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階層別教育とは(その1)

このコラムをお読みいただいている方で、「階層別研修」について全く知らないという方はいらっしゃらないかと思います。また「階層別研修」は、ある程度の規模の会社であれば既に実施しているというところも多いのではないでしょうか。


今回はこの「階層別研修」を含めた、「階層別教育」について、2回に分けて簡単にご説明してみたいと思います。



目次



階層別教育とは

言葉の意味としては、「新入社員、中堅社員、管理職、経営幹部など階層別に合わせて、役割遂行に必要な能力を育て上げることを目的として、必要な知識やスキルを修得させるために行う教育」という感じでしょうか。


人材マネジメントを考える上で、「階層別教育」の概念は避けて通れないテーマかと思います。最近話題になる「階層がないフラットな組織」でも、非公式な階層はできています。会社が1つの組織として運営するためには、最低限の役割を決める必要があるからです。役職と階層はどう結び付けるかについては、企業規模により違いがあります。


企業の階層を大きくザックリ分けると、経営階層と実務階層の2つに分かれます。アメリカと日本ではこの階層分けの区切りがちょっと違います。日本は部長がトップである事業部あたりまでを実務階層としているところが多いようです。日本では、実務階層での成功者が経営階層に昇格するのが定番の「出世」のスタイルです。対して、アメリカのある程度の規模の企業では、経営階層に昇格するには、MBAを取得する必要があるケースがほとんどのようです。


ここで注目すべきなのは、アメリカでは「経営層になりたければ、実務階層とは異なる経営層のスキルを身に付けて着任することは必須である」という考えです。それだけ「階層」に「スキルセットの違い」を意識している社会なのです。



階層別教育の意義

階層別教育も時代や企業規模の拡大、グローバル化などにより、徐々に変化しています。


もともと階層別教育のスタート・中心は「新人向け研修」でした。学生から社会人になるにあたり、挨拶も満足にできない多種多様な人材を、早急に会社環境に適応させる教育が必須だったのです。 しかし、今では新人向け同様に、中堅にもポジションに合わせた教育が必要になり、さらにリーダーとなる人材を育成する必要が生じ、さらに実務層をまとめるマネジメントと経営層専門のマネジメント…という具合に、階層教育は細かく分かれてきたのです。



入社時期や立場によって責任や果たすべき役割が違うため、当然ながら教育内容は各階層によってかなり異なります。


新入社員教育であれば、ビジネスマナー、ビジネスマインド(組織人としての心構えなど)、MS OfficeなどのICT教育など、まずは仕事をする上で必要となるベーシックな知識・スキルを修得するのが目的でした。 これがマネージャーなどの管理者教育であれば、マネジメント能力、人事評価や部下育成などの管理者として必要な知識やスキルになります。


いずれの階層でも、「階層ごとに期待される役割を自覚する」ことが大切です。いくら知識やスキルを持っていても、勝手な解釈で仕事をされては困ります。会社の階層ごとに求める役割を理解した上で、成長を育成し組織の成果を上げるのが「階層別教育」の目的なのです。


また「階層別研修」はあくまで「階層別教育」の一部になります。各階層ごとのすべてのスキルを、研修だけで身に付けることはできません。日々OJTなどをベースに、仕事をしながら身に付けていくスキルも重要で、研修はそのまとめや欠けているものを覚える場でもあるのです。


そして、研修ではその階層で必要な基本的なスキルを学ぶだけではなく、同階層の他のメンバーと意見を交換する機会として大切であり、そこで共通価値観をすり合わせる場なのです。


 

階層別研修を実施する目的

  • 階層別の能力や技術を身に付けるための場の提供

  • その時々にアップデートされたスキルや情報の獲得の機会として

  • 階層のメンバーの底上げ

  • 研修を通して視野を広げ、仕事に対する「目的意識」を再認識する

  • 組織の理念やミッションについて、共通価値観を確認する

  • 同階層のメンバーとのやり取りを通してモチベーションをアップさせる

 

階層教育の内容はどの企業も一緒というわけではなく、企業によって特徴があります。新人教育など初期の階層に対するプログラムは、企業による相違が少なく、階層が上になるにつれて、各社の特色や経営の意向が強く反映されるようになります。



以降では、各階層別に学ぶべきことを簡単にまとめてみましたが、上記の通り、階層が上がるにつれて必要な教育も企業ごとの特色が出てきますので、その点は必ずしもこの通りでないことも多々ありますのでご注意ください。



新人教育



目的

新人研修は新卒だけでなく、新規入社した中途採用者も対象になります。その企業の業務に関する基礎的な知識を学ぶだけでなく、自分の役割を認識させる意味もあるからです。 対象が学卒の新卒社員であれば、まず社会人としてマインドの切り替えさせるといった目的があります。そして、基本的な業務を遂行するための、ベースになる知識やスキルを集中的に詰め込んでいきます。


また企業側が新卒者のキャラクターを把握し、今後の人材育成のベースとなる情報を仕入れる機会でもあります。


そういった目的から、新人研修は人材を育てるための最初の一歩といった意味合いがあると言えます。



教育内容

一番大切なのは、その企業のマインドを教えられる最初の機会であるということです。最初の数時間は、歴史や理念を学ぶ講義や、経営層からのメッセージを受け取る機会としてセッティングされることが多々あります。


また日本では、社会人として必要なビジネスマナーやビジネスマインドについても、かなりの時間を割かれてきました。この分野は覚えることも多く、どうしても時間がかかるので、最近はこの部分を、「内定者向けeラーニング」などを使って、内定期間中に内定者教育として行う企業も多くなりました。


会社で使っているICTツールやMSオフィスを使った各種文書作成のハンズオンも新人研修で行われます。この部分も、現在は内定期間中行う企業が多いです。何よりも学生を送り出す学校側で、入社前にかなり鍛えているケースもありますので、最近はこの部分に割く時間が減り、その分をコンプライアンスやセキュリティルールなどに充てる企業も増えています。


対して中途採用者は、社会人を経験しているので、基礎的な能力が身についているのが前提であるため、実践的なスキルを身につけさせるためのカリキュラムを組まれるかと思います。したがって、新卒社員と中途採用者の研修は分けて行われます。


新人研修が新社会人にとって非常に大切なのは、社内でのコミュニケーションのスタート地点であるという点です。新人からすれば、新しい環境に慣れるまでにはかなりストレスを感じてしまうケースもあります。緊張のあまり、本来のパフォーマンスを発揮できないということもあるでしょう。新人の定着や今後の成長のためにも、社内でのコミュニケーションを深めていくことが大切です。同期の横のつながりだけではなく、上司とのコミュニケーションも重要です。新人研修の間に、そうした多方向のコミュニケーションの機会を会社側が用意することは、とても意味のあることなのです。



最後に

中途半端になってしまいましたが、その1はここまでです。次回その2では、「若手・中堅教育」「リーダー教育」「マネジメント」などについてご説明いたします。


最後まで読んでいただきありがとうございます。



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