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eラーニングテストの効果的な作り方|問題作成のポイントや注意点を解説

  • 執筆者の写真: nanaekunai
    nanaekunai
  • 11月7日
  • 読了時間: 26分
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eラーニングは、社員教育の効率化や学習の個別最適化を実現する手段として、多くの企業で導入が進んでいます。

中でも「テスト(確認・評価)」は、学習成果を可視化し、教育効果を高めるうえで欠かせない機能です。


しかし、テストを「実施するだけ」では十分な効果は得られません。

学習目的に合った設計や、受講者が理解を深められる仕組みを整えることが重要です。


本記事では、eラーニングテストの役割や種類、具体的な作成のステップ、そして質の高いテスト問題を作成するためのポイントや注意点までを網羅的に解説します。

人事・教育担当者の方が、学習者の成長や教育施策の改善につながるテストを設計できるようになるためのガイドとして、ご参考ください。


eラーニングテストを含め、LMSによるオンライン教育で成果をあげている企業事例は「事例紹介(オリックス株式会社、明治安田生命保険相互会社、ワタミ株式会社他)」で詳しくご紹介しています。


多機能型LMS「SmartSkill Campus」は、人材戦略の高度化や人的資本経営の実現を支援しています。

サービスの詳細や機能については、公式ページをご覧ください。



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目次




eラーニングでテストが重要視される理由とは?    


