例えば、四半期ごとに上司と部下が1on1ミーティングを行い、スキルマップをもとに成長の進捗確認や次の目標設定を行います。

この仕組みを通じて、日々の業務とスキル向上がリンクしていることを意識づけられ、本人のモチベーションを維持できます。


運用を定着させることで、スキルマップは単なる資料ではなく、営業力向上に直結する「生きたツール」として機能します。



OJT・研修・eラーニングと連動させる


スキルマップで明らかになった課題は、具体的な育成施策と連動させることで改善に直結します。


例えば、「提案力」に課題がある社員には、提案書作成研修やeラーニングコンテンツの受講を推奨し、OJTとして提案力に優れた先輩社員の商談に同行させることで、実践的なスキルを学ぶ機会を提供できます。


こうした施策を体系的に組み合わせることで、学習活動とスキル項目の関連性が明確になり、社員は目的意識を持って育成プログラムに取り組むことが可能です。

Off-JT、OJT、自己啓発をバランスよく組み合わせることが、短期的なスキル補強だけでなく、長期的な能力開発にもつながります。







定期的に見直してスキル変化を追う


市場環境や事業戦略の変化に伴い、営業担当者に求められるスキルも変化します。

そのため、スキルマップの項目やレベル定義は、一度作成して終わりではなく、定期的に見直すことが重要です。


例えば、年に一度、経営層や営業マネージャーが集まり、スキルマップが現行の事業方針に合致しているか、新たなスキル項目を追加する必要はないかを議論します。

また、個人のスキル評価も半年に一度実施し、スキルレベルの変化を時系列で追跡することで、成長度合いや組織全体のスキル変化を可視化でき、次の育成戦略策定に活かせます。



タレントマネジメントシステムやLMSを活用して自動化する


スキルマップの運用は、評価やデータ集計に手間がかかり、組織規模が大きくなるほど手作業には限界があります。

タレントマネジメントシステム(TMS)やLMS(学習管理システム)を活用することで、運用を効率化することが可能です。


タレントマネジメントシステムを導入すると、スキルデータの集計や分析を自動化でき、個々のスキルギャップや組織全体の課題をダッシュボードで一目で把握できます。

さらに、LMSと連携させることで、スキルマップ上の課題に応じた最適なeラーニングコンテンツを自動でレコメンドすることも可能です。


こうした自動化により、手作業での集計や評価にかかる時間を大幅に削減でき、営業教育担当者はより多くのリソースを実践的な育成やフォローアップに充てることができます。

また、データに基づく分析により評価の客観性が高まり、属人的な判断や感覚に頼らない運用が可能になります。



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営業スキルマップの運用を支援するおすすめツール


営業スキルマップの作成・運用をより効率的かつ効果的に進めるためには、専用のツールを活用することが有効です。

ここでは、スキルデータの可視化や管理、教育コンテンツとの連携、実践的なスキルトレーニングを支援する3種類のツールを紹介します。

これらのツールを導入することで、スキルマップに基づいた人材育成のPDCAサイクルをスムーズに回し、組織の営業力強化を加速させることが期待できます。



タレントマネジメントシステムでスキルを可視化


タレントマネジメントシステム(TMS)は、社員のスキルや経験、評価、キャリア志向などの人材情報を一元管理し、可視化できるITツールです。

これを活用することで、Excelで作成したスキルマップ以上に高度な分析が可能になります。


TMSでは、社員一人ひとりのスキル状況や習熟度をスキルマップ上で可視化できます。

評価された各項目をデータとして集約することで、個人・チーム・組織単位での強みや課題を把握することが可能です。

また、ギャップ分析やスキルの偏りを自動で算出できる機能を活用すれば、育成優先度の高いスキルや社員を効率的に特定できます。


さらに、組織全体のスキル保有状況をグラフで表示したり、特定のスキルを持つ社員を検索したりすることも容易です。

スキルデータと業績データを組み合わせることで、ハイパフォーマーに共通するスキルや行動特性の抽出も可能となります。

これにより、育成施策の計画立案や人材配置の判断がより戦略的に行え、スキルマップの運用を単なる管理ツールではなく、組織の営業力強化や人材育成の基盤として活用できます。




■タレントマネジメントシステムは「SmartSkill HCE」がおすすめ


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レビックグローバルが提供する「SmartSkill HCE」は、スキル可視化から育成計画までを一貫して支援するタレントマネジメントシステムです。

