ポートフォリオ(Portfolio)というと、デザイン系の仕事の人は、自分の作品などをまとめた就職用の資料をイメージするかもしれません。英語の意味では、広義では「書類入れ」、狭義では「画集、作品集」「有価証券一覧」なんて訳されてます。
eポートフォリオでの意味としては、「個人の学習記録などの情報を「蓄積」「整理」「共有」するためにまとめたもの」という感じでしょうか。具体的に見ていきたいと思います。
目次
ポートフォリオの種類
ポートフォリオには記録内容の用途に応じて3つの分類があります。
ポートフォリオの用途別分類
ラーニング・ポートフォリオ 個人の学習記録や成績、成果物(作品や論文等)、学習日誌など。
ティーチング・ポートフォリオ(TP) 教員側の活動記録、シラバス、授業の資料、アンケートなど。 ※TPは教育改善あるいは教育業績の評価を主たる目的として作成しますが、ティーチングに関する優れた知識の共有あるいは情報の発信のツールとしても用いることができます。 作成者(教員)は、メンターのサポートを受けながら、TPを作成します。
キャリア・ポートフォリオ 就職活動に利用する。獲得したスキルや能力などを記録。
「eポートフォリオ」は、どのようにデータを蓄積してどのように活かすかによって、用いる手法もデザインも変わってきます。
個人情報を扱うのに適した「カルテ型」や学習の振り返りを促進する「ポートフォリオ型」に分けられます。
eポートフォリオの型
カルテ型 学生がフォーマットに沿って記載し、教員が評価する。個人情報を記録するためのデータベースとして活用されることが多い。
ポートフォリオ型 学生が自発的に学んだことをどんどん記載し、蓄積する。自分で学習内容を振り返って評価し、気づきに応じて学習を深める。
単なる学習記録とどこが違うのか?
「eポートフォリオ(ePF)」は「エビデンス」と、それに対する「リフレクション」が発生するのがポイントです。 「エビデンス」は学習活動や読んだ本、研究の活動やその成果などの「学習の証拠」となるものです。これらを「エビデンス」として、ファイルなどで保存します。 「リフレクション」は、エビデンスなどを振り返り、省察し、次に学ぶべきものを見つけていきます。ポートフォリオを有効活用することにより、深い学習を自発的に行えるようになることがメリットです。
当たり前ですが、紙ではなく、データとしてサーバに保存するので、再編集や結合などが容易で、保存できるファイル形式は、テキスト、音声、動画などマルチメディアファイルにも対応します。
これらはネットを通じて共有が可能で、医療における電子カルテのように、遠隔地でも権限さえあれば、閲覧したり、共有してコラボレーションが可能です。

オープンソースのePF「オープンソースポートフォリオ(OSP)」
eポートフォリオはたくさんの開発会社が参加していますが、オープンソースでMoodleなどと組み合わせて使えるものが出ています。
オープンソースポートフォリオ(OSP)で、ニュージーランド生まれ。Moodleと組み合わせた使い方ができます。
日本の朝日ネットが提供している製品。日本語で開発されているので、使いやすいです。「グローバル人材育成オプション」など、日本企業ならではの視点で開発されて機能などもあります。
ePFの今後は?
eポートフォリオの発想自体は古く、機能的にも、部分的に取り入れられていたものもあるかと思います。今後は国として、しっかりとしたガイドラインに沿った製品が出てくることが、普及のカギになるのではないかと思います。また、記録するということは、学生や教員の負担も増えるので、効果のあるeポートフォリオを作るためのノウハウと機能の洗練化が必要です。 学生時代からコツコツとePFを蓄積し、就職活動での自己アピールの手段として、さらには、就職後の昇格の要件としても使われるようになるようになるでしょう。 最終的には、学習した記録や読んだ本など、「生涯を通じて記録される」ことが大切なのではないかと思います。
お読みいただきありがとうございました。