eラーニングの目的は、単に知識を伝えることではなく、社員一人ひとりの理解度を高め、実務に生かせる力を育成することにあります。

その成果を確認し、次の学習設計や育成方針に生かすために欠かせないのが「テスト機能」です。

学習の“振り返り”と“評価”を通じて、学びを定着させる重要な役割を担っています。

適切に設計されたテストは、学習プロセス全体の一部として機能し、教育の質そのものを向上させる力を持っています。



テスト機能の目的と役割


eラーニングにおけるテスト機能は、学習効果の測定とフィードバックを通じて、教育の質を高めるための中心的な仕組みです。

受講者にとっては、自分の理解度や弱点を具体的に認識し、復習すべき箇所を明確にする貴重な機会になります。

一方、管理者にとっては、全体の習熟度や個々の課題を可視化し、研修や教材の改善に活用できるデータの源になります。


また、テスト結果を蓄積・分析することで、特定のスキル領域や職種ごとの傾向を把握することも可能です。

これにより、企業全体の人材育成を戦略的に進めることができます。

つまり、eラーニングにおけるテストは「学習成果を可視化し、教育効果を高めるための評価指標」として、教育施策の成功を左右する重要な役割を担っています。



“学習設計の一部”としての位置づけ


テストは、「学習設計の一部」として最初から組み込むことが重要です。

どの知識を定着させたいのか、どのスキルを測定したいのかを明確にした上でテスト内容を設計することで、学習目的と評価が一致します。


このように設計されたテストは、受講者にとって“学びを深めるためのフィードバック”となり、単なる知識確認ではなく「学習体験の一部」として機能します。

また、管理者にとっても、テスト結果を次の教育施策や個別支援に反映できるため、教育のPDCAを効果的に回すことができます。


言い換えれば、テストは「学習の終わり」ではなく、「学びを次につなげる出発点」。

学習設計の中で戦略的に位置づけることで、eラーニング全体の効果を最大化できます。



学習目的に応じたeラーニングテスト4つの種類


eラーニングで実施するテストは、その目的やタイミングによっていくつかの種類に分けられます。

それぞれのテストの特性を理解し、学習目標に合わせて適切に使い分けることが重要です。

ここでは、代表的な4種類のテストについて解説します。



受講者の現在の知識レベルを測る「事前テスト」


事前テストは、本格的な学習を始める前に実施され、受講者が現時点でどの程度の知識やスキルを持っているかを把握するために用いられます。

管理者は、この結果をもとに全体のレベル分布を把握して、教材やサポート内容を調整することができます。

受講者自身にとっても、学習前に自分の理解が不十分な部分を認識することで、効果的に学習に取り組む助けとなります。


さらに、研修終了後の事後テストと比較することで、学習によってどれだけ知識やスキルが向上したかを具体的に測定できます。

そのため、事前テストは効果測定を重視する研修設計において、非常に重要な役割を果たします。



学習内容の定着度を確認する「事後テスト」


事後テストは、学習が完了した後に実施し、学習内容がどの程度理解され、知識として定着したかを測定するためのテストです。

研修の成果を最終的に評価する目的で用いられ、事前に実施したテストと比較することで、学習による知識やスキルの伸びを客観的な数値で示すことができます。


多くのeラーニングでは、この事後テストに合格点を設け、基準に達するまで繰り返し受験できるように設定されています。

これにより、受講者は合格を目指して復習を重ねるため、学習内容の確実な定着が促進されます。

質の高い問題を作成することが、研修全体の効果を左右します。



各単元の理解度を把握する「理解度確認テスト」


理解度確認テストは、章やセクションといった単元ごとに実施される小テストです。

学習の合間にこまめに知識の確認を行うことで、受講者は自分の理解度を段階的に把握できます。


もし不正解の箇所があれば、すぐに該当部分を復習することで、理解が不十分なまま先に進んでしまうのを防ぎます。

管理者側にとっても、受講者がどの単元でつまずきやすいかを把握し、教材の改善に役立てることが可能です。

テストの解答後すぐにフィードバックを返すことで、記憶が新しいうちに知識を定着させ、学習効果を高める狙いがあります。

次の単元へ進むための条件として設定されることもあります。



コース全体の学習目標達成を判定する「修了テスト」


修了テストは、eラーニングコースの全カリキュラムを終えた最後に実施される、総まとめのテストです。

コース全体を通して達成すべき学習目標を、受講者が満たしているかどうかを最終的に判定する役割を持ちます。

このテストに合格することが、コースの修了認定や資格付与の条件となる場合が多く、いわば卒業試験のような位置づけです。


そのため、出題範囲はコース全体に及び、学習した知識を総合的に理解しているかが問われます。

受講者にとっては、学習の集大成として自身の成長を実感する機会となり、一つの答えを導き出すプロセスを通じて深い学びへとつながります。



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eラーニングでテストを実施するメリット       


eラーニングにおけるテストの実施には、多くのメリットがあります。

ここでは、管理者と受講者のそれぞれの視点から、具体的な利点を解説します。



管理者


管理者にとって、eラーニングテストは研修運営の効率化と効果測定の精度向上に大きく貢献します。

具体的なメリットは以下の通りです。


  • 学習成果を数値化・可視化できる

  • 採点・集計業務の負担を軽減できる

  • ペーパーテストにかかるコストを削減できる

  • 教育のPDCAを回しやすい

  • 人材育成・配置の判断材料になる



■学習成果を数値化・可視化できる


eラーニングテストの最大のメリットの一つは、学習成果を客観的なデータとして収集・分析できる点です。

受講者一人ひとりの点数や正誤状況はもちろん、部署別や役職別の平均点、設問ごとの正答率などを集計することができます。


誰がどの程度理解しているか、研修内容のどの部分が伝わりにくいかなどを具体的な数値で把握することで、学習が進んでいない社員へのフォローや、教材の改善点を特定することが可能です。

感覚的な評価ではなく、データに基づいた効果測定ができるため、研修成果の報告や次期計画の立案において説得力のある根拠として活用できます。



■採点・集計業務の負担を軽減できる


eラーニングシステムを利用すれば、テストの採点から結果の集計までを全て自動で行うことができます。

システムを利用しない場合、担当者がメール等で答案を1枚ずつ回収・採点し、手作業で結果をExcelなどに入力して集計、結果をメールや郵送で1人ずつにフィードバックするという、膨大な手間と時間がかかります。

