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内定者フォローとは(その2)

前回のコラムでは、「内定者フォロー」の実施の意味や、今問題となっている「内定辞退者」、「内定者フォロー施策」の種類についてご紹介しました。今回は、いくつかある「内定者施策」の中から、効果が高いと注目されているフォロー施策を取り上げてご説明します。



目次



内定者フォロー施策「内定者懇談会」


「内定者懇談会」で仕事への動機づけを強化する

「内定者懇談会」は以前から内定者フォロー施策として行う企業が多い施策です。しかしながら、その目的を明確にして、効果が上がる形で実施しないといけません。ただ何となく集めるだけではダメなのです。 内定者懇談会の目的としては、主に以下の2点になります。


 
  1. 内定者同士のつながりをつくること

  2. 内定者と社員のつながりをつくること

 

ゆとり教育云々とは関係なく、近年の内定者の傾向として、職業観の希薄さ、社会性の欠如などが指摘されることがあります。そのため、入社しても短期間で退職してしまう場合が増えており、内定者フォローの段階でこの問題を解決しておくことが大切です。


そこで、内定者懇談会などで仕事の意義に対する動機づけをしっかりと行うと同時に、早くから同期や社員との接点をつくることにより、同期同士の結束が強まり、不安感による内定者辞退を防ぐ効果があります。



内定者フォロー施策「メンターの登用」


内定者フォローのキーパーソンを、採用担当者からメンターへ

日本の就職活動において、内定者と年齢の近い「メンター」が相談相手として対応するようになった企業が増えています。 売り手市場となったこの2~3年、内定辞退者が急増しました。これは、従来、人事部の数人の採用担当者が内定者全員に対するフォローを行っていたため、きめ細かなフォローができなかったと認識されています。 これを改め、内定者と年齢の近い社員を「メンター」に任命し、入社前に悩みや不安を抱える内定者の相談相手にしてきめ細かなフォローを行うというものです。


メンターの選出に当たっては、「入社3~5年目の社員であること」「内定者と大学が同じ」「内定者の希望職種についている」など、内定者と何かしら共通項のある社員が良いでしょう。 メンターが年齢の近い若手社員であることにより、内定者と世代が近くて話がしやすく、共感をもって実体験に基づいたフォローができます。こうした関係が一定期間続くことで、信頼関係が構築され、内定者にとって、メンターの存在が4月から会社生活を送る際の“心のよりどころ”になっていくのが理想です。


また、人事側にとっても、メンターという相談役からの報告を通して、内定者からの悩みや近況を一元管理できるので、内定者を管理する上でメリットは大きいです。


メンターとなる社員には、事前に説明会などを実施し、今年度の採用状況や、メンターを設けた意味と期待する役割、内定者とコミュニケーションを取る際の留意点などをきめ細かく説明し、自覚を促す必要があります。




内定者フォロー施策「SNSなどを使った内定者フォロー」


SNSなどソーシャルツールでコミュニケーションの充実を図る

内定者との連絡やコミュニケーションをデジタルで行う場合、いままではメールなどが中心でした。 デジタルネイティブ世代である今の内定者には、より簡単にやりとりができるソーシャルメディア上でコミュニティを作成し、採用担当者と内定者がコミュニケーションをとるのがおすすめです。 具体的には、「Facebookグループ」「LINEグループチャット」「Google+」などがよく利用されています。



内定者同士で自主的にコミュニティをつくる場合もありますが、会社からの情報提供をして、会社の情報を定期的に発信することも重要です。ソーシャルメディアであれば、双方が簡単に写真や文章をアップでき、内定者はさまざまなデバイスでそれらを受けることができます。 FacebookやTwitterなど、SNSに慣れ親しんだ最近の学生にとっては、最適のツールと言えます。

さらに、内定者同士のコミュニケーションにより、不安の払拭や連帯感の醸成がされるのもSNSの効果です。 内定者の心理的には、メールや口頭ではなかなか相談しにくいことでも、SNSであれば気軽に投稿できます。 また、このように誰でも気軽にコメントできるSNSでは、感謝の気持ちや助け合いの精神が働きやすく、問題の解決も迅速に行われるようになります。



