心理的安全性の高め方|ぬるま湯にしない4つの方法と実践メリット
- 5月13日
- 読了時間: 12分

心理的安全性を高めることは、チームの生産性向上や人材定着に不可欠です。
この記事では、Google社の調査でも成功の鍵とされる心理的安全性について、その定義から具体的な高め方までを解説します。
チームの現状を把握するための質問リストや、明日から実践できる4つの具体的な方法を紹介するとともに、「ぬるま湯組織」にしないための注意点も説明します。
アンガーマネジメントの研修プログラムでは、「感情のマネジメント」を軸に、良好な人間関係と組織の活性化を促します。
これにより、心理的安全性の向上と健康経営の実現をトータルにサポートいたします。
サービスの詳細については、公式ページをご覧ください。
目次
そもそも心理的安全性とは?Googleが提唱する成功チームの鍵
心理的安全性とは、チーム内において、対人関係のリスクを恐れることなく、誰もが安心して自分の考えや気持ちを気兼ねなく発言できる状態を指します。
この概念は、Google社が生産性の高いチームの共通点を探る「プロジェクト・アリストテレス」という調査によって、成功するチームに最も重要な要素として見出されたことで注目を集めました。
同調査では、チームの成功に影響を与える5つの因子が特定されましたが、心理的安全性は他のすべての因子の土台となる最も重要なものと結論付けられています。
心理的安全性が高いチームにもたらされる3つのメリット
心理的安全性が確保されたチームでは、メンバーと組織の双方に多くの有益な効果がもたらされます。
具体的には、個人の能力発揮、イノベーションの創出、そして人材の定着という3つの大きなメリットが期待できます。
これらのメリットは互いに関連し合い、組織全体の持続的な成長を支える基盤となります。
メリット1:個人のパフォーマンスが最大化される
心理的安全性が高いチームでは、メンバーは「無知だと思われたくない」「無能だと思われたくない」といった対人関係の不安から解放されます。
これにより、失敗を恐れずに新しいアイデアの提案や難易度の高い仕事に挑戦しやすくなります。
結果として、各メンバーが持つ能力やスキルを最大限に発揮できるようになり、個人のパフォーマンスが向上します。
また、疑問点を率直に質問できるため、スキルの習得や成長も促進されるでしょう。
メリット2:活発な情報共有でイノベーションが生まれやすくなる
心理的安全性の高いチームでは、役職や経験に関わらず、誰もが気兼ねなく意見や情報を共有する文化が根付きます。
多様な視点からのアイデアや、潜在的な問題点に関する指摘が活発に行われることで、新しい発想や画期的な解決策、すなわちイノベーションが生まれやすくなります。
また、ミスやトラブルといったネガティブな情報も迅速に共有されるため、問題の早期発見と対処が可能になり、組織としてのリスク管理能力も向上します。
メリット3:エンゲージメントが高まり人材の定着につながる
メンバーが自分の意見や存在が尊重されていると感じられる環境は、仕事に対する満足度や組織への貢献意欲、いわゆる従業員エンゲージメントを高めます。
自分がチームの一員として受け入れられているという安心感は、働く上での精神的な充足感につながり、組織への愛着を育みます。
エンゲージメントの向上は、生産性の向上に寄与するだけでなく、離職率の低下にも直結し、組織にとって貴重な人材の定着を実現します。
まずは現状把握から!チームの心理的安全性を測る7つの質問
心理的安全性の向上に取り組む前に、まずはチームの現状を客観的に把握することが重要です。
この概念の提唱者であるハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授は、チームの状態を測定するための7つの質問を提唱しました。
以下の7つの質問に「はい」「いいえ」で答えることで、チームの心理的安全性のレベルを簡易的に診断できます。
「いいえ」の数が多いほど、改善の余地があると考えられます。
チームの中でミスをすると、たいてい非難される。
チームのメンバーは、課題や難しい問題を指摘し合える。
チームのメンバーは、自分と異なるということを理由に、他者を拒絶することがある。
チームに対してリスクのある行動をしても安全である。
チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい。
チームのメンバーは誰も、自分の仕事を意図的におとしめるような行動をしない。
チームのメンバーと仕事をする際、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる。
【明日からできる】心理的安全性を高める4つの具体的な方法
心理的安全性を高めるためには、リーダーやメンバーが日々の行動を意識的に変えていく必要があります。