このプロセスが自動化されることで、研修担当者の業務負担は大幅に軽減されます。


特に受講者数が多い企業では、この効率化が教育運営の大きなメリットとなります。

eラーニングシステムによる自動化を行うことで、教育担当者はコンテンツの改善や新たな研修企画の立案といった、より付加価値の高い業務に時間とリソースを集中させることが可能になります。



■ペーパーテストにかかるコストを削減できる


紙媒体でテストを実施する場合、問題用紙や解答用紙の印刷費、それらを配布・回収・保管するための管理コストなど、様々な費用が発生します。

特に受講者が多い場合や、研修を頻繁に実施する場合には、これらのコストは無視できません。


eラーニングテストに移行することで、こうした紙に関連する費用が一切不要になります。

さらに、教材の更新や問題の修正も容易になるため、常に最新の内容で学習を提供することが可能です。

また、ペーパーレス化により、環境負荷の軽減や管理ミスの防止にもつながります。

全国の支社や拠点で一斉に研修を行う場合でも、会場費や交通費をかけずにテストを実施できるため、研修全体のコスト削減にも大きく貢献します。



■教育のPDCAを回しやすい


eラーニングテストから得られるデータは、教育施策の改善サイクル(PDCA)を効果的に回すための重要な情報源となります。

例えば、特定の設問の正答率が著しく低い場合、その問題に関連する教材の内容が分かりにくい、あるいは説明が不足しているといった仮説を立てることができます。


この分析結果(Check)を基に、教材の修正や補足資料の追加といった改善策(Action)を実施し、再度テストを行うことでその効果を検証します。

このように、データに基づいた継続的な改善活動が可能となり、研修の質を常に高めていくことができます。



■人材育成・配置の判断材料になる


テスト結果は、従業員一人ひとりが持つ知識やスキルを客観的に評価するための重要なデータとなります。

このデータを人事評価やスキルマップと連携させることで、個々の強みや弱みを正確に把握し、それに基づいた育成計画を立案することが可能です。


例えば、特定の分野で高い成績を収めた従業員を専門的なポジションに抜擢したり、逆に成績が振るわない従業員に対しては追加のフォローアップ研修を実施したりするなど、戦略的な人材育成や適材適所の人員配置を実現するための判断材料として活用できます。



受講者


受講者にとって、eラーニングテストは単なる評価の場ではなく、学習効果を高め、意欲を維持するための有効な手段となります。

具体的なメリットは以下の通りです。


  • 学習内容の定着度が高まる

  • 自分の弱点や理解不足を客観的に把握できる

  • 達成感とモチベーション維持につながる

  • 公平な評価が受けられる



■学習内容の定着度が高まる


学習した内容をテストという形でアウトプットする行為は、記憶の定着を強力に促進します。

これは「テスト効果」と呼ばれ、単に教材を繰り返し読んだり聞いたりするよりも、思い出す努力を伴うテストを受ける方が、長期的な記憶に残りやすいことが科学的に証明されています。


eラーニングでは、単元ごとの理解度確認テストなどを通じて、学習の早い段階からアウトプットの機会を設けることができます。

テストを効果的に実施することで、受講者は学んだ知識をより確実なものとして身につけることが可能です。



■自分の弱点や理解不足を客観的に把握できる


学習を進めていると「なんとなく分かったつもり」になってしまうことがありますが、テストを受けることで、自分が本当に内容を理解しているのか、それとも曖昧なままなのかを客観的に確認できます。