内定者同士の「絆」が入社辞退を防止する

内定者同士が顔を合わせる内定者懇親会は7~8月あたりになることが多いようです。その前の段階で、既にSNSなどで交流していたことで、内定者懇親会の時には、既にみんなが顔見知りのように感じられ、懇談会が盛り上がります。

SNS上で話すことにより、同期がどんなことを考えているかがわかる安心感は計り知れません。 ある内定者が書き込んだ不安や疑問に対して別の内定者が答える、といった内定者相互のフォローアップも行われるようになれば理想的です。人事担当がフォローするよりも、立場が同じ内定者がフォローしたほうが、心理的に効果的な場合も多々あります。

会社人生で、最も長い付き合いになる他の内定者との人間関係への不安は、内定者ならだれにでもあるでしょう。 他の内定者の人柄を知り、交流を深めるだけでなく、不安を共有したり、事前学習の話や、将来の配属先の希望や情報の交換を通して、不安解消や仕事へのモチベーションアップにつながります。



内定辞退が起こる前に「兆候」を発見し、適切な対応ができるようになる

人事担当者やメンターなどがSNSで内定者フォローを行うことで、内定者とメンターのコミュニケーションの「見える化」が図られ、その結果、内定辞退が起こる前に「兆候」を発見し、適切な対応ができるようになります。 仕事だけでなく、プライベートな話を交えながらいつでもコミュニケーションを取ることができ、採用担当者には直接言いにくい話、聞きにくい話などの相談もしやすいようです。



SNSはコスパのよい内定者フォロー施策

スタッフ数の限られている人事では、face-to-faceの内定者フォローを行うことに限界があるため、SNSを使うことはコストパフォーマンスのメリットも大きいと言えます。 SNSは内定者とメンターはもちろん、人事にも負担が少ないシステムなので、人事は、一定の事務連絡や会社からの情報発信だけを行えばよくなり、内定者フォローでの効率化・一元化が図れる効果は、思いのほか大きいようです。



内定者フォロー施策「内定者フォローe-ラーニング」


ビジネスマナー学習や資格取得支援はeラーニングが中心に

eラーニングや通信教育、集合研修、課題を出すことで、社会人の基礎知識や心構え、必要なスキルを身に付けさせます。落ちこぼれを作らないためにも、内定者段階でのスキルの平準化は必要です。また内定者からの「期待する内定者フォロー施策」として、eラーニングを使って、社会人としてのマナーやソフトスキルが勉強できることは大きく期待され手もいます。

学習科目としては、「ビジネスマナー学習」、「PC(Office系ソフト)の基礎」、「TOEIC TEST対策など英語」が御三家です。 それに加えて、ビジネスマインドなど、「働くとは何か」といった根源的なテーマを通じて学生から社会人への意識の切り替えをはかり、同時に内定者の不安を取り除くといった効果を狙った科目も増えています。弊社サービスでは、クリティカルシンキングなど、中堅向けの内容についても、早くから意識組成させる意味で人気があります。また、資格取得や専門性の高い講座もニーズが上がってきており、幅広いラインナップを用意しております。



基礎スキル習得のためのeラーニングで、入社に向けた安心感を与える

内定者フォロー教育にeラーニングを導入している企業では、10月の内定式から翌年3月にかけて、eラーニングを通じて企業の仕組みやビジネス知識・マナー、パソコンスキルなどを学ばせます。会社として入社前に身に着けて欲しいものを必須科目とし、そのほかにも外国語など選択科目も用意して、内定者の興味や関心に合わせて科目を用意するところもあります。


内定者の学習の進捗状況は、担当やメンターが定期的に確認し、遅い学生に対しては個別にフォローをするとよいです。 また、実施率を上げるためには、各科目が入社後にどのように役立つのかを示すため、先輩社員の体験や感想を内定者用Webサイトに掲載し、動機づけを図るのも良いかと思います。 最近では、ゲーミフィケーションのメカニズムを取り入れた、内定者向けeラーニングも登場し、同期内定者間で、課題を競いながら楽しめる仕組みもあります。