Google社は、心理的安全性を構成する要素として「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎」という4つの因子を挙げています。
これらの因子を育むために、明日からでもすぐに実践できる具体的な4つの方法を紹介します。
方法1:リーダーから自己開示して「弱みを見せられる」雰囲気を作る
心理的安全性を高めるために、まずリーダー自身が模範を示すことが効果的です。
リーダーが自らの失敗談や苦手なこと、プライベートな側面などをオープンに話す「自己開示」を行いましょう。
完璧ではない人間的な側面を見せることで、メンバーは「リーダーも弱みを見せてくれるなら、自分も完璧でなくても大丈夫だ」と感じ、安心して自分の意見や弱みを話しやすくなります。
これにより、チーム全体の「話しやすさ」の土壌が育まれます。
方法2:どんな意見も一度受け止め「発言しやすい」環境を整える
メンバーからの発言に対して、その内容をすぐに評価したり否定したりせず、まずは「なるほど、そういう考え方もあるね」「意見を出してくれてありがとう」といった形で一度受け止める姿勢が重要です。
この傾聴と承認の態度は、発言者に安心感を与え、さらなる意見を引き出すきっかけになります。
反対意見を述べる際の伝え方にも配慮し、相手を尊重する言葉を選んだり、時にはユーモアを交えたりすることで、建設的な議論ができる環境が整います。
方法3:失敗を責めずに「挑戦を歓迎する」文化を醸成する
メンバーが新しいことに挑戦した結果、失敗してしまった場合、その個人を責めるのではなく、挑戦したこと自体を称賛する文化を作りましょう。
失敗はネガティブなものではなく、学びの機会であるとチーム全体で捉えることが重要です。
失敗の原因を個人に帰するのではなく、「どうすれば次に活かせるか」という視点でチームとして振り返りを行うことで、メンバーは失敗を恐れずに新たな挑戦を続けられるようになります。
方法4:定期的な1on1ミーティングで「相談しやすい」関係を築く
上司と部下が1対1で対話する1on1ミーティングを定期的に実施することも有効です。
この場を単なる業務進捗の確認ではなく、メンバーのキャリアプランや悩み、コンディションなどについて対話する機会と位置付けます。
定期的な対話を通じて信頼関係が深まることで、メンバーは困難な状況に陥った際に一人で抱え込まず、気軽に上司や同僚に助けを求められるようになります。
これは「助け合い」の文化を育む上で非常に重要です。
注意!心理的安全性を「ぬるま湯組織」にしないためのポイント
心理的安全性を高めることは、単に仲が良いだけの「ぬるま湯組織」を作ることとは異なります。
真の心理的安全性は、高い基準や目標達成への要求と両立してこそ、チームのパフォーマンスを最大化します。
心理的安全性を高めるために、成果への健全なプレッシャーを維持し、馴れ合いに陥らないためのポイントを理解しておく必要があります。
高い目標設定とセットで考える
心理的安全性を高めるには、それをチームが目指すべき挑戦的で高い目標とセットで考えることが不可欠です。
チームメンバー全員が共有できる明確で魅力的な目標が存在して初めて、心理的安全性が活発な議論や協力、そして目標達成に向けた原動力として機能します。
ただ居心地が良いだけでなく、共通の目標に向かって互いに切磋琢磨し、時には厳しいフィードバックも交わせる関係性こそが、高いパフォーマンスを生み出す組織の姿です。
成果に対する健全なプレッシャーは維持する
心理的安全性とは、仕事の基準を下げたり、成果に対する責任を免除したりすることではありません。
個々の業務や目標達成に対する責任と、健全なプレッシャーは維持する必要があります。
重要なのは、目標達成のプロセスにおいて失敗を許容し、困難な課題に対してチームで協力して乗り越える文化を築くことです。
多様な働き方が広がる中でも、成果へのコミットメントと心理的安全性の両立を追求する姿勢が求められます。
心理的安全性×アンガーマネジメントで最高のチームを育む
心理的安全性を壊す「怒り」の連鎖
心理的安全性が低い職場では、誰かのミスに対して攻撃的な言葉を浴びせる、あるいは沈黙で圧力をかけるといった光景が見られます。このような環境では、メンバーは自己防衛のために「沈黙」を選び、重要な情報の共有や新しい挑戦が阻害されてしまいます。
ここで重要になるのがアンガーマネジメントです。これは怒りを無理に抑え込むことではなく、怒りと上手に付き合い、建設的なコミュニケーションに変換する技術です。
怒りをコントロールし、対話を促す
怒りは「第二次感情」と呼ばれ、その裏には「不安」「悲しみ」「期待外れ」といった本音が隠れています。アンガーマネジメントを実践することで、衝動的な攻撃を避け、自分の背後にある「本当の願い」を冷静に相手に伝えられるようになります。
怒りの感情が沸き起こり、そのピークが持続するのは「長くて6秒」と言われています。