テスト結果をもとに苦手分野や理解不足の部分を重点的に復習すれば、効率的に学習を進めることが可能です。

自己理解が深まることで、学習の優先順位も自分で判断できるようになります。

テストは受講者が自分の学習状況を正確に把握し、次の学びのアクションを考えるための重要な道しるべとなります。



■達成感とモチベーション維持につながる


学習を継続的に推進する上で、受講者のモチベーション維持は重要な課題です。

テストは、この課題に対する有効な仕組みとして機能します。


例えば、単元ごとのテスト合格や事後テストでの目標達成により、受講者は自身の成長を実感することができます。

こうした成功体験の積み重ねは、受講者に達成感をもたらすと同時に、次の学習への意欲を喚起します。

また、明確な評価基準や合格ラインを設定することで、学習プロセスにメリハリが生まれ、最後まで計画的に学習を継続する動機付けにもつながります。



■公平な評価が受けられる


eラーニングテストは、システムによってあらかじめ設定された基準に基づいて機械的に採点されます。

そのため、評価者の主観や個人的な感情が入り込む余地がなく、全ての受講者が同じ基準で評価されます。

誰が採点しても同じ結果になるという客観性と公平性は、受講者にとって大きな安心材料となります。


評価に対する納得感が高まることで、受講者は不満や疑念を抱くことなく、純粋に学習内容の習得に集中することができます。



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効果的なeラーニングテストを作成する5つのステップ  


eラーニングテストは、単に知識を確認するだけでなく、学習効果を最大化するための重要な手段です。

効果的なテストを作成するには、目的の明確化から評価基準の設定、そしてフィードバックに至るまで、計画的かつ体系的なアプローチが求められます。

ここでは、効果的なテストを作成するための具体的な5つのステップについて、順を追って解説します。



【STEP 1】目的を明確にする


テスト作成の第一歩は、「なぜこのテストを実施するのか」という目的を明確に定義することです。


例えば、新入社員が業務に必要な基本用語を理解しているか確認する場合や、コンプライアンス研修の内容を理解しリスクを判断できるか測る場合、あるいは学習内容の定着を促し受講者のモチベーション向上を図る場合など、目的は研修の種類や対象者によって多岐にわたります。


この目的が、テストの種類(事前・事後・理解度確認など)、出題範囲、難易度、合格基準など、テスト全体の設計方針を決定する基盤となります。

目的が曖昧なままでは、必要な情報が得られず、学習効果の把握や教育施策の改善に活かせない、効果の低いテストとなってしまいます。


そのため、まずはテストの狙いや期待する成果を具体的に定めた上で設計を開始することが、最も重要なステップです。



【STEP 2】評価基準(ゴール)を設定する


テストの目的が明確になったら、次に「何ができれば合格とするか」という評価基準(ゴール)」を具体的に設定します。


単に点数で合格ラインを決めるだけでなく、例えば「〜について、その特徴を3つ説明できる」「提示された事例に対し、適切な対応手順を選択できる」といった、受講者が達成すべき具体的な行動目標として設定することが理想です。


評価基準が明確であるほど、出題すべき問題の内容や形式も具体化され、学習目標とテスト内容のズレを防ぐことができます。

また、事後テストで80点以上を合格とする場合のように、客観的な基準を設けることで、受講者がどの範囲の知識を習得しているかを明確に示すことができます。


受講者にとっても評価基準は学習の指標となり、重点的に学ぶべき分野を把握する材料となります。

管理者は結果を分析しやすくなり、教育施策全体のPDCAにも活かすことが可能です。



【STEP 3】テスト形式を選定する


テストの目的と評価基準を明確にしたら、次に最も適した出題形式を選定します。

テスト形式には、選択式、○×式、記述式、穴埋め式、並べ替え式などがあり、それぞれに特性やメリット・デメリットがあります。

形式ごとに測定できる能力や理解度が異なるため、受講者の習熟度やスキルレベルに応じて最適な形式を選ぶことが重要です。


例えば、基本的な知識の定着度を素早く確認したい場合は選択式や○×式が適しています。

一方、思考力や応用力を評価したい場合には記述式が有効です。

さらに、測定したい能力に応じて複数の形式を組み合わせることで、受講者の理解度をより多角的に評価することも可能です。


また、使用するeラーニングシステムで利用可能な形式を事前に確認しておくことも重要です。

システムの機能に制限がある場合、意図した学習効果が得られない可能性があるため、テスト設計の初期段階で確認しておくと安心です。



■選択式(単一選択・複数選択)