営業スキルマップの運用を次のステージに進めるために、以下のような特徴があります。


スキルギャップ分析

現状スキルと必要スキルの差を自動で算出し、育成の優先順位を明確化


LMS連携

受講履歴やスキルデータを統合し、個人に最適な学習プランを自動提供


組織全体の可視化

人的資本の状況を経営層向けに把握し、戦略的人材マネジメントを支援


柔軟なカスタマイズ

業種や部門特性に応じてスキル項目やレベルを自由に設計可能


「SmartSkill HCE」を活用することで、スキル可視化を単なる「形」にとどめず、評価・育成・戦略に直結させることができます。

営業教育担当者が実務で活用する際にも、個人・チーム・組織単位での成長を効率的に支援できるツールです。





LMS(学習管理システム)で教育データを一元管理


LMS(学習管理システム)は、eラーニングコンテンツの配信や受講履歴、研修の出欠、テスト結果などを一元管理できるシステムです。

これをスキルマップと連携させることで、育成計画の実行と管理を効率化できます。


例えば、スキルマップで明らかになった課題(例:「交渉力が不足」)に対し、LMSに搭載されている交渉力向上のeラーニングコースを割り当て、受講状況を自動で追跡することが可能です。

社員は、自身の課題克服に必要な学習コンテンツに容易にアクセスでき、育成担当者は誰がどのプログラムを修了したかをリアルタイムで把握できます。


さらに、学習進捗や成果を可視化することで、管理者は育成計画の効果を評価し、必要に応じて研修内容や学習プランを柔軟に調整できます。

社員自身も、自身の成長を振り返りながら主体的に学習に取り組むことができ、スキルマップを活用した育成のPDCAがスムーズに回るようになります。




■LMSは「SmartSkill Campus」がおすすめ


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営業スキルマップを作成しても、育成計画や学習活動と連動させなければ、効果的に活用することはできません。

そこでおすすめなのが、多機能型LMS「SmartSkill Campus」です。


SmartSkill Campusの特徴は、「SmartSkill HCE」との連携により、スキルギャップが明らかになった段階で必要な学びをすぐに提供できる点です。

スキルマップの課題をそのまま学習アクションに結びつけることで、社員の成長を効率的に支援します。


・スキルマップとの連携が容易

個々の課題に応じて最適なeラーニングコンテンツを自動で割り当てられ、育成計画の実行がスムーズになります。


・学習進捗・成果の可視化

受講履歴やテスト結果をリアルタイムで確認可能。社員も自身の成長状況を振り返りながら主体的に学習できます。


・多様な学習形式に対応

動画・テキスト・クイズ・ロールプレイなど、営業スキルの習得に最適なコンテンツ形式を提供します。


・管理業務の効率化

自動集計・分析機能により、進捗管理やフォローアップにかかる手間を大幅に削減できます。


・戦略的人材育成を支援

スキルデータや学習履歴を統合分析することで、組織全体の育成状況を把握し、戦略的な育成計画に活用可能です。


「SmartSkill Campus」を活用すれば、スキルマップで明らかになった課題を日々の学習活動に直接反映でき、育成担当者は効率的にフォローアップを行いながら、社員の成長を組織全体で支援することが可能になります。






AIとのロープレで営業スキルを実践的に強化


近年、AIを活用した営業ロールプレイングツールが登場しています。

これは、AIが顧客役を担当し、営業担当者が商談の練習を行えるサービスです。


AIを活用したロープレでは、実際の商談を想定したシミュレーションを繰り返すことで、実践的な営業スキルを効率的に強化できます。

例えば、交渉力やヒアリング力、課題抽出力など、スキルマップで明確化した各項目に対応した演習が可能です。


AIは即座にフィードバックや改善ポイントを提示するため、受講者は短期間で自身の課題を把握し、具体的な改善策を実践できます。

実務に近い形でのトレーニングが可能なことから、現場での成果向上にも直結します。


■シナリオ型AIロープレなら「AIトレーニング」


AIトレーニングはシナリオ型AIロープレで、営業トークの正確性向上や信頼関係構築力の強化に貢献します。

企業独自のトークスクリプトを使い、音声認識や画像解析で表情や話す速度まで評価されるため、AIによる客観的フィードバックを受けながら何度でも練習可能です。

録画機能で上司や研修担当者からの指導も得られます。


【得られる成果】

・営業トークの正確性向上

・信頼関係構築力の向上

・スキル定着と自己課題の把握

・教育効率化と品質均一化






■自由対話型AIロープレなら「SmartSkill Talk」


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SmartSkill Talkは自由対話型AIロープレで、予期せぬ質問への対応力や柔軟なコミュニケーション力を実践的に養えます。

ロープレ後にはヒアリング力や提案力、SPIN話法などをAIが多角的に評価し、強みと改善点を明確化。

心理的安全性の高い環境で繰り返し練習できるため、緊張や抵抗感を抑えてスキル向上が可能です。


【得られる成果】

・商談対応力の向上

・営業スキルの客観的可視化

・自律型営業力の育成

・教育の標準化と効率化

・繰り返し学習によるスキル定着






まとめ


営業スキルマップは、個人の育成だけでなく、組織全体の営業力強化にも直結する有効な仕組みです。

スキルを見える化することで、教育・評価・キャリア支援を一貫して行えるようになります。

また、LMS(学習管理システム)やタレントマネジメントツールを活用すれば、スキルデータの蓄積・更新・分析も自動化可能です。

感覚的な育成から一歩進んで、“データに基づく人材育成”を始めてみませんか?



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