心の中でゆっくり数を数え、その6秒をやり過ごすことで、冷静で建設的な対応ができるようになります。
相乗効果で組織を強くする
リーダーやメンバーが自らの感情を律し、相手を尊重する姿勢を示すことで、初めてチームに「何を言っても大丈夫だ」という安心感が生まれます。
「怒り」を正しく扱い、互いの尊厳を守る。この積み重ねが心理的安全性を高め、結果として組織の創造性とパフォーマンスを最大化させるのです。個人の心のトレーニングが、強い組織を作る第一歩となります。
アンガーマネジメントを学び、感情をコントロールするスキルを身につける
感情をコントロールするスキルを習得することは、怒りの感情によるハラスメントを未然に防ぎ、誰もが安心して発言できる「心理的安全性の高い組織」を構築するための、重要な経営戦略です。弊社では、組織の現状把握からスキルの定着まで、幅広いアプローチをご提案しています。
■①組織の力を底上げする「アンガーマネジメント研修・eラーニング」
「アンガーマネジメント基礎研修」は、幅広い職層を対象に、アンガーマネジメントに関する正しい知識を習得してもらい、行動変容を促すプログラムです。90分の短時間集中型で、多忙な方でも参加しやすく、現場ですぐに活かせる怒りのコントロール術やコミュニケーション力を養います。学びを実践することで、一緒に働く仲間とのより良い関係性構築につながります。
その他、「叱り方」「パワーハラスメント防止」「カスタマーハラスメント防止」など、組織や職層ごとの課題に特化したプログラムもご用意しております。
■②現状を可視化する「アンガーマネジメント診断」
アンガーマネジメント診断は、91問の設問回答を通じて、「自分がどのような怒りの傾向を持っているのか」を客観的な数値と親しみやすいキャラクターで可視化します。
自身の怒りの原因や「傾向・クセ」を正しく自覚することは、感情に振り回されないための本質的な体質改善へと繋がります。
研修プログラムと併用すれば、受講者が課題を「自分事」として捉えやすくなり、具体的な行動変容に向けた確かな第一歩を踏み出せます。
■③教育の自走と定着を担う「社内講師の育成(資格取得)」
外部講師に頼らず、自社の状況に合わせた柔軟な教育を継続するために、人事担当者や現場のキーマンが「認定資格」を取得する手法です。資格取得後は、日本アンガーマネジメント協会公認のテキストやカリキュラムを使用して、自社内で公式な研修を実施できるようになります。社内に正しい知識を持ったアンガーマネジメントのスペシャリストがいることで、アンガーマネジメントを一時的な流行で終わらせず、企業文化として深く根付かせることが可能になります。
まとめ
心理的安全性は、Googleの研究でも証明された通り、チームの生産性を高め、イノベーションを創出し、人材の定着を促すための重要な土台です。
この記事で紹介した現状把握の7つの質問や、明日から実践できる4つの方法を参考に、チームの心理的安全性向上に取り組むことができます。
ただし、単なる「ぬるま湯組織」にしないためには、高い目標設定と成果への健全なプレッシャーを両立させることが不可欠です。
心理的安全性の高め方に関するよくある質問
ここでは、心理的安全性の高め方について、マネージャーやリーダーから寄せられることが多い質問に回答します。
心理的安全性を高めるためには、日々の継続的な働きかけが重要であり、実践の中では様々な疑問が生じるものです。
具体的な疑問への回答を通じて、より深い理解と実践を支援します。
Q1. 心理的安全性を高める上で、リーダーが最も注意すべきことは何ですか?
リーダーが最も注意すべきは「傾聴の姿勢」と「言行一致」です。
メンバーの意見に真摯に耳を傾け、決して頭ごなしに否定しないこと。
そして、心理的安全性の重要性を語るだけでなく、自ら弱みを見せたり、挑戦を称賛したりする行動を一貫して示すことが信頼につながります。
リーダー自身の行動が何よりのメッセージとなります。
Q2. リモートワーク環境で心理的安全性を高めるにはどうすれば良いですか?
意図的にコミュニケーションの機会を創出することが重要です。
雑談専用のチャットチャンネルを作成したり、オンライン会議の冒頭でアイスブレイクの時間を設けたりするなど、業務以外の会話が生まれる仕掛けを作りましょう。
また、テキストコミュニケーションでは感情が伝わりにくいため、意識的にポジティブな言葉や感謝の言葉を使うことも、リモートワーク環境での心理的安全性確保に有効です。
Q3. メンバーから反対意見や懸念事項が全く出てこないのは問題ですか?
はい、問題である可能性が高いと考えられます。
反対意見や懸念が全く出ない状態は、メンバーが「言っても無駄だ」「否定されるのが怖い」と感じ、発言を諦めているサインかもしれません。
これは心理的安全性が低い典型的な兆候です。
リーダーから積極的に異なる視点を求めたり、意見の伝え方を工夫したりして、本音を話しやすい雰囲気を作ることが求められます。