選択式は、受講者の基礎知識や理解度を効率的に確認するのに適した形式です。

単一選択では正解を1つだけ選ぶことで基本概念の定着度を測定でき、複数選択では複数の正解を選ぶことで幅広い知識や応用力を評価できます。

多人数向けのテストや短時間での学習確認に向いています。


<ポイント>

  • 管理者が採点しやすく、多人数向けに最適

  • 学習内容の定着度や理解の偏りを把握しやすい


<出題例>

  • 「企業理念に関する正しい文はどれか?」(単一選択)

  • 「コンプライアンスの注意点として正しいものをすべて選びなさい」(複数選択)



■ 〇✖(真偽)問題


〇✖問題は、基礎知識や事実確認を簡単かつ迅速に測定できる形式です。

正しいか誤りかを判断するだけなので、短時間で多くの問題を解答でき、事前テストや理解度確認テストに適しています。

問題作成も比較的簡単で、受講者も気軽に解答できます。


しかし、二択であるため偶然の正答率が50%と高く、この形式だけで正確な理解度を測ることは難しい側面があります。

他の問題形式と組み合わせたり、なぜその答えになるのか解説を加えたりする工夫が求められます。


<ポイント>

  • 学習の基礎定着度をチェックする際に有効

  • 偶然の正答率が50%と高い


<出題例>

  • 「個人情報は本人の同意なく第三者に提供してはいけない  ○/×」



■記述式(自由記述)


記述式は、思考力、応用力、論理的説明能力などを総合的に評価するのに適した形式です。

自由に文章で回答するため、理解の深さや判断力を測ることができます。

ケーススタディや業務判断を伴うテストに向いています。


システムによる完全な自動採点が難しく、管理者によるレビューが必要な場合があります。

評価のばらつきを防ぐため、事前に明確な採点基準を設けておくことが大切です。


<ポイント>

  • 思考力や応用力の測定に最適

  • 採点には担当者のレビューが必要な場合がある


<出題例>

  • 「この顧客対応の場面で適切な対応手順を100文字以内で説明しなさい」



■穴埋め(入力式)


穴埋め式は、専門用語や手順、公式など、正確な知識の定着度を確認する際に有効です。

文中の空欄に語句や数字を入力させることで、記憶や理解の精度を正確に測定できます。

選択式とは異なり、選択肢というヒントがないため、より確実な知識の定着度を測定できます。


システムによっては漢字やひらがな、全角・半角などの表記ゆれを誤答と判定してしまう可能性があるため、複数の正解パターンを登録するなどの設定が必要です。


<ポイント>

  • 専門用語や手順の理解度を正確に評価可能

  • 自由入力に近く、暗記や定着度確認に向く


<出題例>

  • 「売上=(  )×単価」



■並べ替え(順序選択)


並べ替え式は、業務の手順、作業工程、歴史的な出来事の時系列、物事の優先順位など、プロセスや流れの理解度を問うのに最適です。

ランダムに並べられた複数の項目を、正しい順序に並べ替える形式で、個々の要素を断片的に知っているだけでなく、それらの関係性や全体像を体系的に理解しているかを評価できます。