学生に一番身近な情報インフラといえばスマホ

eラーニングはパソコンがあれば場所や時間を問わず学習できるので、内定者からの評価も高く、昔から人気の内定者フォロー施策です。 近年では、内定者サイトなどへのアクセスは、半分以上がスマホやタブレットなどのモバイル端末からのアクセスになっており、学生が最も利用しやすいツールとして、教材のスマホ対応が必須となっております。また、スマホになったことにより、ネットを通して動画閲覧が以前より楽になり、マナーや語学など、「見ることが理解を助ける」効果が高いものほど、動画を使った教材が主流になっています。会社の歴史ビデオや製品ライブラリ映像などを閲覧できる企業もあります。


スマホやタブレットであれば、少しの待ち時間や移動中でも学習やコミュニケーションが可能なので、eラーニングだけでなく、掲示板や受講管理、内定者との連絡機能など必要な要素をすべてスマホに対応させたものが人気です。



内定者フォローは「さじ加減」が大切


人事部のマンパワーを考慮して行う

どんな内定者フォローの施策を導入するかを検討する場合は、自社の人的リソースとよく相談する必要があります。 フォロー施策が自社のスタッフですべて管理できるのか、あるいはアウトソーシングできるものは、それを活用した方がよいのかを検討してください。導入したことがないものというのは、予想外に手間がかかったりします。手間の見積もりを間違えて、マンパワーがないのに自社ですべてをまかなおうとすると無理が生じ、始めると言ったのはいいものの、内容が伴わず、内定者にかえって悪い印象を与える場合もあることを十分考えておかなくてはなりません。

弊社顧客でも、内定者フォローサービスをご利用になる前のミーテイングでは「やりたいこと」が山ほど出てきます。しかし、それは学生にとって、本当に「やってほしいフォロー」なのか?また、採用担当者様も「できるのか?」といったことを確認させていただきながら進めています。



学生の負担に気を配る

内定者フォロー施策は、企業側だけでなく、学生側の負担にもなることを忘れてはいけません。学生の負担に気を配ることも大切です。

内定者にしてみれば、内定期間は縛られたくはないが、何も連絡がなく放置されると不安になるというのが本音でしょう。講義が終わっているとはいえ、ゼミや卒論で忙しかったり、卒業旅行などのイベントを計画している場合もあり、貴重な時間であることは変わりありません。 マイナビの調査によると、内定者側が希望する接触頻度は「2か月に1回程度」が44.8%、「1ヵ月に1回程度」が39.4%と、1~2か月に1度の接触が丁度良いようです。 その年に実行したフォロー施策は、入社後に新入社員に必ずアンケートを取るなどして、好評だった点・不評だった点をそれぞれ振り返り、翌年の施策に反映していただければと思います。

昨年は企業側が、学生に就職活動を終わらせるよう強要する「オワハラ」も問題になりました。オワハラの一環として、高頻度で接触し物理的に就活できないようにしたり、懇親会の席で暗に他社への活動の中止を促す圧力をかけたりするのは絶対にやめるべきです。 内定者の書き込みなどで、その事実が発覚すれば、「オワハラしてくる=ブラック企業」のレッテルが貼られ、翌年の採用活動に多大なマイナス影響をもたらします。特に人事部以外の社員も言動には十分気を付けたいものです。



採用活動全般で気を配ることが大切

内定者辞退を防ぐために、内定者フォローが大切なのはもとより、内定を出す前の対応も重要であるというということを忘れてはなりません。採用活動の初期の段階、つまり、会社説明会や採用選考において、学生にしっかりと入社への動機づけを行いましょう。 学生は複数の会社を受験しているので、あらゆる機会を通じて動機づけを行っていかなければ、他社に気持ちが移ってしまうものです。 このように考えると、採用活動のプロセスとは、応募者に対する動機づけを形成していく行為に他ならないのです。



最後に

内定者フォローの第2回目は、内定者施策の中から効果が高いと注目されている「内定者懇談会」「メンターの登用」「SNSなどを使った内定者フォロー」「内定者フォローe-ラーニング」についてご紹介いたしました。 丁寧に内定者に対してフォローを行い、入社前の「不安」を解消することで、学生の気持ちを自社に向けさせ、「この会社で頑張りたい」という断固たる入社への決意を持ってもらいましょう。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。



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