選択式や穴埋め式では測定しにくい、構造的な理解力を確認するのに有効な出題形式といえます。


<ポイント>

  • 手順やプロセスの理解度を測定

  • 実務に直結した業務知識の定着確認に向く


<出題例>

  • 「製品購入から納品までの手順を正しい順序に並べなさい」



【STEP 4】設問を設計・作成する


これまでのステップで定めた目的と評価基準に基づき、具体的な設問を設計・作成します。

学習内容全体から出題範囲を明確に定め、難易度(易・中・難)のバランスや問題数を考慮してテスト全体の構成を設計します。

重要なのは、受講者の理解度や応用力を適切に測れる内容にすることです。


問題文は誰が読んでも一義的に解釈できるよう、明確かつ簡潔な表現を心がけます。

特に選択式の問題では、正解の選択肢だけでなく、不正解の選択肢(ダミー選択肢)も受講者が迷うような妥当性のある内容にすることで、理解度や応用力をより正確に評価できます。


また、作成した設問は、他の担当者によるレビューを受け、客観的な視点でチェックすることが望ましいです。

誤解を招く表現や意図しない難易度の偏りを防ぎ、学習目標とテスト内容の整合性を高めることができます。



【STEP 5】フィードバックと分析を行う


eラーニングテストは、実施して終わりではありません。

受講者へのフィードバックと管理者による結果分析が、学習効果を最大化する上で非常に重要です。


受講者には、単に点数や正誤を伝えるだけでなく、各問題に対する詳しい解説を提示します。

なぜその答えが正しいのか、間違った選択肢はどこが異なるのかを示すことで、テスト自体が復習の機会となり、理解の深化や知識の定着につながります。

また、正答・誤答の傾向を確認することで、受講者は自分の苦手分野を明確に把握し、効率的に重点復習を行うことが可能になります。


一方、管理者は、全体の平均点や問題ごとの正答率などのデータを分析し、テスト問題の妥当性を検証するとともに、教材や設問の改善点を探ります。

このプロセスにより、テストを教育施策全体の質向上に活かすことができます。



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質の高いテストを作成するための6つのポイント


効果的なeラーニングテストを設計するには、単に知識を問うだけでなく、「何をどのように測定するか」という視点が欠かせません。

ここでは、学習効果を最大化し、受講者・管理者双方にとって価値のあるテストを作成するための6つのポイントを紹介します。



学習目的に合った問題を作る


テスト設計の基本は、学習目的との整合性です。

目的が「基礎知識の定着」であれば、用語理解や定義確認の問題を中心に、目的が「実践力の習得」であれば、ケーススタディや応用的な設問を取り入れるなど、目的に即した内容を作成することが重要です。


例えば、営業研修では「商品知識の暗記」だけでなく、「顧客の課題に応じた提案方法を選ぶ」設問を組み込むことで、より実務に近い評価が可能になります。

目的と問題が一致していないと、受講者は「何のためのテストか」が分からず、学習のモチベーションを損ねてしまう可能性があります。


まずは学習の狙いを明確にし、その成果をどのように測るかを具体的に設計しましょう。



知識だけでなく理解度や応用力を測る問題を入れる


知識を問うだけのテストでは、表面的な暗記に偏りやすくなります。

より深い学習を促すためには、理解度や応用力を評価できる問題を組み込むことが効果的です。


例えば、「正しい定義を選ぶ」問題に加えて、「実際の業務シーンでどの対応が適切か」を問うシナリオ形式の設問を設けると、理解を実践に結びつけられます。

また、事例問題を活用すれば、受講者の判断力や課題解決力も測定可能です。


多面的な問題構成にすることで、学習内容を“使える知識”として定着させることができます。

暗記中心から脱却し、考える力を伸ばすテスト設計を意識しましょう。



分かりやすい文章で出題する


どれほど内容が優れていても、問題文が分かりづらいと正確な理解度を測れません。

設問はできるだけ簡潔に、専門用語を使う場合は定義を明確にした上で使用します。

また、二重否定(例:「誤っていないものを選びなさい」)や曖昧な表現(例:「正しいと思われるもの」)は避け、誰が読んでも同じ意味で理解できる文章を心がけましょう。


特に組織全体で展開する研修では、年齢層や職種によって理解力が異なるため、全員が等しく理解できる文面設計が重要です。

文章表現の明確さは、受講者の心理的負担を軽減し、結果の信頼性を高めることにもつながります。



解答後に解説で理解を深める


テストは“終わった瞬間”こそが学びのチャンスです。

正解・不正解の結果を示すだけでなく、なぜその選択肢が正解なのか、他の選択肢はなぜ間違いなのかを丁寧に解説することで、受講者の理解をより深めることができます。


特にeラーニングでは、解答後すぐに解説を表示できるようにしておくと効果的です。

例えば、コンプライアンス研修の誤答に対して、該当する法令の条文や実際の判例を簡潔に紹介することで、知識と現場感を同時に補うことができます。


テストを“評価の場”から“学びの場”へと転換することで、受講者の知識定着と学習意欲の向上が期待できます。



難易度や問題形式のバランスを整える


テスト全体のバランス設計も欠かせません。

問題が簡単すぎると学習の達成感が得られにくく、逆に難しすぎると受講者の学習意欲を削いでしまう可能性があります。

学習内容の定着を確認する基本的な問題から、応用力を試す発展的な問題まで、難易度をバランス良く配置することが求められます。


また、出題形式も選択式ばかりに偏るのではなく、測定したい能力に応じて穴埋め問題や並べ替え問題などを組み合わせることで、受講者の理解度を多角的に、より正確に評価することが可能になります。

例えば、最初に○×でウォーミングアップし、後半に記述式を配置する構成にすると、受講者が自然と学習モードに入りやすくなります。



定期的に内容を見直す


一度作成したテストは永続的に使用するのではなく、定期的な見直しと更新が不可欠です。

ビジネス環境の変化、法改正、社内規定の変更、新しい技術の導入などに伴い、問うべき知識の内容も変化します。

古い情報のままでは、学習効果がないばかりか、誤った知識を植え付けてしまうリスクさえあります。


また、実施後のテスト結果を分析し、正答率が極端に高い、あるいは低い問題がないかを確認することも重要です。

問題文の分かりにくさや選択肢の不備が原因である可能性もあり、適宜修正していくことでテストの精度を維持・向上させられます。



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eラーニングテスト導入を失敗しないための注意点   


eラーニングテストのメリットを最大限に引き出すためには、導入前にいくつかの注意点を押さえておく必要があります。

特に、オンラインならではの課題である不正行為への対策や、利用するシステムの機能確認、そして円滑な運用のためのルール作りは、導入の成否を分ける重要なポイントとなります。



カンニング対策をしっかり行う


eラーニングテストは受講者が個別の環境で受験するため、テキストやインターネットを参照するなどの不正行為(カンニング)が発生しやすいという課題があります。

完全に防ぐことは困難ですが、リスクを低減させるための対策は必須です。

例えば、以下のような方法が有効です。


  • LMSの機能を利用して、問題の出題順や選択肢の表示順をランダムに設定する

  • 制限時間を設ける

  • 問題バンクからランダムに出題する

  • 再受験可能回数を制限する


さらに、昇格試験や資格認定などより厳格な管理が求められる場合は、監督者がオンラインで受験者の画面を確認する「リモート監視」の導入も検討すると良いでしょう。

カンニング対策を徹底することで、テスト結果の信頼性を高め、学習効果を正確に評価することにつながります。



LMSやeラーニングシステムのテスト機能を事前に確認する


eラーニングテストを実施するには、LMS(学習管理システム)などのプラットフォームが必要です。

しかし、システムによって搭載されているテスト機能には大きな差があります。

そのため、自社が実施したいテストの要件を満たしているか、導入前に必ず確認することが重要です。

チェックすべき主な項目は以下の通りです。


  • 利用できる問題形式の種類(選択式、記述式、並べ替えなど)

  • 問題や選択肢のランダム表示機能の有無

  • 制限時間や受験回数の設定可否

  • フィードバック解説の表示方法

  • 成績データの分析機能


運用に必要な機能を洗い出し、デモやトライアルを活用してテスト運用をシミュレーションしておくと安心です。

導入後に「思っていた運用ができない」とならないよう、機能や設定項目、権限管理の仕組みまで確認しておくことが、LMS導入で失敗を防ぐポイントです。



運用ルールを明確にする


テストをスムーズかつ公平に実施するためには、事前に運用ルールを明確に定め、受講者と管理者に周知徹底しておくことが不可欠です。

例えば、以下のような項目を明文化し、ガイドラインとして提示しておくと安心です。


  • 受験期間

  • 再受験の可否

  • 合格基準

  • 受験中の禁止事項

  • 結果のフィードバック方法


また、社内で複数の研修担当者がテストを作成する場合は、問題形式や採点基準の統一することで、テストの質や公平性を維持できます。


ルールが曖昧なままだと、受講者からの問い合わせが増え管理者の負担が大きくなるだけでなく、受講者間で不公平感が生じ、トラブルの原因となる可能性があります。

事前にルールを標準化しておくことで、受講者の混乱を防ぎ、全社的に公平で透明性のあるテスト運用を実現できます。




eラーニングテストの基盤はLMS「SmartSkill Campus」がおすすめ


eラーニングテストを効果的に実施するには、信頼性の高いLMS(学習管理システム)の活用が不可欠です。

その中でも多機能型LMS「SmartSkill Campus」は、管理者と受講者双方の利便性を考慮した多彩なテスト機能を備えており、学習成果の可視化や教育施策の効率化に大きく貢献します。


●多様なテスト形式

  • 択一式・複数選択式・記述式を自由に組み合わせ可能

  • 図やPDFの挿入、文字装飾にも対応し、教材に沿った表現で設問作成が可能


●柔軟な出題設計

  • 全問出題・ランダム出題の選択が可能

  • 一問一答形式にも対応

  • 合格点・受験回数上限・制限時間などの細かい設定が可能

  • 不合格時に正解・解説を非表示にするなど、テストの性質に応じた運用が可能


●管理者の負担を軽減

  • テスト・アンケート結果をCSVで出力・ダウンロード可能

  • アンケートでは選択肢ごとの回答比率(%)を自動集計



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eラーニングテストの成功事例            


東洋建設株式会社

OJT担当者と本社職員の負荷を大幅軽減した、技術者育成施策のeラーニング化

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東洋建設株式会社では、入社から10年間で若手技術者を育成する「10年教育プログラム」を実施していました。

当初は通信教育方式で課題配信・添削を行っていましたが、2022年に受講が任意になったことで提出者が半減。習得レベルに差が生じる課題がありました。また、集合研修に切り替えると学習時間が1/3に減少し、OJTリーダーや本社担当者の負荷も課題でした。


これを受け、SmartSkill Campusを導入し、教育をハイブリッド化。

正解が明確な課題はeラーニングテストで、考え方やグループワークが必要な課題は集合研修で実施することで、学習効率と教育内容の質を両立しました。


<導入効果>

  • 年間約200時間の添削・課題管理業務負荷軽減

  • スマホやiPadで時間や場所の制約なく学習できる環境の構築

  • 進捗状況を可視化し、受講者間の習得レベルの差を縮小





まとめ


eラーニングのテストは、単なる「知識チェック」ではなく、学習者の成長を支援し、教育施策の成果を見える化するための重要な仕組みです。


目的に合ったテスト設計と、適切な出題形式・難易度・解説の工夫を行うことで、受講者の理解度が深まり、学習意欲の向上にもつながります。

また、管理者側にとってもデータに基づいた人材育成や教育改善が可能になります。


導入前には、カンニング対策やLMSの機能確認、運用ルールの整備も忘れずに行いましょう。

正しく設計・運用されたeラーニングテストは、企業の教育効果を大きく高める強力なツールになります。




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